モバイルデバイスでワイヤレスWANの転送速度を測定するとき、日本でメジャーなのは「RBB TODAY SPEED TEST」、そして、世界で多く使われているのは「Ookla Speedtest」だ。キャリアの転送速度の調査結果リポートでは、測定に使ったアプリとして、主にこの2つのアプリを使った結果を紹介している。
この定番に加えて、最近ユーザーを増やしているのが「4Gmark」だ。テストモードとして「Speed test」「Full test」「Custom test」を用意している。ほかに、測定するデバイスと接続しているネットワークの情報を確認できる「Network infors」の4項目にトップページからアクセスできる。このほか、画面左上アイコンをクリックすると表示するプルダウンメニューからテスト条件の設定と測定結果の履歴リストにアクセスできる。
Speedtestでは、4Gmarkが用意したサーバにアクセスしてPingコマンドの反応時間とサンプルデータのDownloadとUploadの転送レートを測定する。測定項目は下り上りで10秒間転送したときの平均値を表示するので、測定時間は一定、かつ、短時間で実行できる。
Full testでは、Pingテストに下り上りの転送速度測定に加えて、「http://www.google.com」「http://en.m.wikipedia.org」「http://m.youtube.com」のWebページにアクセスしてトップページを表示するまでの時間と転送レートを測定するテストが加わる。また、下り上りの転送速度テストでも、Speedtestの「一律10秒間」ではなく、下りは5Mバイト、上りは1Mバイトのデータを転送する時間と平均レートをスコアとして表示する。
Custom testでは、下り上りそれぞれのデータ容量とアクセスするWebページを変えたシナリオを複数用意して、ユーザーが選んでテストを実行できる。2014年2月時点では標準状態で「Protocole ARCEP」「Scenario H+,DC et LTE」「Senario 4G-LTE」を用意している。
Protocole ARCEPは下り上りの転送データサイズはFull testと同じながら、アクセスするWebページはyahooやmsnなどを加えて10カ所に増やしている。Scenario H+,DC et LTEでは、アクセスするWebページは3カ所ながら、下り上りのデータサイズをそれぞれ20Mバイトと10Mバイトに増やしている。Senario 4G-LTEは、Webページにアクセルテストは用意していないが、下り上りのデータサイズをどちらも50Mバイトと大サイズを用意している。
Speed testとCostum testでは測定した結果をPing、Download、Uploadのそれぞれで表示するが、Full testでは、測定した個別の結果を統合したポイントとして算出する。
4Gmarkでは、測定した場所の位置情報(緯度経度だけでなく高度も含む)と一緒に「場所の情報」も保存してスコア履歴で参照できる。この「場所の情報」には、移動中の測定なのか、その場合の移動手段、室内なら自宅なのかオフィスなのか公共スペースなのか、都会なのか観光地なのか郊外なのか、などの属性を選択して記録できる。
スコアの履歴では、テストごとに保存した位置情報をGoogle Mapsにプロットして選択した属性のアイコンとして表示する。Speed testとCostum testのアイコンはグレーだが、Full testのアイコンはスコアによって色を変えている。4Gmarkのスコアは測定するたびにある程度幅が出てしまうので、定性的な転送レート分布を描くことは難しい(また、1000ポイントを超えると一律グリーンになるが、LTEを利用していると大体1000ポイントを超えてしまう)が、それでも、オンラインマップにプロットして把握できるのは個人的な行動履歴と転送速度履歴情報として価値がある。
通信速度測定アプリとしては後発で、かつ、欧州開発アプリということで、RBB TODAYのような「日本のネットワーク事情を知っているだろう安心感」では不利と思われがちだが、RBB TODAY SPEEDTESTやOokla Speedtestにはない、複数のテスト条件を選べる柔軟性や測定結果をマップにプロットできるなど、先行アプリにはない機能や特徴もある。
大容量ファイルのデータ転送を行う場合の転送速度や実際にあるWebページ利用を想定した転送速度を重視したい場合に利用価値が高い測定アプリといえるだろう。
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