KDDIは5月10日、2017年度(2018年3月期)の通期決算を公表した。連結営業利益は前年度比5.5%増の9628億円となった。
同日に行われた報道関係者向けの決算説明会では、4月1日に就任した高橋誠新社長が「通信とライフデザインの融合(参考記事)」「2017年度決算概況」「2018年度業績予想」を直接説明した。
この記事では、この説明会での質疑応答の主なやりとりを体裁を整えた上でお伝えする。
―― モバイルID(携帯電話契約者)数の見通しについて尋ねたい。2018年度末の予想では、(グループ内)MVNOにおいて契約者数の純増を見込んでいる一方、au(KDDIと沖縄セルラー電話)では純減を見込んでいる。その背景を教えてほしい。
高橋社長 au契約数はおっしゃる通り引き続き純減を見込んでいるが、「auピタットプラン」「auフラットプラン」が好調で解約率の低下傾向が見えてきていて、MVNOへの流出も抑制されてきている。良い傾向にあると思う。
一方で、UQ mobileを始めとする(グループ内)MVNOについては加入者数が引き続き順調に増えている。合算してモバイルID数が増えていけば良いと考えている。
―― 2017年度は、前年度に比べて営業キャッシュフローが1000億円近く減った。これはなぜなのか、説明してほしい。
高橋社長 2017年度の営業キャッシュフローは確かに目立って減っている。これは「アップグレードプログラムEX」の導入で割賦(分割払い)の期間が長期化に対応して割賦債権が増えたことによる効果が一番大きい。
2018年度のフリーキャッシュフロー(営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー)は額がさらに減って2600億円を見込んでいる。これは割賦債権が引き続き増加することを見込んだことに加えて、2000億円程度の成長投資をしようと思っているからだ。
―― アップグレードプログラムEXの利用状況はどうか。
高橋社長 数字は公表していないが、分割払いで端末を購入するお客さまは、おおむね加入していると聞いている。うけの良いサービスという認識だ。
司会者 補足すると、分割払いで購入するお客さまのおよそ9割がアップグレードプログラムEXを利用しています。
―― アップグレードプログラムEXについて、総務省の「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」において“4年縛り”として問題視された。これについての受け止めは。
高橋社長 総務省の検討会や公正取引委員会において意見聴取がなされている。
総務省の方(検討会)では報告書がまとまり、要請あるいはガイドラインの検討に入っていると聞いている。これに対応していこうと考えている。
弊社としては、2年後に特典を行使する(端末を下取りに出して機種変更する)か、中古ショップなどに端末を売却するかといった選択肢を設けているという見解だが、ここの説明が分かりづらいという指摘はいただいている。
この点は真摯(しんし)に受け止めて、総務省や公正取引委員会の方針も踏まえて対応していきたい。
―― 4月8日時点でピタットプランとフラットプランの契約者数が700万を突破したとのことだが、これは計画以上のペースなのか。
高橋社長 予想以上だ。このことは、先ほどのフリーキャッシュフローが若干悪化しているという話ともつながる。
―― 総務省の検討会では、「2年ぴったりでやめられるようにする」という話も出た。この件についてはどう対応するのか。
高橋社長 検討会の中でそのような指摘が出たことは認識している。アップグレードプログラムEXと同様に、総務省での方針が出たらそれに沿う形で対応したい。
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