NTTドコモは6月24日、LTEネットワーク上で高音質な通話ができる「VoLTE(ボルテ)」の提供を開始した。スタート時点の対応機種はサムスン電子製のスマートフォン「GALAXY S5 SC-04F」のみで、同日提供されたソフト更新を適用することでVoLTEによる通話が行える。
VoLTEの詳細や高音質な理由については下記の関連記事を参照してもらうとして、やっぱり気になるのはどこまで音質が良いのか? という点。ドコモによるデモ動画はこれまでも何度か紹介しているが、それは本当なのだろうか……。そこで、VoLTE対応のGALAXY S5を2台用意してさっそく通話してみた。比較対象として、同じGALAXY S5間の3G通話、ドコモとauのGALAXY S5による3G通話、そしてGALAXY S5と固定電話でも同じ内容を試した。いずれもスマホに通話音声を録音するアプリをインストールして音声を録音している。
3G通話、3Gと固定の通話でそれぞれ音質の差はあるが、こもったような声であることに違いはない。しかしVoLTEの音声はまるで別に録音したかのように(ちょっと不自然なくらい)音質が良い。
実はスマホの受話レシーバで聞き比べると音質の差はもう少し小さくなるのだが、その差は歴然だ。携帯電話やIP電話の音質に不満があるなら、VoLTEの利用でかなり解消するかもしれない。
VoLTEの通話料金はXiの通話料金と変わらず、「タイプXiにねん」の場合は20円/30秒で、ドコモ同士であれば通話が定額になる「Xiトーク24」も適用できる。もちろん新料金プランの「カケホーダイ」も利用できる。
最後に気になるのが対象端末の広がり。現時点(6月24日)ではドコモのGALAXY S5同士でしか通話ができず、VoLTEの利用者はかなり限られている。6月下旬には「Xperia Z2 SO-03F」と「AQUOS ZETA SH-04F」、7月下旬には「ARROWS NX F-05F」と「AQUOS PAD SH-06F」、9月下旬には「Xperia Z2 Tablet SO-05F」も、バージョンアップによりVoLTEに対応するが、スマートフォン全体の利用者数から見ればごく一部でしかない。
ドコモは今後発売するスマートフォンはすべてVoLTEに対応させたいとしているが、その新機種がドコモのスマホユーザー全体に行き渡るのはかなり先のことになる。また“通話がしやすい”として根強い人気のフィーチャーフォンもLTEをサポートしていないのでVoLTEが利用できない。
そしてドコモ以外のキャリアは、VoLTEの導入時期をまだ明らかにしていない。かりに各キャリアでVoLTEを開始しても、技術的な問題から相互接続できるようになるまで時間がかかる可能性もある。
と、まだまだ課題が多いVoLTEだが、電話としてお互いの声が聞き取りやすくなるのは歓迎すべきこと。できるだけ早く、すべてのユーザーがVoLTEを利用できるような環境になって欲しいところだ。
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