KDDIは8月1日、2019年度第1四半期の決算説明会を開催。通信料収入については前年比で減収となったものの、付加価値サービスの拡大になどより全体では増収増益となっている。質疑応答では公正取引委員会から指摘された、いわゆる「4年縛り」問題について、高橋誠社長は条件を見直す方針であることを明言した。
2018年4月にKDDI社長に就任した高橋誠氏にとって、2度目の決算会見となる。「通信とライフデザインの融合」というスローガンを掲げ、付加価値に重点をおいた戦略で臨んできたKDDIの第1四半期。Netflixと提携したパック型料金プラン「auフラットプラン25 Netflixパック」の提供を開始したことが大きなトピックだ。
法人向けには工場向けIoTソリューションを一気通貫で提供する「KDDI IoTクラウド 〜工場パッケージ〜」を提供。コンシューマー向けと同様に、通信料収入だけに頼らず、付加価値の高いサービスで稼ぐ方針だ。
収益構造の転換のきっかけとなったのが、「auピタットプラン」と「auフラットプラン」だ。2017年7月14日に提供が開始された両プランは、2018年5月31日には800万契約突破。7月31日時点は900万契約を超えた。新機種を購入するユーザーの9割は新プランを選択しているなど、順調に拡大していることを高橋氏は強調した。
料金プランに対する満足度も新プラン提供から1年で大幅に改善しているという(数値は非開示)。その裏付けとして、auの解約率が改善していると紹介。MVNOを隆盛により2016年度には解約率が一時期は1%を突破した時期もあったが、2018年第1四半期には0.71%まで低下している。
その一方で、低下傾向にあるのがauの通信料収入だ。au通信料ARPA(1アカウント当たりのau通信料)は5840円となり、前年同期比より減少。全体のモバイル通信料収入でも4421億円と、前年度より112億円の減少となった。
高橋氏は通信料収入の減少について、「大容量プランの選択率が上昇しており、今後反転が期待される」と補足。パケット単価を下げつつも、通信の利用を促すことで通信料収入の向上を目指すとした。
会見の質疑応答で真っ先に話題に上がったのが、いわゆる「4年縛り」問題。公正取引委員会が6月28日付けで発表した調査報告書にて、「独占禁止法に抵触するおそれがある」として、auとソフトバンクに対して改善を求めていた問題だ。
「4年縛り」となるのは、auの「アップグレードプログラムEX」というオプションプラン。このオプションは、端末を分割払いで購入することで、新機種購入時に特典として、残債の支払いが免除されるという内容。支払い免除のためには「分割払いで購入した機種の返却」などいくつかの条件がある。
今回、問題とされたのは、購入後の機種で「購入後の新機種でアップグレードプログラムに再加入する」ことが、残債支払い免除の条件とされていたこと。残債免除の条件を適用するためには次の端末も分割で購入する必要があるため、特典を受け続けるためには半永久的にauで端末を購入し続けることになる。これが他キャリアやMVNOへの転出を困難にする可能性があるというものだ。
その対策として「購入後の新機種でアップグレードプログラムに再加入する」という条件を撤廃すると、高橋社長が明らかにした。なるべく早期に対応したいと表明されたが、料金計算システムの準備が整い次第の対応となる見込みだという。
この他、総務省から指摘されていた「2年縛り」問題の改善も表明された。総務省の指摘は、「2年分(24カ月分)の料金のみで解約できないという状態を是正すべき」という内容。
auの自動更新タイプの料金プランの場合、現状では契約から25カ月目〜26カ月目の2カ月間は契約解除料なしで解約できる「更新期間」となっており、24カ月目に解約しようとすると、契約解除料が発生してしまう。
高橋氏はこの「更新期間」に「契約から24カ月」を追加して、3カ月に変更するという対応策を発表。2019年春頃の対応に向けて準備していると明らかにした。
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