プラットフォーム共有で、進む携帯PC化2004年を振り返る(1/2 ページ)

» 2004年12月28日 20時55分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 ユーザーの目に触れない部分で、携帯電話がどんどん“PC化”している。PCの“Wintel”のように、ハードウェアやOSの共通化が進み、メーカー間の差異が小さくなる傾向が加速しているのだ。

 「OSの統一、CPUの統一などによって、携帯電話はPCと同じようになっていく。開発者としては面白くない部分です」

 ある端末メーカーの開発者は、この状況をこう評す。これまでの端末開発は、ハードウェアからソフトウェアまで独自で作り込んできた。2004年は、端末開発のあり方の変化が始まった年だといえる。

3G端末開発の負担増大が引き金

 “PC化”の引き金を引いたのは、3G携帯電話の開発負担の大きさだ。通信方式自体の複雑さに加え、高速な通信能力を生かしたアプリケーションが要求されるため、ハードウェア、ソフトウェアへの要求はこれまでになく厳しいものとなっている。

 反面、端末開発コストの削減も通信キャリアから迫られており、“高性能なものを安く、そして早く”開発しなくてはいけないのが実情だ。

 解決のために通信キャリアが取った施策が、ハードウェアやOS、アプリケーションの共通化。端末メーカー側も、協業を強化して開発負担を減らす動きに出ている。

メーカー間の協業進む

 携帯メーカー各社は、もはや単独での端末開発が難しくなっている。

 2001年の、NECと松下通信工業(現パナソニックモバイル)の開発協業以後(2001年8月21日の記事参照)、各社が開発資源の共有を図ってきた。

 2004年3月には、富士通と三菱電機がFOMA開発で協業を発表(3月24日の記事参照)。「F901iC」「D901i」という形で成果も出始めた。

 11月には、シャープとソニー・エリクソンもFOMA開発での協業を発表(11月29日の記事参照)。単独でFOMAを開発する国内メーカーは、今や残っていない。

 2003年に協業を発表したカシオ計算機と日立製作所も、2004年3月に新会社を発足(2月3日の記事参照)。冬の1X WINモデル「W22H」「W21CA」は、協業の成果だ。

 協業の成果として開発された端末は、多くの場合、ソフトウェアのインタフェースが似通っている。例えば、パナソニックモバイル製FOMAは、NEC端末をベースとしたインタフェースを持っている。逆にいえば、パナソニックモバイル、三菱電機、日立製作所のユーザーインタフェースは消えていく方向にある。協業の結果、共通化が進んだ部分ともいえる。

ソフトウェアプラットフォームは、Symbian、Linux、BREWに

 開発負担の比率が大きいソフトウェア開発は、通信キャリアが音頭を取って共通化を進めている。

 ドコモが推すのは、SymbianとLinuxだ(2003年12月3日の記事参照)

 2002年からSymbian搭載端末を手がける富士通は、完全にFOMAのプラットフォームをSymbian OSに移行。三菱電機も「D901i」からSymbianを採用した。従来から採用を明言していたシャープも、ソニー・エリクソンと共にSymbian OS搭載へと進む(11月29日の記事参照)

 NECとパナソニックモバイル コミュニケーションズはLinux OSを採用。法人向けの「N900iL」を皮切りに、「N901iC」「P901i」でLinuxへの移行を果たす(11月18日の記事参照)

 これにより、FOMAのプラットフォームはSymbianとLinuxに2分された格好だ。

 KDDIは、QualcommのアプリケーションプラットフォームBREWを推進する。現在は他社のJavaのような位置づけで使われるBREWだが、今後、メールやWebブラウザなどもBREWアプリケーションとして開発し、各端末メーカーの開発負担を減らしていく計画だ(4月28日の記事参照)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. 楽天モバイルのスマホが乗っ取られる事案 同社が回線停止や楽天ID/パスワード変更などを呼びかけ (2024年04月23日)
  2. シャープ、5月8日にスマートフォンAQUOSの新製品を発表 (2024年04月24日)
  3. 貼り付ければOK、配線不要の小型ドライブレコーダー発売 スマート感知センサーで自動録画 (2024年04月25日)
  4. スマホを携帯キャリアで買うのは損? 本体のみをお得に買う方法を解説 (2024年04月24日)
  5. Vポイントの疑問に回答 Tポイントが使えなくなる? ID連携をしないとどうなる? (2024年04月23日)
  6. 通信品質で楽天モバイルの評価が急上昇 Opensignalのネットワーク体感調査で最多タイの1位 (2024年04月25日)
  7. 中古スマホが突然使えなくなる事象を解消できる? 総務省が「ネットワーク利用制限」を原則禁止する方向で調整 (2024年04月25日)
  8. ドコモ、「Xperia 10 V」を5万8850円に値下げ 「iPhone 15(128GB)」の4.4万円割引が復活 (2024年04月25日)
  9. 「iPhone 15」シリーズの価格まとめ【2024年4月最新版】 ソフトバンクのiPhone 15(128GB)が“実質12円”、一括は楽天モバイルが最安 (2024年04月05日)
  10. スマートグラス「Rokid Max 2」発表 補正レンズなくても視度調節可能 タッチ操作のリモコン「Rokid Station 2」も (2024年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年