ケータイカメラの付加価値(後編)――便利に撮るための機能ケータイカメラ進化論

» 2010年05月28日 16時20分 公開
[平賀督基(モルフォ),ITmedia]

 ケータイカメラは近年、驚くほど進化しました。前回は、いかにきれいな写真を撮るかを追求した結果、付加された機能について書きましたが、今回は写真を撮りやすくしたり、必要な情報を簡単に入手できるようにするために付加された便利な機能についてお話します。

 ケータイカメラにオートフォーカス機能が導入され、ピンボケ写真が少なくなりましたが、今度は「撮りたい被写体にピントが合っていない」というユーザーの声が聞かれるようになりました。

 狙った被写体に自動でフォーカスが合えば、意図した写真を撮りやすくなります。そこで次にケータイカメラに搭載されたのは、顔に自動でフォーカスを合わせる機能でした。ケータイカメラの写真は、人の顔にフォーカスを合わせているものが圧倒的に多かったことから、最初に搭載されたようです。

 顔検出オートフォーカス(AF)は、被写体の中から顔を自動的に検出し、その顔にフォーカスを合わせる機能です。デジタルカメラでは2006年ごろから搭載され始め、ケータイカメラにも2007年から搭載されるようになりました。2007年11月に発売された「N905i」には最大3人まで人物の顔を検出できる機能が搭載され、ケータイカメラでも顔がピンボケになることが少なくなりました。そして顔検出AFは、あらかじめ登録した顔にフォーカスを合わせる顔認識AFへと進化しています。

Photo 最大3人までの顔検出に対応した「N905i」
Photo 富士通製FOMA「F-04B」の撮影画面。4人の顔を認識し、笑顔度も示している

 顔検出AF機能もさらに進化を続け、遊んでいる子供やペットのように予測できない動きをする被写体でも追尾し続けるフォーカス機能と組み合わせて、追いかけながらフォーカスを合わせられるようになりました。この機能もまずはデジタルカメラに搭載され、ケータイカメラでは2009年5月に発売された「933SH」に搭載されました。なお、933SHに搭載された「チェイスフォーカス」という被写体追尾機能には、モルフォの主力製品の1つである「TrackSolid」が採用されています。TrackSolidは携帯電話メーカーからの引き合いが多く、2009年冬モデルから搭載端末を急激に増やした製品です。

 次に難しいのが、一瞬のシャッターチャンスに合わせた撮影です。「子供の笑った顔を撮りたいのに、なかなか上手いタイミングでシャッターが切れない」とおっしゃるママさんユーザーが多くおられます。シャッターチャンスを逃さないための機能として登場したのが、笑顔になったときに自動でシャッターを切る「スマイルシャッター」や、振り向いたときに自動でシャッターを切る「振り向きシャッター」なのです。

 また、写真を美しく撮るためには、明るさやシーンに応じてカメラの設定を適切に変更する必要があります。ケータイカメラにもこの機能は付いていますが、手動で設定しなければならず、また適切に設定を行うには知識や経験が必要になります。その最適な設定を自動で行うために開発されたのが、シーン自動認識機能です。

 モルフォが開発した「PhotoScouter」では、撮影シーンを自動的に認識してフレーム内にある構成要素を人物や海、山、花、夕焼けなどの風景や文字、食べ物などと判別します。そして認識・判別した結果をもとに、自動で撮影モードを切り替え、絞りやシャッタースピードなども最適な設定に変更するので、ユーザーは面倒な設定変更の操作なしで、被写体やシーンに合った美しい写真を撮ることができます。

 このシーン自動認識の応用で、QRコードや名刺を自動的に検出することができ、カメラをかざすだけでバーコードリーダーや名刺リーダー機能に切り替えられるようになりました。バーコードリーダー機能を探したり、アプリを起動したりする手間が省けるので、ユーザーには朗報だと思います。

 余談ですが、このQRコードはまさにケータイカメラの登場によって普及した機能です。QRコードはデンソー(現:デンソーウェーブ)が開発したもので、自動車部品の生産管理に使用されていました。2000年までにJISやISOで規格化され、デンソーが特許権を行使しないと宣言したことで普及に弾みがつき、携帯電話でも広く使用されるようになりました。

 QRコードの認識機能が初めて搭載されたのが、2002年9月に発売された30万画素カメラ搭載の「J-SH09」です。URLを記録したQRコードをケータイカメラで読み取ることで、URLの文字列を入力することなくサイトにアクセスできるようになりました。時を同じくして、着うたや電子書籍、EC(電子商取引)などの携帯電話向けコンテンツが大きく発展したこともあって、QRコードの需要はますます広がり、現在ではQRコード読み取り機能は日本の携帯電話の標準搭載機能になっています。

Photo 初めてQRコード認識機能を搭載した「J-SH09」

 この機能も「写メール」と同様、ケータイカメラ独自の機能です。これらの機能を見ると、「ネットワークにつながっている」という特徴を生かしていることがよく分かります。今後はこのような機能を中心に、ケータイカメラは発展していくのではないでしょうか。

モルフォ 平賀督基 プロフィール

 株式会社モルフォ、代表取締役社長。1974年東京都生まれ。1997年に東京大学理学部情報科学科を卒業。2002年、東京大学大学院理学系研究科情報科学専攻(博士課程) 修了。博士(理学)。

 2004年5月、画像処理技術の研究開発や製品開発を行う株式会社モルフォを設立。2006年6月に静止画手ブレ補正ソフトウェアがNEC製携帯電話端末に搭載されたのを皮切りに発表する製品が次々とカメラ付き携帯電話に搭載され、現在では全11製品が携帯電話端末やサービスに採用されている。2008年に「Dream Gate Award」を、2009年に「Entrepreneur Of The Year Japan」の「Challenging Spirit」部門大賞を受賞。


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