インタビュー
» 2013年06月26日 11時45分 UPDATE

ドコモが考える、シンプル:存在を意識させないUI――「docomo シンプル UI」に込めた“シンプル”の意味 (1/2)

ドコモが2013年夏モデルとして投入した「ELUGA P P-03E」と「MEDIAS X N-06E」には、初めてスマートフォンを使うユーザー向けに「docomo シンプル UI」を採用した。その狙いや特徴について、担当者に聞いた。

[村上万純,ITmedia]

 NTTドコモが2013夏モデルとして発売したパナソニックモバイルコミュニケーションズ製の「ELUGA P P-03E」とNECカシオモバイルコミュニケーションズ製の「MEDIAS X N-06E」には、スマートフォンに乗り換えるユーザーを意識し、ケータイのように操作できる「docomo シンプル UI」が搭載されている。docomo シンプル UIを提供した狙いやその特徴などについて、NTTドコモマーケティング部UXマネジメント担当主査シニアUXデザイナーの松村謙一郎氏と、同社マーケティング部ユーザーインターフェース企画担当主査の壷井雅史氏に話を聞いた。

「アプリ」ではなく「機能」を見せる

photo 「シンプルという言葉は奥が深く、担当それぞれが考えるシンプルがある」と松村氏は言う

 「ドコモケータイ(以下、ケータイ)のユーザーは、スマートフォンを使ってみたいと思う一方で、使いこなせるのかどうか不安に思っている人が多い」と松村氏は説明する。初めてスマートフォンを使うユーザーの“心の障壁”を取り除くために提供したのが、docomo シンプル UIだという。「Androidでさまざまなアプリを使えることがスマートフォンの良さだが、それではケータイユーザーは混乱する。あえてAndroidであることを意識させないデザインにした」と松村氏が言うように、docomo シンプル UIは見た目も操作感もケータイに近づけた。

 ケータイユーザーにとって、スマートフォンの「アプリ」という概念は理解しにくいものだと松村氏はいう。「アプリではなく、従来のケータイのように機能を提供しようと意識しました」(松村氏)。ケータイではワンタッチで発着信履歴を確認することができたが、スマートフォンでは電話アプリを探す必要がある。docomo シンプル UIでは、従来のケータイのようにホーム画面からワンタッチで発着信履歴の画面を表示できるようにした。ケータイユーザーが、発着信履歴から折り返しやリダイヤルの電話をかける機会が多いことを考慮した結果だ。

photophoto 「docomo シンプル UI」のホーム画面(写真=左)。左にスワイプすると、発着信履歴の画面が表示される(写真=右)

 docomo シンプル UIのホーム画面には時計のウィジェットと、電話/電話帳/メール/カメラ/写真/ブラウザ/アプリ/ツール/本体設定のアイコンが並んでいるが、それらはすべて「機能」を表している。実際は、アドレス帳を選ぶとドコモ電話帳が、写真を選ぶとギャラリーやアルバムなどのアプリが立ち上がる仕組みだ。「細かいことだが、『時計・アラーム』アプリは、たいてい『時計』としか書かれておらず、アラーム機能があることが分かりにくい。アラームはよく使われる機能なので、メーカーに頼んで名称を変更してもらった」(松村氏)

よくできたUIは、UIの存在を意識させない

 docomo シンプル UIのホーム画面は、良くいえば「使いやすくシンプル」だが、「地味」という印象も受ける。現在のUIが完成するまで、どのような経緯があったのだろうか。「よくできたUIは、UIの存在を意識させない。docomo シンプル UIでは、ノイズとなる余計な情報を極力削ぎ落とした」と松村氏は説明する。実際に社内でも「モノトーンの壁紙が地味で寂しい」という声があったというが、松村氏は「意味のない色はノイズになると考え、機能色以外は排除した」と、自分が考える“シンプル”に従って開発を進めていったと語った。

 デザインについては「同じトーン、ボリューム、見栄えになるように統一感を意識し、ピクトグラムで表現した」(松村氏)と説明している。各アイコンを選んだ理由や並び順は「電話機として使いやすいことを前提に、ケータイのメニューを参考にした」という。上から「Z字」の順に優先順位が高いアイコンが並んでおり、類似の機能は並べて配置している。細かいところでは、アイコンの図柄における“角度”も統一感を配慮している。例えば、もう1つのプリインストールUIである「docomo Palette UI」では、通話アイコンの受話器の角度は約45度だが、docomo シンプル UIの電話アイコンでは、受話器の角度を少し右に傾けた。これもdocomo シンプル UIにおけるデザインの統一感を優先した結果だという。ほかにも「カメラがあるなら地図もいるのではないかという意見もあったが、一方で、ケータイユーザーはあまり地図を使わないのではないか、という反論があったり、アプリ一覧で見れるからツールはいらないのではないかなど、さまざまな意見が飛び交った」と松村氏は振り返っている。

photo 左からdocomo シンプル UIと「docomo Palette UI」
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