PC・モバイル向けWebサイトの解析ツールを提供するAuriq Systems(以下、オーリック)が、同社の100%子会社としてモバイルマーケティング事業に特化した新会社maqsを設立。7月から新サービスとして、モバイルサイトと広告を自動でマッチングする「モバイル広告マーケットプレイス」の提供を開始する。
オーリックは、2008年から無料のモバイルサイト解析ツール「myRTモバイル」を提供しており、リアルタイムスコアリングの技術や効果測定の仕組みをブラッシュアップしてきた。新会社のmaqsでは、このサービスを通じて得たサイト解析のノウハウを生かし、さまざまな規模や属性のサイトに最適な広告を提案できる環境作りを目指す。
モバイル広告市場は、高速通信に対応する端末の普及やパケット定額制の定着、ソーシャルメディアを活用した広告の浸透などで拡大を続けている。maqs取締役COOの木村潤氏によれば、2009年のモバイル広告市場は前年比112.9%の1031億円規模に拡大しており、2010年にはスマートフォンのラインアップ拡大やiPadなどの新たな通信端末の登場で、さらなる市場の拡大が期待できるという。
ただ、モバイル広告には課題もあると木村氏。知名度が高い有力サイトは広告出稿を希望する広告主も多く、広告モデルがうまく機能するが、媒体価値を認められていないサイトではそれが難しいと指摘する。「限られた広告枠の争奪戦が起こり、出稿したくてもなかなか出したい広告枠がとれないことも多々ある」(木村氏)。広告主から見ても、こうした状況では媒体の選択肢が限られてしまい、出稿を見送るケースもでているという。
こうした課題を解決するためのソリューションとして、maqsが提供するのが、サイトの属性と広告主の条件をマッチングするモバイル広告マーケットプレイスだ。「ニッチなコンテンツを提供するサイトに、客単価の高い顧客がいるようなケースは多い。(新サービスは)現状では認められていない媒体を、価値あるサイトに仕立てられる」(木村氏)
サイト運営者がモバイル広告マーケットプレイスにサイトを登録すると、サイトの属性や来訪者の想定属性、セッションによる関連性が自動で集計され、広告主の条件とマッチングしたうえで最適な広告が配信される。サイトの規模や知名度だけでははかれない価値を持つサイトと広告主を結びつけられる点が、このサービスの特徴だ。
また、携帯サイトでは「多くの顧客を抱えるサイトほど、グレーだったりする」(木村氏)場合もあるなど、他メディアに比べて健全性を不安視する声が挙がっていることから、登録メディアと広告については審査を実施。アダルトや違法なサイト・広告は扱わない方針だ。
モバイル広告マーケットプレイスでは2月から実証実験を行っており、7月の本サービス開始時点で、約1億インプレッションのサイトに広告を配信する計画。直販に加え、代理店経由の販売も行うとし、メディアレップや広告代理店を対象とするパートナープログラムを準備しているという。
年内にはiPhoneやAndroidをはじめとするスマートフォンやiPadへの対応も予定しており、年内の月商1億円到達を目指す。
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