ヴェルトは6月23日、腕時計型デバイスの新商品「VELDT SERENDIPITY」を発表した。発表会では、ヴェルト代表取締役社長野々上仁氏が登壇。
VELDT SERENDIPITYはフラッグシップ端末のモデルRと、女性向けに豊富なカラーバリエーションを用意したモデルCの2種類をラインアップ。モデルRの価格は14万8000円(税別、以下同)で、Ripplet、Moon Ray、Silky Iceの3種を用意した。それぞれカラーが異なるほか、Silky Iceは氷の上を滑るような輝きをLEDで表現するなど、モデルごとに特徴を持つ。
モデルCの価格は7万8000円。カラーバリエーションは、Gentle Lily (白)、Deep Seed(黒)、Crisp Mint(緑)、Rich Violet(紫)、Fresh Scarlet (赤)の5種。「原色ではなく、日本らしい色合いを重視した。名前も自然界にある草花から取っている」と野々上氏は説明する。
VELDT SERENDIPITYは、アナログ設計のユーザーインタフェース(UI)を重視したモデルで、技術革新がもたらした負の側面を改善することを目的に生み出されたという。側面のパーツ1つ取っても、国内の職人が丹念に磨き上げたものを厳選して使用している。ターゲットは30〜40代の男女で、野々上氏は「粋でかっこいい大人に使ってもらいたい」と話す。
VELDT SERENDIPITYは「便宜上スマートウォッチと呼んでいるが、ガジェットではなく腕時計の延長線上に位置付けられるもの」だと野々上氏は話す。現代社会は技術革新が進む一方で、歩きスマホやLINEの既読スルーに起因するいじめ、リベンジポルノなどの「負の側面も目立つようになってきた」(野々上氏)。このような状況を「リバランス」(野々上氏)するために開発したのが本製品で、「技術との付き合い方をイノベートし、ライフスタイル全般をサポートするもので、人生に気付きを与える腕時計と捉えてほしい」とコンセプトを話した。名前にある「SERENDIPITY(セレンディピティ)」には「何かを探しているときに別の価値あるものを見つける能力や才能」(野々上氏)という意味がある。
また、他社製品のスマートウォッチはディスプレイ搭載型のものも少なくないが、ヴェルトはアナログな盤面とUIを採用している。そこには「情報を取捨選択し、時間の余白を生む」(野々上氏)という同社の思想があるほか、野々上氏は「スマホの情報をそのまま腕時計に映すだけでは、情報の海に溺れる人たちの助けにはならない」と考えている。
アナログな設計やリアルな生活に重きを置く一方で、iOS 7以降向けの専用アプリを使ってタクシー配車をしたり、活動量を測定したり、スマートフォンの各種メッセージの着信などを通知したりする機能も備える。タクシーは「時計のボタンを押すだけでその場に配車できる」(野々上氏)ような実装を行う予定だ。
盤面には24個のLEDが円形にレイアウトされており、盤面下部に小さいディスプレイを備える。スマートフォンとBluetoothで連携し、スケジュールで予定が入っている時間帯を光らせたり、世界時計で各国の時間帯を光らせたりできる。また、コンパス機能で北の方角を光で知らせることも可能。
活動量計としても利用でき、カレンダーのスケジュールと連動させたデータ管理も可能だ。端末側面にあるアナログのボタンはワンタッチで特定の機能を起動できるショートカットの設定が可能で、「使う際のしぐさも含めてデザインと捉え、アナログなボタンを押す行為が最もさり気なく自然に思えた」と野々上氏は説明する。
バッテリーはリチウムイオン式で、待機状態で1週間駆動するという。時計機能はボタン電池で4年連続持続する。タクシー配車は日本交通と提携し、12月から期間限定でトライアルを始めたあと、有料で東京都内のみサービスを提供する予定だ。今後はAndroid向けアプリの提供も予定している。
6月23日より専用Webサイトで先行予約を受け付ける。出荷は12月の予定。販路は百貨店や時計専門店などで、腕時計として取り扱いを行うという。「売上や販売目標は特に掲げていない」(野々上氏)とのことだ。
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