現状は分かった。それではどうやったら女性ユーザーに使ってもらえるのか。
「女性はスマホで撮影しても書いたメモを捨てたくないのでは?」という仮説を立てた男性参加者は「保管することを目的にしたらいい」という。例えば10〜20代の女子学生をターゲットにした「ショットノートプリクラ帳」だ。ショットノートにプリクラを貼り、その時感じたことなどを余白に書く。それをアプリで取り込んで「キラキラしたエフェクトを追加してあげる」というのだ。
別の男性参加者はそもそも「メモ帳から離れてはどうか」という。メモ帳はメモした内容が主役だが、別の何かを修飾するためのツールとして使ってはどうかという提案だ。ショットノートに書いた文字を写真データの上に重ねられるようにするというアイデアである。
男性陣からはこのほか、ショットノートのメモを撮影した時点でリマインダーを設定できるようにしたらどうかというアイデアも出た。確かにスマホに取りこむほどのメモであれば、見返す可能性も高い。ToDoやスケジュールのメモだったらリマインダーはありがたいだろう。
一方肝心の女性陣からはもっと身近なアイデアが出てきた。例えば「ショットノート手帳」。カレンダーの1日ごとにショットノートのマークが付いており、マス目ごとに読み取れるようにする。1日ごとに友人などと共有できるのがメリットだ。女性陣の中には「いっそ女性向けはあきらめては?」というイベントの趣旨を真っ向否定する現実派もいたが、確かに無理やり女性向けにショットノート本体を売るより、女性向けに高級革カバーや専用ペンなどの周辺グッズを強化する方法もありそうだ。
最終的にキングジムのスタッフも納得したのが女性陣から出たこのアイデア、子育て層向けの「ショットノート落書き帳」だ。アイデアを出した女性参加者は「自宅に子供の落書きを取って置いているが、いつ書いたものなのか分からなくなってしまう。時系列に整理したいこともあるのでぜひ実現してほしい」という。手書きと日付を取り込めるショットノートの特徴を生かしたアイデアだ。
男性に売れているショットノートだが、生みの親であるキングジムの遠藤慎氏が「議事録などをまとめる女性社員が苦労していたところを見かねた」ことが発案の経緯。そう、もともとは女性社員が困っているのを助けるための製品だったのである。
現在は女性の利用者が少ないのが悩みだが、今回のようなイベントを通じて女性のニーズをつかめれば“初志貫徹”できるかもしれない。今後もショットノートの動きに注目だ。
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