コンパクトな4型ディスプレイ搭載で注目を集めているAppleの「iPhone SE」。デザインこそ約2年半前に発売された「iPhone 5s」と同じだが、プロセッサやカメラなどが「iPhone 6s」と同等に引き上げられているのが特徴だ。
iPhoneユーザーの中には、大型化した「iPhone 6/6s」への機種変更を見送り、今回のiPhone SEを購入したという人もいるという。iPhone SEに限ったことではないが、シェアの多いiPhoneは新モデルが出るたびに多くの買い替えが発生する。
その中には、iPhoneからiPhoneだけでなく、AndroidからiPhoneへ、あるいはiPhoneからAndroidへと、異なるOSのスマホへ乗り換えるユーザーもいる。使い慣れたユーザーインタフェースよりも、それぞれのOSや製品が持つメリットを求めてのことだ。では、こうしたOSごと乗り換えるスマホユーザーはどれくらいいるのだろうか?
少し古くなるが、通信機器・基地局ベンダーのEricssonは2015年12月、スマホOSの乗り換えパターンを計測した結果を公表した。同社は自社製品が使われている100以上のグローバル市場で定期的にモバイル通信のトラフィック(Wi-Fiをのぞく)を測定しており、そこで得られた機種別のデータをもとに算出したものだ。測定は15年第三四半期で、タイミング的にiPhone 6s/6s Plusの発売前後を調べたものだが、SE発売前後の今でも参考になるデータだろう。
このレポートによると、新型iPhoneが発売される前は、iPhoneユーザーの約73%、Androidユーザーの約82%が同じOSのスマホに買い替えるという。忠実度という意味ではわずかにAndroidユーザーのほうが高いが、どちらも8割近いユーザーが同じOSを選んでいる。Windows Phoneユーザーは約2割しか同じOSを選択せず、6割がAndroidへ、15%がiPhoneに流出した。Windows 10 Mobileのリリースでこのバランスがどう変わったのかも気になるところだ。
これが新型iPhoneの発売後になると、iPhoneユーザーの忠実度は93%へアップし、Androidユーザーの忠実度は76%に減少した。新型iPhoneの登場をきっかけに、それ以前の2倍のAndroidユーザーがiPhoneに移行。Windows PhoneからiPhoneへの乗り換え比率も増えたという。日本や米国のような成熟市場では、購入から1年程度でスマホを乗り換える傾向も見られた。
iPhoneに限らず、同じOSのスマホに新型が出れば買い換えが進むのは想像に難くないが、それをグローバルなトラフィックデータから裏付けているのがこのレポートといえるだろう。ちなみにBlackberry、SymbianおよびFirefox OSなどのOSは、「普及率が低いため、対象に含まれていません」とのこと。
Ericssonの調査らしく、新機種に乗り換えたことでデータ通信がどう増えたのかも報告されている。平均では新機種にすることで、データ通信が20〜45%アップした。購入から数日間はアプリのダウンロードが多く、これは旧機種で使っていたアプリをもう一度インストールするためだ。
しかしその後は動画視聴の割合が増えているという。新機種にすることで通信速度が上がることや、ディスプレイサイズが大きくなる場合は、サイズアップで動画が見やすくなるため――と考えられている。また、こうしたデータ通信の伸びは途上国市場のほうが顕著だという。
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