カタログには携帯の目立つ機能は載っているが、使っていて「ほぉ」と思うような小技は掲載されていない。そんなちょっとした“小技”にスポットライトを当てて紹介する、このコーナー。今回は、ダイヤルボタンの活用を見ていきたい。
ダイヤルボタンというのは、1〜0、*、#といった電話番号を入力するためのボタンのこと。12個もあるボタンだが、役割は案外少ない。
しかしこれは少しもったいないではないか。ますます複雑になる機能を、ワンタッチで設定/操作できるように、上級者向けショートカットがあるとありがたい。
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最近増えてきているのが、カメラ起動後、設定をダイヤルボタンの一押しで行えるもの。「画像サイズの変更」やら「ライト点灯」「連写モードの変更」「撮影モードの変更」などなど、昨今カメラ関係の操作は増える一方だが、これらがボタンワンタッチでできてしまうのだ。
積極的なのはシャープ。2003年春のメガピクセル端末「SH505i」で、ダイヤルボタンを使った設定変更に対応し、その後「SH252i」「SH505iS」「SH900i」などでもサポートしている。
キー | SH505iSの動作 |
---|---|
2 | 動画 |
3 | 文字読み取り |
4 | バーコードリーダー |
5 | サイズ選択 |
6 | 画質選択 |
7 | AFモード切り替え |
0 | フォーカスロック |
待受画面からのダイヤルボタン入力も、活用しない手はない。では待受画面から数字を入力して何ができるか?
かなり凝っているのは、やはりシャープ製端末。例えば「V601SH」で、待受画面から「1212」と入力する。そして以下のボタンを押すと……。
キー | V601SHの動作 |
---|---|
発話ボタン | 電話発信 |
スケジュール/メモ | マネー精算メモ |
文字 | メモリダイヤル新規登録 |
左ソフトキー | アラーム |
右ソフトキー | スケジュール |
決定 | 電卓 |
マネー精算メモはいわゆるお小遣い帳。アラームは、時刻を4桁で入力することで目覚まし時計を簡単に設定できる。スケジュールなら12月12日に一気にジャンプする。電卓でいきなり計算も可能だ。
同じくシャープ製の「SH252i」などでは待受画面から簡単にタイマーを作動させられる。3分間のタイマーなら、待受画面から[3]を入力してサブメニューから「タイマー開始」を選ぶだけ。
待受画面を早くから徹底活用した、隠れた名機が富士通の「F212i」だ(2002年11月の記事参照)。待受画面から入力した数字に従ってスケジュール登録を行ったり、カウントダウンタイマーも設定できる。
お小遣い帳にしても電卓、タイマーにしても、これまではメニューを開いてアクセサリーを選択して起動してから数字を入れる必要があった。しかしそれでは面倒で使わなくなってしまう。いかに少ないボタン数で機能を利用できるようにするか。そのあたりがユーザーインタフェース設計者の腕の見せどころであろう。
ダイヤルボタン[1]の後、発話ボタンを押す。[1」の後に[メール]ボタンを押す。こうした操作で、アドレス帳に登録してある1番の人に電話がかけられたり、メールが送信できたりする。この機能はほとんどの端末が備えているものだ。
しかしケータイサイトへのアクセスまでできる端末は珍しい。富士通製のドコモ端末はそれが可能。iモードサイトを10個まで、[1]〜[0]の数字に割り当てられる。待受画面から数字を押して、iモードボタンを押すと、いきなり設定したサイトにつながる。iモードメニューを出して、Bookmarkフォルダを開いて、カーソルで選択して……そういった操作は全くいらない。
10個のサイトしか登録できないが、これが非常に便利なのである。
au端末がWAP2.0端末(C5001T以降)から全面的に採用している機能が、「カンタンアクセス」。これは、各サイトに電話番号のような「コンテンツ番号」を振り、待受画面から番号を入力して[EZボタン]を押せばそのサイトにつながるものだ。
例えば「999」と入力して[EZボタン]を押せば、一般サイトの検索エンジン「OH! NEW?」に。「58093」−[EZボタン]でヤフーモバイルにつながる。なお、西暦の年、月、日を入れて[EZボタン]を押すと、誕生日占いができる。例えば20040120と入れれば本日生まれた人が占えるのだ(それぞれインターネットナンバーを選択)。
アドレス帳の検索も、もっと待受画面からの数字入力と連携できるはずだ。
NEC製ドコモ端末で便利なのは、待受画面から電話番号の一部を入力して上下ボタンを押すと、その電話番号を含むアドレスが一覧表示されるのだ。
例えば、自分のオフィスに電話しようとしたときに、登録した名称を探すよりも電話番号の上4桁の番号を入力して検索したほうが早い。特定地域の友人に電話をかけるときは、「0274」など市街局番を入力して検索するほうが簡単だ。番号だけうろ覚えでも、名前を検索できる……。けっこうメリットはあるが、実装している端末はそれほど多くない。
「A5503SA」や「INFOBAR」など最近の三洋製au端末が備えているのが、ダイヤルボタンの長押しでその行のアドレス帳が表示される機能。[3]を長押しすれば「サ行」が表示される(2003年8月の記事参照)。
※東芝の「A5501T」も待受からダイヤルボタンの長押しでアドレス帳が表示される。「D505i」のようにダイヤルボタンを長押しすると設定したアドレスにいきなり電話がかかる端末もいくつかある。各機種で気になるのは、長押しが認識される時間がけっこう異なること。東芝はちょっと長めだ。個人的には0.5秒くらいでいいと感じる。もちろん任意に設定できるのが最良だろう
これも慣れてくるとかなり便利で、アドレス帳呼び出しボタンは必要ないとさえ思うほど。しかも三洋製端末(鳥取三洋製ではなく)では、利用頻度順にアドレスが表示される。
もともとはダイヤルボタンは電話番号を入力するためのものだった。しかし今や相手の電話番号はアドレス帳に登録してあるのが当たり前になってきている。紙の手帳を見ながら携帯に番号を入力する……という時代は、確実に終わりを告げつつある。
そんな中ではダイヤルボタンの位置づけも変化していって当然だろう。もちろん、「電話番号を入力して発話ボタンを押すと電話がかかる」という動作は基本だろう。しかし多機能化した携帯を使いこなす上では、電話番号入力以外へのさまざまな応用も、望まれるところだ。
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