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» 2009年10月15日 19時47分 UPDATE

iPhoneもバリバリ使う予定:ケータイをバリバリに使った授業、その効果は――大阪府知事 特別顧問の藤原氏

「ケータイを持っている高校生に、“持つな”といっても仕方がない。それなら一歩進んで、授業に持ち込んで有効に活用してみよう」――。こんな考えから始まった“ケータイバリバリ”の授業とは、どんなものなのか。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo 大阪府知事の特別顧問を務める藤原和博氏

 「ほぼ100%がケータイを持っている高校生に、“持つな”といっても仕方がない。それなら一歩進んで、授業に持ち込んで有効に活用してみよう」――。こんな取り組みを進めているのが、大阪府知事の特別顧問を務める藤原和博氏だ。

 東京都初の民間人校長を務めるなど、教育分野での実績もある同氏がソフトバンクモバイル主催のイベントで、大阪府立柴島高等学校で実施した“ケータイをバリバリに使った授業”を紹介しながら、その効果を説明した。

生徒は意見をケータイで送信、教師がリアルタイムで対応

 分かる生徒だけが手を挙げて回答し、それ以外の人は思考が止まってしまう――。これは学校でよく見かけるシーンだが、ケータイを使った藤原氏の授業でこういうことは起こらない。なぜなら、生徒は思いついた意見を一斉にケータイで送信するからだ。

 日本の正解主義の教育では、完璧な答を思いついた人だけが手を挙げ、発言するということになりがちだが、藤原氏の授業は「正解を問うものではなく、同時多発的に考えて発信する」というもの。生徒は使い慣れたケータイで思いついた意見を送信し、送られた意見は「C-ラーニング」というシステムを通じて大画面にリアルタイムで次々と表示される。藤原氏は、このさまざまな意見の中からユニークなものをピックアップし、紹介しながら授業を進める。“ケータイならお手のもの”の生徒たちは、400字以上という課題でも、「早い生徒は3〜4分、7〜8分でほとんどの生徒が送ってくる」など、活発に意見を送信するという。

 「授業でモバイル端末を持たせた時には、生徒が自分の意見を言う確率が上がり、量と質が向上する。こういう(C-ラーニングのような)ソフトと携帯電話を組み合わせることで、授業が画期的に双方向になる。それは“教師が指して、優等生が完璧な回答をする”というものとは一線を画する」(藤原氏)

sa_eip03.jpgsa_eip04.jpgPhoto 「近くの商店街で流行っている店、流行っていない店」をテーマに授業を展開。生徒がケータイで送った情報や意見は、次々とプロジェクターで大画面に映し出される。最後には大阪らしく“商売繁盛の方程式”をあみだした

sa_eip07.jpgPhoto 400字以上という課題も、生徒たちはケータイで軽くこなすという(左)。今後はiPhoneを利用した双方向授業を展開(右)

 携帯を利用するのは、リアルタイム性を重視するためでもある。例えば意見を紙に書かせると、教師はいちいち見て回る必要があり、いい意見を見つけるまでに時間がかかってしまう。PCを使う場合はPCルームに行ったり起動したりするのに時間がかかり、授業の時間を圧迫する可能性もある。ケータイというネットワーク端末を使えば、こうした無駄な時間をとらずに、双方向性を生かした授業を展開できるというわけだ。

 「iPhoneやニンテンドーDSのようなネットワーク端末が、将来の学習を圧倒的に変える可能性がある」――こう考える藤原氏は、生徒たちを“iPhoneで徹底的に刺激したらどうなるか”を探るべく、柴島高等学校の双方向授業にiPhoneを導入。今後もその効果を図っていく計画だ。

sa_eip21.jpgPhoto 今後の柴島高等学校とのケータイを利用した取り組み

授業の前には“ケータイ利用のルール”をレクチャー

 藤原氏が取り組む双方向授業では、“ケータイ利用のルールを教える”というのも、重要なポイントだ。“授業でケータイを利用してもいい”となると、こっそり私用で使おうという生徒が出てくる可能性もある。授業で使うという“パブリックユース”と、友達とのコミュニケーションなどに活用する“プライベートユース”では、ルールが異なることをきっちり教えることが重要であり、「パブリックという感覚を持たせるのに、ケータイはまたとない道具」というのが、藤原氏の考えだ。

 ケータイを利用した授業は全国でもまれであり、取材なども多いという。例えば、その授業中に1人でも、私用で使っている生徒がいたら、メディアに面白おかしく書き立てられ、授業の本質が伝わらないという事態にもなりかねない。「こうしたことを生徒たちと話し合う中で、マナーが身に付いていくのではないか」(藤原氏)


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