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» 2015年03月03日 16時46分 UPDATE

Mobile World Congress 2015:Qualcommが「Snapdragon 820」発表、“学習型”の認識技術や3D指紋認証でモバイルをもっとスマートに

Qualcommが最新プロセッサの「Snapdragon 820」を発表。コンピュータビジョンを活用できる認識(コグニティブ)プラットフォームの「Zeroth」や高精度の指紋認証が可能な「Sense ID」なども披露した。

[末岡洋子,ITmedia]

 米Qualcommは3月2日(現地時間)、スペイン・バルセロナの「Mobile World Congress 2015」会場で発表会を開催し、モバイル向けの最新プロセッサ(SoC)である「Snapdragon 820」と、Snapdragonプロセッサ向けの認識プラットフォーム「Zeroth Platform」を発表した。

photo Snapdragon 820

 Snapdragon 820は2014年4月に発表したSnapdragon 810の後継となるシリーズ。カスタム64ビットコアの「Kryo」を採用し、FinFETプロセスで製造されるという。サンプル出荷は2015年後半を予定している。同社のデレク・アベールCEOは「プレミアムなユーザー体験を提供する」とSnapdragon 820シリーズをアピールした。

photo Qualcommのデレク・アベールCEO

 Qualcommの64ビット製品はこれまで英ARMのコアをライセンスしてきたが、独自技術の採用により性能や省電力性がさらに改善するものとみられる。アベール氏はKryoについての詳細は語らなかったが、今後のカスタムコア採用計画については「我々はこれまでもミックスしてきた。ケースバイケースだ」とした。同社は2月中旬、Snapdragonの600系と400系の新しいシリーズを2種類ずつ、合計4種類発表しており、「Snapdragon 620」と「Snapdragon 618」では、ARMの最新64ビットプロセッサ「Cortex-A72」を採用している。

 同時に発表したZeroth Platformは、ユーザーのデバイス利用から学習するコグニティブ(認識)技術プラットフォーム。コンピュータビジョンを利用したZerothの視覚認識により、写真の品質を改善するなどのことが可能になるという。クラウドではなくデバイス上で学習技術を提供するため、データをサーバーに送る必要がなく、プライバシーやセキュリティの懸念に対応できるという。「ユーザー体験を次のレベルにできる」とアベール氏は述べた。Snapdragon 820はZerothをサポートする初のチップだ。

 デモではZeroth技術を利用した端末のカメラで、被写体となる人物を認識したり、建物を撮影する様子を披露。撮影するたびに処理が改善され、よりスマートになるという。Zeroth技術はスマートフォン以外にも、自動車やウェアラブルなどさまざまな用途に応用できるといい、アベール氏は高い潜在性を持つ技術と位置付けている。

photo この写真から、“屋外”“建物”“空”“人はいない”という情報を認識(学習)した
photo こちらからは、“人はいない”“腕に腕時計”ということを認識
photo Zeroth技術を使うことで、クラウドを介さない人物の認識が可能となる。動画会議やチャットで役立ちそうだ

 このほか、3D指紋技術「Qualcomm Snapdragon Sense ID」も発表した。モバイル業界では初となる超音波技術を利用した指紋認証技術だ。モバイル向けの指紋認証はApple、Samsungなど主要なベンダーが採用を進めているが、超音波を使うことで、指が汗や水でぬれていたり、ハンドクリームがついた状態でも、高精度の認証が可能になるという。同技術を搭載した商用端末は2015年後半の登場が見込まれており、今後はパスワード認証ではなく指紋認証が主流になるかもしれない。

 なお、現行のハイエンドシリーズSnapdragon 810については、中Xiaomiの「Mi Note Pro」、韓LG Electronicsの「G Flex2」といった製品に搭載されている。この日は、前日にSnapdragon 810搭載の最新フラッグシップ「HTC One M9」を発表したHTCのピーター・チョウCEOが、One M9とVR(拡張現実)デバイスを手に登場。Qualcommへのサポートを表明した。

photo Snapdragon 810搭載の「HTC One M9」を手に、HTCのピーター・チョウCEOが登場

 アベール氏はこれに加えて、無線アクセス技術の1つとしてデータの増加に対応する「LTE-U」(LTE to unlicensed spectrum)についても言及した。これは通信事業者にライセンスされていない(空白の)周波数帯を利用して、通信を補完・強化する技術。同社はスモールセル用チップセットでサポートする取り組みを進めており、LTE-UとWi-Fiを共存させた実験も成功したという。製品への実装は2016年にスタートする見通しだ。心配される既存ネットワークへの干渉については、「LTEは他のアクセスポイント技術よりもよい“隣人”だ。干渉問題はまったくない」(アベール氏)と説明した。

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