Arm版Windowsと言えば、Copilot+ PCにも対応していることから、AI関連機能のパフォーマンスがどの程度発揮できるのか気になるところだ。
業務用PCとしてArm版Windowsを検討しており、コストやセキュリティの観点からクラウドサービスを使うことなく、手元の端末で生成AIを従業員に利用させられるのかも気になる。そこで、IdeaPad Slim 5x Gen9にLMStudioをインストールし、gpt-oss-20bが快適に利用できるかテストしてみた。
なお、テストの際には下記のプロンプトを利用し、1秒当たりに何トークン生成できるかチェックしてみた。
あなたは架空の国の首相です。経済成長率が2%で停滞し、失業率が5%に上昇しています。財政赤字も拡大傾向です。経済成長を加速し、失業率を下げ、財政健全化を同時に達成するための政策パッケージを3つ提案し、それぞれの政策がどのように相互作用するか、メリット・デメリットも含めて説明してください。
結果としては、1秒当たり17.42トークン毎秒とまずまずの結果が得られた。
しかし、モデルの読み込み時にデフォルトのコンテキスト長でさえ、PCに対して過度な負荷がかからないよう防護するガードレール機能をオフにしなければモデルの読み込みができず、利用時はCPU、メモリともに使用率がほぼ100%に張り付く結果となった。
gpt-oss-20bの利用は厳しいが、DeepSeek R1 0528 Qwen3 8b GGUFのようにサイズが小さいモデルを利用すれば、IdeaPad Slim 5x Gen9でも無理なく利用できる。一般的な利用を想定したエッジAIデバイスとしては十分なパフォーマンスを発揮する。
「Arm版Windowsは生成AI機能が非常に強力だ」という話を聞いてSnapdragon Xシリーズに過度に期待しがちだが、実際手元で検証してみると過度な期待と現実のギャップを埋める良い機会が得られた。
また、Arm版Windowsは32bitアプリだけでなく、64bitアプリもエミュレーションできるようになったため、基本的にある程度のアプリであれば問題なく動作するが、一部アプリは正常に動作しない、などのデメリットも存在しているのが現状だ。
そんな未経験のプラットフォームの検証機を10万円以下で購入できるという点は非常に大きな意義があるモデルと言えよう。
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