見えてきたWiMAXと携帯、融合のシナリオ(前編)(1/2 ページ)

» 2005年07月04日 00時50分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 WiMAXが、携帯電話業界から注目を浴びている。既報のとおり、7月からKDDIがWiMAXの実証実験を開始すると発表。既に採用を表明しているYOZANや、技術に関心を示しているイー・アクセス平成電電に続き、また一社通信事業者がWiMAX導入に向けて動き出した。

 各社がWiMAXをどのように利用するかは不明だが、ここにきてにわかにWiMAXが“次世代通信技術”の注目株に昇格してきた。事業者にヒアリングした内容をもとに、一度各社のスタンスと業界動向をまとめてみたい。

「本流」ではなかったWiMAX

 通信業界で、WiMAXというのはかなり以前から知られていた技術だ。米国では既に商用化されており、1つの基地局で広範な範囲をカバーできることから「LAN」でも「WAN」でもない「MAN」、すなわちメトロポリタンエリアネットワーク(都市単位のネットワークインフラ)を構築できるとうたわれている。

 米国の地方部などでは、小規模な事業者がWiMAXの基地局を用意して手軽にブロードバンドサービスを提供しているケースもあるようだ(2003年12月5日の記事参照)。ただ国内では“無線通信インフラといえば3G”の流れがあり、さほど注目されてこなかった。

 そんな中、「800MHz帯論争」を議論する場として各事業者が総務省に集まった際、各社のトップが事業方針を説明する機会があった。このとき平成電電の佐藤賢治社長は「3GよりWiMAXのほうがインフラコストが安い。我々はこの技術の実証実験を行いたい」と発言した。

 日本にもWiMAXに真剣に取り組む事業者がいることを示す、興味深い発言だったが、この段階ではWiMAXが今日のように注目を浴びるきざしはあまり見えなかった。実際、携帯キャリアのバックボーンインフラを手がける事業者に当時「WiMAXは面白そうか」と聞いた際、返ってきた応えは以下のようなものだ。

 「採用する事業者が増えなければ……。1社が手を挙げたぐらいでは、普及にはつながらないだろう」。当時は、あまりWiMAXを重視しない業界関係者もいたということだ。

 しかしその後、YOZANがPHSサービスをWiMAXに代替させる構想を打ち出し(2月10日の記事参照)、かつインテルが宅内モデム向けを想定したWiMAX対応チップをリリースする(4月19日の記事参照)。WiMAXに追い風が吹き、流れが加速していく。

 さらに、これまでW-CDMA(HSDPA)でインフラ構築すると見られていたイー・アクセスも、WiMAXでHSDPAを補完する構想を打ち出した(5月23日の記事参照)。加えて先日、ソフトバンクの役員が集まる懇親会でも、同社の通信事業を統括する幹部が「WiMAXには大変興味を持っている。携帯とネットワークを統合する構想も持っている」と発言している。そして冒頭のKDDI発表につながる。

 通信技術というものは、採用する事業者が多ければ多いほど機器の調達コストは安くなる。さきほど業界関係者が「1社が手を挙げたくらいでは」と話していたが、多数の事業者が採用するなら状況は180度変わる。機器が大量生産され、安くなり、それによって採用事業者も増え、また機器が大量生産され……という正の循環に入る可能性があるわけだ。

WiMAXと3Gの「ネットワーク統合」という考え方

 イー・アクセスやソフトバンク、そしてKDDIに共通するのは「3GとWiMAXを融合させる」という構想を持っていることだ。この点は注目すべきだろう。

 これまで書いてきたことと矛盾するようだが、「ケータイ」のサービスを考えたとき、やはり3Gのほうがスタンダードであり、技術的にもこなれている。そこにWiMAXという技術を「プラスアルファ」すること。それが次代のネットワーク構築には非常に重要になってくる。

 では、具体的にどうやって融合するのか。

次ページ:ソフトバンクの場合
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月13日 更新
  1. 庵野秀明、GACKT、ひろゆき、ドワンゴ川上らが集結 “カメラのいらないテレビ電話”をうたう新サービス「POPOPO」18日に発表へ (2026年03月11日)
  2. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」は何が違う? 3万円の価格差をスペックから検証する (2026年03月10日)
  3. どこでもウユニ塩湖? 3COINSで550円の「スマホ用反射ミラークリップ」を試す (2026年03月12日)
  4. 「Galaxy S26」シリーズはどこが安い? 一括価格と2年間の実質負担額を比較、お得なキャリアはココだ (2026年03月11日)
  5. 「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID (2026年03月09日)
  6. ドコモ「ガラケー取扱説明書の掲載を終了します」 3G終了に伴い、事前保存を呼びかけ (2026年03月11日)
  7. Xiaomiからも“デカバ”モデルが登場! 1万mAhバッテリー時代が到来 (2026年03月12日)
  8. 100W出力で急速充電対応「UGREEN USB Type-Cケーブル」が43%オフの743円に (2026年03月12日)
  9. キーボード付きスマホ「Titan 2 Elite」がUnihertzから登場 実機に触れて分かった“絶妙なサイズ感” (2026年03月09日)
  10. サムスンに聞く「Galaxy S26」シリーズ開発秘話 AI機能はさらに賢く、商用化まで5年を要した「プライバシーディスプレイ」 (2026年03月12日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年