現在のGPUは、ゲームだけのために存在するものではない。クリエイティブな作業においてもGPUを利用することで、編集が軽量になる、データの書き出しが高速になるといった利点が大きい。
そこでクリエイター向けの作業として、特にGPUの効果が分かりやすい「動画の書き出し時間」でRadeon RX 9060 XTのクリエイター向けの性能をチェックしてみよう。
今回は「GoPro HERO 10」を使って撮影した数本の4K動画を「Adobe Premier Pro」で30分ほどにまとめて、4K動画として書き出すのにかかる時間を比較する。結果は以下の通りだ。
先代のRadeon RX 7000シリーズでも、ミドルレンジモデルにおける動画の書き出しは高速で驚いたのだが、それはRadeon RX 9000シリーズでも健在のようだ。
上位のRadeon RX 9070/9070 XTは更に速いのだが、グラフィックスカードの販売価格は倍近くすると思われる。書き出し時間が半分になるわけでもないので、費用対効果の高さでみるとRadeon RX 9060 XTは「動画のエンコードに適したGPU」と評価することもできる。
これまでのミドルレンジモデル同様に、Radeon RX 9060 XT(16GB)はフルHDでのゲーム体験に重点を置きつつ、最近のトレンドのWQHD解像度でのゲーム体験にも十分に対応できるパワーを持ったGPUだと分かった。
Radeon RX 9070 XTと比べても単純に「半分の性能」というわけではなく、WQHD解像度までなら多くのゲームで十分なパフォーマンスを発揮する。フルHD解像度なら最高画質設定でも問題なく遊べるので、ゲーミングPCの購入やアップグレードにおける満足度は高いだろう。今回レビューしたPULSE AMD Radeon RX 9060 XT 16GBは、カードの全長も短いので、ケースとの干渉を気にする必要が少なく、組み込みやすいことも魅力だ。
気になる消費電力だが、3DMarkの「Time Spy Extreme」実行時で最大429Wと、そこまで高くない。補助電源ピンも8ピン1つで済むことも考えると「既存のPCのアップグレードパーツ」としても、エアフローや電源容量など気にせずに、買い替え先として選びやすい。
「ハイエンドこそ至高」というユーザーには響かないだろうが、現実的に「ちょうどいいGPUはどれだ?」と考えたとき、Radeon RX 9060 XTは最初に候補に挙げたくなるGPUであることには間違いない。
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