既報の通り、KDDIと沖縄セルラー電話は7月12日、京セラ製のAndroidケータイ「INFOBAR xv(インフォバーエックスブイ)」を発表した。
INFOBAR xvは、auの2018年秋モデルとして発売される。10月31日から11月12日まで「21_21 DESIGN SIGHT」(東京都港区)で開催予定の「新・ケータイ INFOBAR展(仮)」が“発売前イベント”という位置付けということなので、少なくとも発売まであと3カ月はある。
秋モデルであるINFOBAR xvを初夏の頃合いに発表したのはなぜなのだろうか。
2002年、auのブランド力向上を目的として「au Design Project」が始まった。その翌年、プロダクトデザイナーの深沢直人氏が作成したコンセプトデザイン「info.bar」をベースに、初代の「INFOBAR」が登場した。
このINFOBARには、いまだに熱烈なファンがいるという。au Design Projectの15周年を記念して2017年にKDDIが開催した「ケータイの形態学展」では、後継機を求めるユーザーの声が少なくなかったという。また同社が同年にWebで実施した「おもいでケータイグランプリ」でも、INFOBARが713機種の頂点に輝いた。
同社の山田靖久理事は、これらのイベントを通して得られたINFOBARファンの声がINFOBAR xvの発売につながったと語る。
先述の通りINFOBAR xvは“秋モデル”だが、「ファンの皆さんにいち早く伝えたかった」(山田理事)ため、「通常のラインアップとは異なるタイミング」(同)となる初夏のタイミングで発表することにしたとのことだ。
「二つ折り」の携帯電話が主流となりつつあった2003年。そんな風潮の中、初代INFOBARはあえてストレートボディーを採用。斬新なカラーバリエーションと相まって大きな話題を呼んだ。
しかし現在は「大画面のスマートフォン」が携帯電話の主流。INFOBARシリーズでも過去に4機種のスマホを出している。スマホ最盛期の今、あえてAndroidベースのケータイ(KDDI風にいえば「ガラホ」)を、ストレートボディーで出すのはどうしてなのだろうか。
INFOBARシリーズのデザインを手がけてきたプロダクトデザイナーの深沢直人氏は、スマホ中心の時代の今、「持ち歩く電話として“携帯する”上で一番適正な形はどうなのか」考えたという。
技術的なハードル(制約)なども踏まえ、折りたたみケータイとすることも検討したが、「人間の“携帯する”という行動にスッと入り込める」ことから、INFO“BAR”という名前も踏まえてバータイプ(ストレートボディー)のケータイとすることにしたようだ。
あえてケータイとした理由は形状だけではない。
深沢氏自身は普段スマホを使っており、「スマホの進化と共にアプリも進化してきた」と評価する一方、「(スマホには)アプリが入りすぎている」という問題意識も持っている。「持ち歩くのに適正な、最低限のアプリケーション(機能)だけが使える」ように、あえて機能追加に対する制約を加える意図を持ってケータイとしたのだ。
なおINFOBAR xv自体はLINEや+メッセージにも対応しているため、必要最低限のコミュニケーションは取れるようになっている。
INFOBAR xvのテンキーは完全なフレームレス構造となっている。これは15年前では実現できなかったことで、深沢氏は「世界に誇って良い精緻な技術」と自信を見せた。
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