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» 2015年02月06日 14時40分 UPDATE

5Gも視野に:ドコモ、下り最大225MbpsのLTE-Advancedを3月開始 「高度化C-RAN」など最新技術を説明

ドコモが3月から開始する「LTE-Advanced」は、既存のLTEを高速化する次世代通信規格。どのような技術を使って高速化しているのか、同社が説明した。

[太田百合子,ITmedia]

 NTTドコモは2月5日、3月に予定されている「LTE-Advanced」の導入を前に、横須賀のR&Dセンターにてメディア向けの技術説明会を開催した。

 LTE-Advancedは、現在ドコモが「Xi」のサービス名で展開しているLTEをさらに高速化して提供する次世代の通信規格。現在のLTEでは下り最大150Mbpsとなっている通信速度を、LTE-Advancedでは下り最大225Mbps超まで高速化する予定だ。

 LTE-Advancedの実現には複数の要素技術が必要で、現在KDDIが先行して導入している「キャリアアグリゲーション」(CA)もそのひとつ。CAでは異なる周波数帯を同時に利用することで、広い帯域幅を確保し高速化を実現している。ドコモではこのCAに加えて、通常の基地局(マクロセル)のエリア内に、より小さな基地局(スモールセル)を設置し、容量を補完して混雑の緩和を図る「ヘテロジニアスネットワーク/スモールセル」と呼ばれる仕組みを導入する。さらにこれらを、ドコモが2003年から運用している「C-RAN」と呼ばれる基地局の集中制御が可能な設計方法(アーキテクチャ)と組み合わせることで、LTE-Advancedを効果的に展開できる環境を構築中だ。

 ドコモではこの環境を「高度化C-RAN」と呼び、技術開発と実証実験を続けてきたが、このほど屋外の商用環境で合計35MHz幅の帯域を用いて、実測値が下り最大240Mbpsに達するデータ通信に成功。技術説明会ではこの実証実験と同環境でのデモンストレーションも披露された。

photo 「C-RAN」では基地局装置の制御部と無線部を切り離して、基地局をコンパクトにするとともに集中制御ができる。「高度化C-RAN」ではさらにマクロセル、スモールセルを混在した集中制御が可能。一番左の機器がその親局になる。ここにあるユニットだけで48基地局分の制御が可能とのこと。中央2つがスモールセル、一番右がマクロセルだ
photo 高度化C-RANの概要

 冒頭、挨拶に立ったNTTドコモ取締役常務執行役員 R&Dイノベーション本部長の尾上誠蔵氏は、「CAもスモールセルも目新しい技術ではないが、それらを組み合わせたところに、新しいフィーチャーが生まれる」とスピーチ。LTE-Advancedの先にある「5G」を見据え、複数のアンテナを使ってスループットを向上させるMIMOの進化版「Massive MIMO」と高度化C-RANを組み合わせることで、さらなる高速化を目指す構想も明らかにされた。

photo NTTドコモ取締役常務執行役員 R&Dイノベーション本部長 尾上誠蔵氏

 当日はあいにくの雨のため、屋外に設置されたアンテナの直下にテントを設置し、その下にデモ用のモバイルWi-Fiルーターを置いてスループットを計測。テントという障害物に遮られたことで、ベストな環境でのデモは適わなかったが、それでもMAXで235Mbps強、平均220Mbps以上という安定した高速スループットを確認できた。さらにマクロセルとスモールセルを組み合わせたCAを行うことで、スモールセルから次のスモールセルへと移り変わるときに起こる、ハンドオーバー(電波の切り替え)の影響が少ないことを示すデモも披露された。

photophoto デモは屋外のポールに設置された800MHz帯のマクロセル(写真=左)と、バルコニーに設置された1.7GHz帯のスモールセルを使い、CAを使ってして行われた
photo 3月から提供されるCAの合計30MHz幅(下り最大225Mbps)よりも多い、合計35MHz幅、(下り最大262.5Mbps)の環境を使用。一時、下り最大235Mbpsを超える速度も見ることができた
photo LTE-Advanced対応ルーター(左)と従来の「LTE」対応ルーター(右)で動画のダウンロード速度を比較したもの

 技術説明を担当したNTTドコモ 無線アクセス開発部長の前原昭宏氏によれば、「高度化C-RANではマクロセルもスモールセルも同時に制御できるため、マクロセルとスモールセルを柔軟に組み合わせたCAが可能になる」とのこと。スモールセルが切り替わる間も、マクロセルとは常につながっているため、ハンドオーバーによる影響を受けにくく、移動しながらでもスムーズな通信ができるという。

photo NTTドコモ 無線アクセス開発部長 前原昭宏氏
photo 「高度化C-RAM」のデモの概要。スモールセルからスモールセルへ移動する際にハンドオーバーが発生しても、一方で常にマクロセルとつながっているため安定した通信ができる
photo 今回のデモに使用された「HW-02G」と、従来機の「HW-01F」。「HW-02G」がCAT6対応である以外は、ほぼ双子の兄弟機だ
photophoto 2つのスモールセルをまたぐことで、ハンドオーバーを起こすデモ。左の写真でボードが立っているあたりが基地局の切れ目になっている。写真左のモニターが「LTE-Advanced」対応ルーターのスループット。「CA」によって元々のスループットが大きいため、ハンドオーバーで多少落ち込んでも通信に影響は少ない

 ドコモでは3月以降、まず通信が集中する都市部から高度化C-RANによるLTE-Advancedを導入する計画。CAは1.7GHz帯と800MHz帯(東名阪)または1.5GHz帯と2GHz帯の組み合わせでそれぞれ30MHz幅、受信時最大225Mbpsの速度で提供される。

photo LTE-Advancedの導入シナリオ
photo 2014年末に新たに割り当てられた3.5GHz帯

 具体的な基地局数については明らかにされなかったっが、すでに発表済みのCategory 6対応モバイルWi-Fiルーター「Wi-Fi STATION HW-02G」と「Wi-Fi STATION L-01G」で利用できるという。ドコモでは今後700MHz帯や、2014年末に新たに割り当てられた3.5GHz帯も積極的に活用していく考えで、「2015年末からは3.5GHz帯を使ってさらなる高速化に取り組む」(尾上氏)という計画も披露された。

photo さらなる高速化も計画されている

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