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» 2018年02月16日 06時00分 公開

「H.I.S.モバイル」の海外SIMはお得なのか?

日本通信とH.I.S.が協業して、新たな通信サービス「H.I.S.モバイル」を提供する。注目は、世界各国で利用できるSIM。キャリアのローミングやレンタルルーターなどの既存サービスと比べてどれだけお得なのか?

[田中聡,ITmedia]

 日本通信とエイチアイエス(H.I.S.)が立ち上げた合弁会社「H.I.S.Mobile」が、国内と海外向けに新たなMVNOサービス「H.I.S.モバイル」を開始する。

 国内向けは日本通信の「b-mobile」と同様のプランでそれほど目新しさはないが、注目は、2018年5月から提供する海外向けの通信サービス。日本人の渡航エリア約80%をカバーするという「世界70カ国」にて、「1日500円(200MB)」「1枚のSIMカード」で利用できるという特徴を持つ。

H.I.S.モバイル 1日500円の海外SIMを5月から提供
H.I.S.モバイル アプリを使って利用国設定やデータ容量購入などが可能

 海外での通信手段は、キャリアのローミング、モバイルWi-Fiルーターのレンタル、クラウドSIM(eSIM)を利用したルーター、現地のプリペイドSIM、といった手段があるが、これらと比べてH.I.S.モバイルの海外SIMはどれだけお得なのか。

 まずキャリアのローミングサービスは、KDDIとNTTドコモが1日980円で利用できるサービスを提供している。auの「世界データ定額」と、ドコモが3月15日から提供する「パケットパック海外オプション」では、日本で契約しているプランのデータ容量を海外でも使えるのが特徴。例えば10GBや20GBなどの大容量プランを契約していれば、これらの容量をそのまま海外でも使える。

H.I.S.モバイル ドコモやauは、国内で契約したプランのデータ容量を海外でも使える(画面はドコモの「パケットパック海外オプション」)

 H.I.S.モバイルの海外SIMで使えるデータ容量は1日200MBで、H.I.S.Mobileの猪腰英知社長は「(200MBは)日本のユーザーが毎日使えるぐらいの容量」と話す。確かに、24時間で30MBしか通信できないドコモの「海外1dayパケ」よりは多く、ルート検索、翻訳、SNSへ写真をアップ、家族と連絡といった手段だったらカバーできそう。

 ただ、ストリーミングの動画をたくさん見る、電子書籍をたくさん読む、ビジネスで画像や書類をやりとりするといった使い方だと、あっという間に200MBを超える恐れもあり、人によっては物足りないと感じるかもしれない。もう少し上の料金で、1日500MBや1GBといったプランがあっても良いと感じた。なおデータ容量は、あらかじめ滞在日数分(500円×7日分など)を購入する必要があるが、アプリから追加でチャージすることもできる。

 モバイルWi-Fiルーターのレンタルは、1日500円台〜1000円台で利用できるサービスが多く、地域によってはH.I.S.モバイルの海外SIMと肩を並べる。ただ、利用できるエリアは限定されている。渡航するたびにルーターを借りる、返却するといった手間が発生するし、荷物が1つ増えるのもデメリットだ。

 H.I.S.モバイルでは、アプリで滞在国を設定すれば、国が変わると現地のプロファイルが自動でダウンロードされて接続キャリアが変わり、SIMを入れ替えずに通信できる。日本通信の福田尚久社長は、これを「変幻自在なSIM」と表現する。

 同じくSIMを入れ替えることなく、複数の国で利用できるWi-Fiルーターの方が大きなライバルになりそう。例えば「jetfi」は世界100カ国以上が対象で、1日680円、300MBから利用可能。1日180円で通話が使い放題になるオプションサービスも提供している。H.I.S.モバイルで1日500円で通話ができるかは「国による」(福田氏)そうで、通話サービスの対応国拡大にも期待したい。

H.I.S.モバイル eSIMを活用したMAYA SYSTEMの「jetfi」。これと同じ機能を搭載したスマートフォンも開発中だ

 上記jetfiを提供しているMAYA SYSTEMは、jetfiと同じeSIMを搭載したスマートフォンを2018年夏に投入する予定。これが実現すれば、国内はキャリアやMVNOのSIMを使い、海外ではSIMを入れ替えずに通信できる。H.I.S.モバイルでは国内でも海外でも物理SIMを使うため、デュアルSIM(DSDS)対応機種を使わない限り、海外へ行く際はSIMを入れ替える必要がある。福田氏によると、2018年内をめどに国内外で1枚のSIMだけで通信できるようにする予定だが、MAYA SYSTEMのeSIMスマホが実現すれば、大きなライバルとなりそうだ。

 現地のプリペイドSIMは、例えば2GBで1500円のSIMを1週間かけて使えば、H.I.S.モバイルよりも安くなるが、SIMを調べる、購入する手間が発生するのと、APN設定がうまくいかずにつながらない、といったトラブルも起こりやすい。現地のWebサイトや店舗でデータ容量をチャージするのに一苦労することもある。

 H.I.S.モバイルの海外SIMなら、ユーザーが手動でAPN設定をする必要はなく自動で接続するため、導入のハードルは低く、トラブルも起こりにくいだろう。実際、H.I.S.ではレンタル携帯サービスを提供しているが、猪腰氏によると、「つながらない」といったトラブルほとんど起きていないという。サポートについては現地の拠点ではなく、電話で対応する形になる。「詳細はこれからだが、日本通信は東京と米国にコールセンターがあるので、かなりの時差をカバーできる」(福田氏)

 なお、海外SIMを利用するにはSIMロックを解除する必要があるため、全てのスマホユーザーが、今使ってるスマホを海外でそのまま使えるわけではない。また、自分のスマートフォンが海外のネットワーク(周波数帯)に対応していなければならない。海外で使えるSIMロックフリースマホのレンタルや販売なども必要になるかもしれない。

H.I.S.モバイルH.I.S.モバイル 日本通信の福田尚久社長(写真=左)とH.I.S.Mobileの猪腰英知社長(写真=右)

 H.I.S.モバイルの海外SIMのメリットや注意点をまとめると、

  • 料金はキャリアのローミング(1日980円)よりはお得
  • データ容量の200MBはちょっと物足りないかも
  • ルーターを借りたり現地SIMを購入したりする手間がないのは便利
  • 荷物が増えないのも良い
  • 国内外で異なるSIMを使うのはちょっと不便
  • 通話は国によっては1日500円の範囲では使えない
  • 利用にはSIMロック解除が必要

 といったところ。アプリの機能や詳細なスペックで判明していない部分もあるが、H.I.S.モバイルのサービスが、海外で通信手段を確保する新たな選択肢になりそうだ。

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