日本のRCSは「世界最先端」――GSMA事務局長に聞く日本と世界の携帯電話市場(1/4 ページ)

» 2018年06月29日 18時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 世界中の通信事業者はもちろん、端末メーカーや通信インフラメーカーなどが加入する「GSM Assosiation(GSMA)」。移動体通信(携帯電話)関連するものとしては世界最大規模の業界団体だ。

 昨今のGSMAは「Mobile World Congress」の主催者としてのイメージが強いが、次世代通信やそれに付随する各種規格の策定・普及を行う団体としての側面も忘れてはならない(むしろこちらが“本業”ともいえる)。その最近の成果物が、SMS(ショートメッセージ)の次世代規格として登場した「RCS(Rich Communication Services)」だ。

 5月9日から提供が始まった3キャリア共通のメッセージサービス「+メッセージ(プラスメッセージ)」も、RCSに準拠したサービス。6月21日からはiOSデバイス(iPhone・iPad)にも対応した。

 前置きが長くなったが、ITmedia MobileはGSMAのマッツ・グランリド(Mats Granryd)事務局長にインタビューする機会を得た。グランリド氏はスウェーデン出身で、同国に拠点を構える通信機器メーカー「エリクソン」に15年間在籍し、GSMA入りする直前には同国を含む9カ国で事業を展開するキャリア「Tele2」の社長兼CEOを務めていた。

 彼にとって、日本や世界の通信業界はどのように見えるのだろうか。率直な所を聞いた。

マッツ・グランリド事務局長 マッツ・グランリド事務局長

通信のグローバルトレンドは日本から始まる

―― 今回来日した目的は何ですか。

グランリド氏 今回は、新聞社のセミナーで講演することが直接の目的です。

 できる限り頻繁に来日しようとは思っています。日本は電気通信の分野ではパイオニアですし、(通信分野における)グローバルなトレンドは日本から始まることが多いですから。

―― 日本の通信業界について、何か思うところはありますか。

グランリド氏 今、通信業界は5G(第5世代移動体通信技術)を始めとした高度な通信と、AI(人工知能)やビッグデータといったインテリジェンスが組み合わせた「インテリジェントコネクティビティ(知性を持った通信)」を実現する方向に進んでいます。

 その意味では、日本ではその「開拓者」としての役割を果たしていると思います。NTTドコモは5G、KDDIは本人確認ソリューション、Pepper(ロボット)を持つソフトバンクはAIの面で、それぞれ良い例になっていると思います。

RCSでは“先進的”な日本

―― ということは、5Gを含む通信分野において、日本は世界の先を走る存在ということなのでしょうか。

グランリド氏 良い質問です。

 5G(の商用利用)という点では、日本は最先端ではありません。というのも、韓国、中国、UAE(アラブ首長国連邦)や米国は2018年中に商用サービスを始める見通しだからです。

 日本やオーストラリアを含む数十カ国は、それ以降の商用化を目指しています。日本は2020年に東京オリンピックがあるので、それに向けて(商用化を目指す)という話になっていると思います。

 一方で、他の分野では先を行くものもあります。例えばRCS、日本では「+メッセージ」というサービス名ですが、ここは(世界の)先を行っていると思います。

―― RCSの導入において、日本はむしろ遅れた印象があるのですが、そうではないのでしょうか。

グランリド氏 全然そんなことはありません。+メッセージは3キャリアが同時に始めたサービスです。これは(世界的に見て)ユニークな取り組みですし、(普及促進の上で)正しいやり方だと思います。

 実は、異なるキャリアが統一プラットフォームでRCSを開始したのは、(現時点では)日本が世界で唯一です。(RCSの規格を策定したGSMAとしても)勇気づけられます。

―― 海外では各キャリアがバラバラに(異なる基盤で)RCSを導入しているということでしょうか。

グランリド氏 そうです。

GSMAのニュースリリース GSMAは日本での+メッセージ開始に合わせてニュースリリースを出した。大手キャリアが共通基盤のもとRCSを開始した世界初の事例だからだ
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