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» 2010年07月29日 19時20分 UPDATE

研修に行ってこい!:成果につながる電話のコツ――トークスクリプトの作成

電話をかけるたびに断られ、アポイントが取れない状況が続く。やっと訪問できても仕事につながらない。今回は、電話をかけるプレッシャーから解放され、アポイントをとるための電話のかけ方をご紹介します。

[原田由美子,Business Media 誠]

 電話をかけるたびに断られ、アポイントが取れない状況が続く。やっと訪問できても仕事につながらない。こんな悩みを抱えている営業担当者は多いようです。今回は、電話をかけることのプレッシャーから解放され、確度が高いアポイントをとるための、電話指導のコツをご紹介します。

アポイントがあっても外出できない理由とは?

 利益率が高水準の提案型営業が確立し、営業の報酬が高いことで有名なある生産財メーカーがあります。その会社のエリアマネージャーから営業コンサルタントとして独立し活躍している講師が研修で、こう話していました。

 「アポイントがあっても、何をしにいくのかがはっきりしていなければ、アポはキャンセルさせます」

 毎朝のミーティングでその日の行動予定を確認し、「資料をお届けに行きます」という訪問目的であれば、「キャンセルしろ」というのです。その理由は、「資料は送れば済むから」でした。ただしその目的が、「資料を説明し、お客様の現状を聞くために30分の時間を頂いている」というものであればもちろんOKです。訪問することで、お客様の現状やその提案に対するYES/NOの反応を得ること。それができないと感じられるアポイントは、キャンセルさせるという話です。

いいアポイントはお互いのためになる

 一見厳しく見える指導ですが、講師には信念がありました。それは、「お客様にも、自分にも、会社にも、無駄な時間を使わせない」ということです。仮に資料のお届けで訪問したところで、お客様は「資料をもらうだけ」と思っている。

 その状況で商品やサービスの説明をしても、お客様の聞く準備ができていないので、説明は右から左に抜けていくでしょう。そしてお客様は「営業は大変だね」という同情の気持ちはもったとしても、仕事のパートナーとして営業を認めることはないというのです。

 反対に、しっかりと時間をいただき、資料の説明をすれば、それをきっかけにお客様の現状を聞き出すことや、その上でお客様に必要な商品やサービスを提案できます。そうすれば、お客様も仕事に役立つ情報の幅が広がる上に、タイミングが合えば検討につなげていける。そうした対応をすれば営業を信頼してくれるので、困ったことがあれば相談も持ちかけられるというわけです。

 いいアポイントは、お客様にとって役に立つだけでなく、営業にとっても、自分の仕事に自信を持てるので、お互いにいい結果になることが多いのです。

いいアポイントが取れない理由と考え方のコツ

 筆者の会社にも営業の電話がかかってきますが、その多くが「とりあえず会って下さい」というもの。そうした会社は、次のような営業行動目標に掲げられているのではないでしょうか。

  • 営業電話コール件数
  • 営業訪問件数
  • (キャンペーン等の商品の)商品案内件数

 上記のような行動目標が、悪いと言っているわけではありません。会社から求められる業績は、ある水準以上に行動しなければなかなか達成できないからです。しかし、本来の目的を認識しないまま行動目標のみに注力すると、お客様不在となり、労多くして実りなし。本末転倒の結果を招きます。

 すでにこうした行動目標があっても、本末転倒の結果を招かないためにするべきことは何か。大きく分けて2つあります。1つは、本来の目的である「お客様にとって」を認識すること。もう1つは、その行動目標を目的にのっとり読み換えて解釈することです。例えば、わたしは次のような行動目標を設定しています。

  • お客様への案内件数
  • お客様が興味や関心を持った件数
  • お客様から「興味がない」「関心がない」と言われた件数
  • 関心を持ってもらい、アポイントにつながった件数
  • 上記を通じて仮説を立てること

 会社が推進する商品やサービスは、お客様にとって必要なタイミングとそうでないタイミング、必要性があるケースとないケースがあります。相手の状況も踏まえずに、一方的に電話をしていくわけですから、場合によっては「興味がない」「関心がない」と言われても仕方がありません。

 大事なことは、興味や関心を持ってもらえるように工夫していくこと。また、まったくいい反応が得られないのであれば、事実をまとめて報告し、次の対策を取らなければなりません。いつまでもいい反応を得られないまま、時間を費やすことは大きなロスにつながります。

いいアポイントにつながる4つのポイント

 それでは興味や関心を持ってもらうためや、反応がよくない時に打つべき手をとれるような電話について考えてみましょう。電話をする上で必要な要素は次の4つです。(1)人の役に立とういう気持ち、(2)商品やサービスの理解、(3)案内をするための「トークスクリプト」、(4)発声です。

 (1)と(2)については、すでにクリアしていることを前提に、今回は(3)についてご紹介します。

 なおトークスクリプト(単純にスクリプトとも言う)とは、電話をかける際の「台本」。伝えるべきことを「セリフ」としてまとめたものです。

 スクリプトを作成する目的は3つです。1つ目は、伝えるべきことを事前にまとめることで、商品やサービスのアピールポイントを短時間で伝えることができること。2つ目は、短時間でお客様の反応を得られること。反応が分かるので、ある一定件数電話をかけて反応がよくなければ、よくないポイントに絞って、表現を変えることも可能になります。3つ目は、同じ内容で電話をしていても、成果が出る人と出ない人が出てきます。成果が出ている人が、どのような工夫をしているかを把握しやすいことです。

成果が出る人のトークスクリプトとは

 スクリプトには、次の内容を盛り込みます。

  1. 目的の伝達
  2. 電話を受けてくださった相手への配慮
  3. なぜ電話をかけているのか(背景)
  4. お役に立てるポイント
  5. お客様への質問(現状について)
  6. 訪問の可否
  7. (訪問がNGの場合)資料送付の可否
  8. 資料送付先の住所、所属部署、ご担当者様名の確認
  9. 資料到着後の連絡の可否
  10. 電話番号の確認
  11. お時間をいただいたお礼
スクリプト
営業担当者 お客様の返答例
あいさつと担当者の確認 私、××会社名の○○と申します。本日は、のご担当者様にご案内があり、ご連絡申し上げました。本日のご担当者様はお席にいらっしゃいますでしょうか? わたしです。
案内目的の伝達と都合の確認 ありがとうございます。本日は(商品やサービス)のご案内でご連絡申し上げたのですが、2〜3分ほどお時間を頂戴してもよろしいでしょうか? どうぞ
背景の伝達 ありがとうございます。最近、弊社のお客様より(各企業における大きな環境変化)の影響を受けて「○○のようなことはできないか?」とのご相談が多くなって参りました。御社Webサイトを拝見いたしましたところ、関連する事業が多いことから、同じようなお悩みをお持ちなのではないかと思い、ご連絡申し上げた次第です。 ありがとうございます。しかし、時間がないので、まずは資料を送っていただけませんか?
現状の確認 御社では、(各企業における大きな環境変化)の件につきましては、すでに対応はお済みでしょうか? まだこれからです。
訪問の可否の確認 よろしければ、弊社が(各企業における大きな環境変化)の件についてお手伝いさせていただきました事例などをご紹介させていただきながら、ぜひ御社のお話をお聞きしたいと思いますが、お時間をいただけないでしょうか? 分かりました。よいお返事ができるか分かりませんが。
資料送付の承諾と送付先の確認 恐れ入りますが、ご担当者様の所属部門と、お役職、お名前をお教えいただけますでしょうか? 分かりました。部署名は△△部です。名前は、佐藤です。
ありがとうございます。それでは、△△部の佐藤様でよろしいでしょうか? ご住所は、Webサイトに掲載されておりますご住所(郵便番号、住所)でお間違いないでしょうか? 大丈夫です。
連絡先と依頼事項の確認 それでは本日、資料を郵送にてお送りいたします。お手元に届きました頃に、あらためてご連絡をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか? 構いません。
今後の連絡の可否 佐藤様、ありがとうございます。ご連絡する際は、本日おかけしているこの連絡先でよろしいでしょうか? 構いません。
お礼とあいさつ それでは、本日資料をお送りいたします。ぜひお目通しください。 分かりました。
お時間をいただき、ありがとうございます。失礼いたします。 失礼いたします。

 ご紹介したスクリプトは、アポイントにつながる例です。ご紹介したようなやりとりができ、お客様が必要性を感じるような資料を送付できれば、次の電話で、アポイントや検討するタイミング(その時に再度連絡が欲しい)を伝えてもらえる可能性がぐっと高まります。再度連絡をすることさえ忘れなければ、アポイントにもつながり、お客様にとっても、営業担当者にとっても有効な面談の機会になることでしょう。

 上記の内容で電話をかけても、最初から断られることや、資料をお送りすることになっても、お名前を教えていただけなかったり、「こちらからご連絡します」と言われること、何度連絡してもつながらないこともあります。

 しかし落ち込まずに、ある一定件数までは電話をかけてみることです。それでも反応が悪ければ、お客様からいい反応をもらえている営業担当者の電話のかけ方と比較する、電話の内容を見直す、アピールする商品を見直すなど、対応を変えましょう。

スクリプトは自分で作る

 スクリプトは、会社が準備していることも多いようですが、わたしは自分で一度作ってみることをお勧めします。その理由は2つです。1つは、お客様の反応を予測しながらスクリプトを作成することで、自分の知識の足りない点を補完できること。もう1つは、電話でのお客様の反応が、自分が考えたものと違っていれば、その反応に合わせた対応をしようとします。言葉を変えれば応用力がつくからです。また、自分で考えると、一生懸命さも出てきます。

 なかなかアポイントが取れない営業担当者には、ご紹介した方法での指導を、ぜひ試してみてください。次回は、電話をする際の「発声」トレーニングについてご紹介します。


著者紹介:原田由美子(はらだ・ゆみこ)

 大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。

 社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=クライアントの期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。


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