中古スマホ買い取り後に何が行われているのか?――ゲオの流通センターで見てきた個人情報は大丈夫?(1/2 ページ)

» 2016年04月04日 06時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 スマートフォンの普及に伴い、以前使っていた端末を売り、中古端末を安く購入するというスタイルが、広まりつつある。

 使い古したスマートフォンを机の中に眠らせているという人も多いだろう。機種変更をしてお役御免になったスマホを中古ショップで買い取ってもらえば、新しいスマホを購入する軍資金になる。

 ただ、自分のスマホを売る際に、「個人情報が漏えいしないのか」という点は気になるところ。ユーザーがリセットをかけても、専用のツールを使えば個人情報を復元することもできるからだ。また、中古端末を購入するにしても、品質は問題ないのか、ちゃんと使えるのか、もし不具合があったら……などと不安に感じる人もいるだろう。

 フィーチャーフォン全盛の頃から中古携帯市場に参入し、累計200万台の中古端末を取り扱っているゲオは、中古端末の個人情報と品質管理を、どのように行っているのだろうか? 愛知県岩倉市にあるゲオの流通センターを訪れ、ゲオ 購買流通部 商品流通課 岩倉加工センター ユニットリーダーの栗真善朗氏と、ゲオ モバイル運営部 モバイル企画課の眞鍋将司氏にお話を聞いた。

※諸般の事情により、初出時に掲載していた一部の写真を削除いたしました(4/5 3:50)。

ゲオ岩倉 愛知県岩倉市のゲオ 流通センター
ゲオ岩倉ゲオ岩倉 ゲオ 購買流通部 商品流通課 岩倉加工センター ユニットリーダーの栗真善朗氏(写真=左)。ゲオ 店舗企画部 通信企画課の眞鍋将司氏(写真=右)

端末に異常がないかを目視でチェック

 ゲオが中古品として販売する端末は、必ず同社流通センターを経由して出荷される。流通センターは、愛知県、北海道、群馬県、福岡県の4カ所にあり、愛知県(岩倉市)のセンターが最も大きな拠点となる。この流通センターでは、中古端末を販売できるよう“加工”する。では具体的に何をしているのか? 順を追って見ていこう。

 流通センターに運ばれてきた携帯電話は、まずは正常品かどうか(外装や操作に問題がないか)を検査する。買い取った店舗でも、専用のアプリを入れて、カメラやセンサーなどのハードウェアに不具合がないかを確認するが、流通センターでは作業員が目視で、水没していないか、液晶に傷がないか、バッテリーパックが膨らんでいないか、ボタンが正常に動作するか、などを確認する。おサイフケータイに対応した機種については、FeliCaが正常に動作するか、チャージした電子マネーが残っていないかをリーダーライターで確認する。栗真氏によると、これらの作業はスタッフ1人あたりで1時間で5台ほど、1日大体35〜40台を確認するそうだ。

ゲオ岩倉 正常品かどうかを手作業で検査。第一の関門だ(写真提供:ゲオ)
ゲオ岩倉 水没していると、ラベル全体がピンクに染まる(写真は正常な状態)

 ここまで念入りに検品をするのは「お店では携帯電話以外にも多くの商材を扱っているので、店舗のスタッフが1台ずつチェックするのは難しい。それを補完するツール(先述したアプリ)を導入していますが、それも万能ではないんです」と栗真氏は話す。例えば「メモリカード、SIMカードが残っていないか」「個人情報書類の有無」などは、人の目を介さないと確認できない。

 この最初の関門で「異常あり」と判定された端末は「大手企業のPCも担当している業者に依頼」(眞鍋氏)して、廃棄処分される。店頭の専用アプリではふるいにかけられるのは4割ほど、さらに流通センターでは1割ほどの端末がふるいにかけられるという。

「赤ロム」かどうかも3回チェックする

 ゲオでは、割賦での支払いが完了していない端末も買い取っている。残債が支払われなくなったり不正利用が発覚したりすると、販売元の通信キャリアからネットワークの利用制限がかかり、データ通信や通話ができなくなってしまう。ゲオでは、ネットワーク利用制限中かどうかは買い取り時、加工時、販売時の3回にわたって確認する。

ゲオ岩倉 割賦の支払いが完了していない赤ロムで、ネットワークの利用制限がかかっているかは、各キャリアのサイトで調べられる。「×」と出るネットワーク利用制限中の端末はもちろん販売しないが、今後制限される可能性のある「△」の端末は販売する

 ユーザーが中古端末を購入してからネットワーク制限がかかってしまうと、同一機種の交換か、返金をする。ゲオではこういった「赤ロム」と呼ばれる中古品に対して「永久保証」をうたっているからだ。もちろん、販売時にネットワーク制限がかかる可能性があることは、店頭で明示するほか、スタッフが直接確認、案内をするようにしている。

専用ソフトを使ってデータを完全消去する

 正常品かどうかの確認が終わったら、次はデータの消去だ。「端末でリセットするだけだと復元できてしまうことがある」(栗真氏)ため、専用ソフトをインストールしたPCとスマートフォンを接続し、データを復元できないようにする。具体的には「意味のない乱数字を書き込んで、復元しても本来の情報が読み取れないようにする」(栗真氏)そうで、仮にデータを抜き出せても乱数字が出てくるだけだ。

 データを消去するソフトは、ブランコとサードウェーブの2社のものを導入している。サードウェーブ製ソフトはフィーチャーフォン、Android、iOSいずれにも対応しているが、一度に接続できるのは4台まで。「古いソフトで処理にも時間がかかるので、最近はほぼガラケー(フィーチャーフォン)にしか使っていません」と栗真氏。一方、ブランコ製ソフトはAndroidとiOSにしか対応していないが、「同時に20台ほど接続できる」(眞鍋氏)という優れものだ。

ゲオ岩倉 ブランコのデータ消去ソフトは、一度に20台の端末を接続して作業ができる(写真提供:ゲオ)
ゲオ岩倉 データ消去の進展をスマートフォンの画面上で確認できる
ゲオ岩倉 サードウェーブのデータ消去ソフト
ゲオ岩倉 数人がPCの前に張り付いて、データ消去を行う(写真提供:ゲオ)

 栗真氏によると、データの消去は1機種あたり10〜15分ほどかかるそうだが、消去する時間は端末自体の性能や容量が影響するとのこと。ストレージの容量が大きく、CPUの世代が古い機種ほど時間がかかるという。岩倉では、1日大体400台ほどのデータを消去しているそうだ。なお、中古品として販売できないジャンク品も、「動くものについてはデータを消去している」(栗真氏)とのこと。

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