ニュース
» 2008年07月17日 22時35分 UPDATE

Symbian Summit Tokyo 2008:これからのケータイ、ドコモが考える“3つの進化の方向性”――ドコモの辻村氏

成熟期に入った日本の携帯電話市場。携帯を取り巻く環境は急速に変化し、各キャリアが新たなビジネスモデルやトレンドを模索している。こうした中、シェアトップを誇るドコモは、今後の携帯の進化の方向性をどうとらえているのか。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo Symbian Summit Tokyo 2008で「ケータイの今とこれから」をテーマに講演を行ったNTTドコモ 副社長の辻村清行氏

 携帯電話の契約数が1億を超え、市場は普及期から成熟期へと移行した日本の携帯電話市場。それに伴い、携帯電話を取り巻く市場環境は急速に変化し、それは通信キャリアの戦略にも色濃く反映されている。

 7月17日、Symbian Summit Tokyo 2008の基調講演に登場したNTTドコモ 副社長の辻村清行氏が、ドコモが考える携帯電話の進化の方向性について説明。今後のモバイルの進化は(1)モバイルのブロードバンド化(2)リアルとサイバーの融合(3)グローバル化 が中心になるという見方を示した。

sa_sd01.jpgPhoto 世界と日本の携帯契約数と端末販売台数。日本は成熟期に移行しているが、海外ではアジアやアフリカ地域が普及期に入っており、端末メーカーにとってのチャンスとなる(左)。成熟期に入った日本市場で、モバイルの進化の中心になる3つのポイント(右)

動画のアップロード需要が拡大――モバイルのブロードバンド化

 今や、下り最大7.2Mbpsのデータ通信が可能になるなど、モバイルインターネットの世界では高速化が進み、ドコモは2010年にもスーパー3G(LTE)を導入する予定。携帯電話が固定通信なみの通信速度を持つようになる世界では、それを生かしたサービスが求められ、ドコモはその1つとして“動画サービス”を打ち出している。ドコモ端末では、PCで人気のYouTubeやニコニコ動画が視聴できるなど、サービスプロバイダの対応も進んでいる。

 「iモードの開始当初はモノクロだった画面がカラーになり、Flashなども入ってきて動画が動くようになった。下り最大3.6MbpsのW-CDMAで動画はさらに大容量になり、LTEが入ってくるとさらに容量は大きくなる」(辻村氏)

sa_sd05.jpgPhoto 固定網と通信網の通信速度の進化(左)。「移動通信の高速化は固定通信の5年くらい遅れてスピードが上がってくる」(辻村氏)。通信速度の高速化に伴い、動画のクオリティも向上(右)

 動画についてはダウンロード需要だけでなく、アップロードのニーズも広がると辻村氏は予測する。「CGMという言葉があるが、ケータイからサーバに動画がアップされることも起こってくる。携帯端末からもサーバ側に発信するし、サーバからもダウンロードするという両方向の動きが強まると考えている」(辻村氏)

“携帯ならでは”の機能でインターネットが進化――リアルとサイバーの融合

 リアルとサイバーの融合は、「生活に応じて変化する情報を、いつでもどこでも得られる」という“携帯ならではの特性”が、「日常生活とサイバー上の情報を、より密接に結びつけるようになる」というものだ。

 PCや実生活で得られる情報には限りがあるが、携帯は「常に身につけているので、その場の状態に応じて最適な行動がとれる。この傾向はさらに強まる」と辻村氏は説明し、その一例として携帯を使った新幹線のチケット予約を挙げる。

 「普通の新幹線の切符だと、自分の都合で予約して買った乗車券を変更したいことがある。紙の場合は2回までは変更できるがそれ以上は有料になる。携帯はぎりぎりまでまって何回でも無料で変更できる」(辻村氏)

 辻村氏は、こうしたリアルタイム性と携帯ならではの特性が、インターネットの進化を新しい次元に押し上げるとも話す。

 「iモードが始まったときには、携帯をいかにPCインターネットに近づけるかが課題だった。今ではケータイ自身の能力がPCに近くなり、GPSの位置情報や常時携帯性、“誰が持っているか”を特定できる本人性といった“携帯ならでは”の特性を生かした形でインターネットを進化させる。私たちはこれを“インターネットのケータイ化”と呼んでいる」(辻村氏)

Photo 固定網のインターネットとモバイルインターネットでは、情報のニーズが異なり、今後は違う方向に進化すると辻村氏は予測する

携帯開発は“グローバルプラットフォーム”をベースに――グローバル化

 携帯の多機能化・高機能化が進み、“手のひらのコンピュータ”へと進化を遂げつつある中、今後の携帯電話のソフトウェア開発は、グローバルプラットフォームをベースとしたものになっていくと話す。すでにドコモは、自社の端末にLinuxやSymbian、Windows Mobileといった汎用OSを採用しているが、ドコモ固有の機能を「オペレータパック」としてパッケージ化し、端末メーカーに提供することで、端末開発コストの低減を図るとともに、メーカーの海外進出をサポートする。

 すでにグローバルでもプラットフォーム統合の流れが顕著で、SymbianはS60をベースとした統合プラットフォームの提供を目指してSymbian Foundationを設立。Linux陣営も、2007年にLinuxベースの携帯向けソフトウェアプラットフォーム構築を推進するLiMo Foundationが設立されたほか、GoogleのAndroidを推進するアライアンス「Open Handset Alliance」が発足するなど、その動きは加速している。

 ドコモは今後、共通化されたグローバルプラットフォームの上に、おサイフケータイやiモードなどのドコモ仕様に特化した機能を含む「オペレータパック」を載せていくという構成で、開発を進めると辻村氏。「おそらく来年の後半には、こうした思想に基づいた携帯電話が市場に出てくると考えている」(辻村氏)

sa_sd10.jpgPhoto サービスや機能の複雑化に伴い、携帯電話の開発にかかる期間やコストも増加。統一プラットフォームがメーカーの負担を軽減し、グローバルへの対応を容易にする

新技術でケータイは新たなフェーズに

 今後のケータイの発展については、技術の進化で新たな進化が起こると予測する。その要素として挙げるのは(1)タッチパネル(2)Bluetooth(3)電子ペーパー(4)QWERTYキーボード(5)防水(6)燃料電池だ。

 「iPhoneに代表されるようなタッチパネル方式がこれから携帯の必須の項目として入ってくると思う。また、動画が普及すれば音声をBluetoothで聞きたいという需要でBluetoothへのニーズが高まって来る。電子ペーパーもいろいろな発展をしているので、液晶ベースのパネルから変わってくると考えられ、携帯をより便利に使っていくためにはQWERTYキーベースのキーが必要になると思う。技術の進化で携帯の形や使い方、UIを含めた進化が起こってくるのではないか」(辻村氏)

Photo 技術の進化により、ケータイは次のフェーズに移行すると辻村氏は予測する

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.