インタビュー
» 2015年06月17日 06時00分 UPDATE

MVNOに聞く:1000万契約は「簡単な道のりではないが、ワクワク感もある」――平井副社長に聞く「楽天モバイル」 (1/3)

2014年に「楽天モバイル」の提供を開始した楽天とフュージョン・コミュニケーションズが、「1000万契約」を目標に掲げて話題を集めている。端末も幅広くそろえ、契約数も好調に伸びている同サービスの戦略を、楽天の平井康文副社長に聞いた。

[石野純也,ITmedia]

 「1000万契約」という大風呂敷を広げ、MVNO業界に参入した楽天モバイル。大手通信キャリアと比べて料金が安価なことに加え、主軸とするEC事業とのシナジー効果を見込めるのも同社ならではだ。楽天スーパーポイントとの連携もあり、ユーザーにとってのメリットも見えやすい。

 また、楽天モバイルは“端末まできっちりそろえてくるMVNO”だ。参入当初からこの方針は一貫しており、最近では夏モデルとして「Xperia J1 Compact」や「ZenFone 2」などを導入したほか、同社限定でHuaweiの「honor6 Plus」も取り扱うことになった。実験的という位置づけだが、データ通信専用SIMで使えるタブレット端末も充実させている。

 こうした各種施策が功を奏し、楽天モバイルは契約者数を急増させているという。詳細な数字は非公開だが、楽天の決算資料でも「Q1/15(2015年第1位四半期)において新規利用者数が大幅増」と報告されている。同業他社からも近い話は耳にしており、楽天モバイルの人気の高さを裏付ける。参入が2014年11月と他社と比べて遅かっただけに、まだ累積でのシェアには顔を出していないものの、今後要注目のMVNOといえるだろう。

 そんな楽天のMVNO事業に2月から加わり、陣頭指揮を執っているいるのがシスコ出身の平井康文副社長。就任以降、記者会見では率先して新端末、新サービスをアピールしており、楽天モバイルの“顔”になりつつある。その平井氏に、改めて楽天モバイルの今と今後をうかがった。

photo 楽天の平井康文副社長

スピード感を重視して即答で「やりましょう」

―― まだ平井さんが楽天モバイルに加わる前の話だと思いますが、改めて楽天がMVNO事業に本格参入した理由をお聞かせください。

平井氏 さかのぼれば2014年のこと、私がまだ入社していないころですが、安倍内閣が「日本再興戦略」の2014年改訂版をリリースして、3本の矢の成長戦略に日本経済が着目していました。どうやって消費を喚起するか、そして消費のバリューチェーンを作って経済成長に結びつけるかが注目されていたときです。

 一方で、毎月支払っている電話料金や通信料金が非常に高い。これでは、いくらサービスを出しても経済が回りません。そこに着目した三木谷が、ディスラプション(創造に向けた破壊)を起こそうと、MVNOが楽天にとってのビジネス戦略になりました。

 楽天は、フュージョン・コミュニケーションズを持っていて、かつ「050」のIP電話番号も所有しています。インフラの提供者となり、楽天ブランドで新しいMVNOを作ろうというのがきっかけです。それによって、月々の高止まりしている通信料金の支払額が下がれば、浮いた分で、楽天グループにとどまらない、新しい商品を喚起できます。楽天市場、楽天トラベル、楽天ブックスなどでショッピングしていただければ、楽天グループにとってもメリットになります。

―― 楽天モバイルとしての強みは、やはり楽天IDを持っているユーザー数が多いということろにあるのでしょうか。

平井氏 楽天モバイルは私が入社する前に、三木谷やそれまでのメンバーが議論して作ったものですが、ご縁があって参加し、楽天やフュージョンの事業をリードすることになったとき、自分なりに考えてみました。モバイルで成功するロードマップは何なのかということをです。私としての結論は、この事業には成功のロードマップがちゃんとあるというもので、確信を得ています。

 楽天には、楽天スーパーポイントだけでなく、サービスのポートフォリオがあります。楽天市場、楽天トラベル、楽天ブックスなど、楽天が楽天グループの中で持っているエコシステムが、共通プラットフォームの上で成り立っています。そこにユーザーとして利用するエンドポイントを持てば、サンドイッチのように両者をつなぎ合わせることができます。

 事実、MNOさんも、我々のような事業体に入ってきています。コンテンツ事業をやったり、ポイントプログラムをやり始めたりしているのがそうですね。そのときに、パートナーシップで進めた方がいいのか、自社でやった方がいいのかというのがあります。自社でやると、何かあったら階段を上がって、「これをやるのとやらないのでは、どちらがいいのか」という話もすぐにできます。楽天全体のコラボレーションで、新しい価値を日々作っていける方が、お客様に一貫性も提供できます。

―― 現状、楽天モバイルが急速に伸びているという話を耳にすることが増えてきました。何かそれを表す数字のようなものはありますか。

平井氏 具体的な数値は公開していません。また、ちょうど公募増資の発表をさせていただいたばかりで、それに関する憶測を呼ぶようはお話もできません。正直申し上げると、ほかのMVNOと比べて、周回遅れでスタートしていることは否めません。1万メートル走で例えると、他社はすでに2週ぐらいコースを回ったあとに、ようやく靴を履き始めたようなものですね(笑)。その意味で、全体の加入者数でいえば、まだまだチャレンジャーですが、対前月、対前年では飛躍的に事業を伸ばしています。

 この部屋にはありませんが、楽天には「スピード!!スピード!!スピード!!」(楽天が掲げる成功コンセプトのうちの1つ)という言葉があり、それを張り出しているところもあります。先日も某端末メーカーの方がいらっしゃったときに、即答で「やりましょう」となって、まさにその通りですねと驚かれていました(笑)。そうしたスピード感は、楽天の強みですね。

―― 大きく伸びた要因はどこにあったと見ていますか。

平井氏 2014年10月に発表して、2月に端末のラインアップをぐっと広げたときから、大きな加速が踏めました。1つの要因はそれですが、オンラインサインアップの仕組みも、日々改善しています。毎日見ていないと分からないぐらい、本当に日々やっています。それが、ある一定のところに来て、パッと花開いた感はあります。

 また、3月にデータSIMを始めたことも大きかったですね。タブレットや、通話をしない形で2台目のスマートフォンを持つ方がいて、新規端末でデータSIMを契約する方がけっこういます。我々は「SMARTalk」や「Viber」も持っているので、音声SIMを使わず通話をするというお客様もいます。

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