日本参入1年目で、OPPOがSIMフリースマホにFeliCaを搭載した理由

» 2018年08月23日 13時11分 公開
[田中聡ITmedia]

 OPPO Japanが新たなSIMロックフリースマートフォン「R15 Pro」と「R15 Neo」を発表した。8月22日に開催した製品発表会で、OPPO Japan 代表取締役のトウ・ウシン氏が新製品の狙いを語った。

OPPO 「R15 Pro」の主な特徴
OPPO 「R15 Neo」の主な特徴

FeliCa搭載は日本市場を本気で攻める証

 発表内容で目を引くのが、「防水(IPX7)」と「FeliCa(おサイフケータイ)」に対応した「R15 Pro」だ。防水は他の海外メーカーでも採用しているところは多いが、FeliCaは日本限定の機能とあって、海外メーカーがSIMロックフリー端末に搭載することは珍しい。トウ氏は、日本の3キャリアが販売しているスマートフォンを観察したところ、FeliCaが真のニーズにあると判断し、搭載を決めたと話す。

OPPO R15 Proを手にするトウ・ウシン氏

 トウ氏は「日本のSIMフリー市場参入後、わずか半年でFeliCaと防水を搭載したスピード感は、OPPOが商品の現地化をいち早く進める決意のあらわれ。誠意を感じ取ってもらいたい」と力説する。誠意とはつまり、日本市場を本気で攻めようという意思の表れでもある。「『OPPOは本気で日本に進出するのか? すぐに出て行くつもりか?』という話を聞くことがある。FeliCaを搭載することで、本気であることの証にしたい」とトウ氏は語る。

 日本で第1弾スマホ「R11s」を発売したのは2018年2月だが、それから1カ月後の3月からFeliCaの搭載に取り組んだ。「フェリカネットワークス、富士ソフト、ソニーに協力いただいて、非常に感謝している」とトウ氏。R15 ProはAndroidをベースにした独自の「Color OS」を搭載しているが、このColor OS上でFeliCaを実装することも苦労したそうだ。「ソニーと富士ソフトのエンジニアには、OPPOの工場に常駐してもらい、休みなく開発を進めた」と同氏は振り返る。

 今後、防水とFeliCaはOPPOのスマホに標準搭載されていくのだろうか。トウ氏は「全ての機種に投入すると、開発スケジュールに影響が出る。今後は(ユーザーの)ニーズや発売時期に合わせて搭載したい」と述べるにとどめた。

2万〜3万円台のモデルも必要

 R11sは約6万円という価格や販路の少なさから、「大ヒットした」という話は聞かれないが、OPPO Japan 営業本部 商品企画部 部長の李毅氏によると、R11sは想定通りの売れ行きだったという。R11sは、その当時にOPPOを代表するモデルで、日本にOPPOのブランドを認知してもらうために投入した。一方で、「日本のSIMフリー市場で60〜70%のユーザーが2万〜3万円のものを求めていると分かった」ことから、2万円台のR15 Neoの投入を決めた。

 そのR15 Neoは、海外で展開しているモデルをベースに、製品名を日本向けに変更したもの。「日本のスマートフォンは、メーカーごとにシリーズ名は同じ」(トウ氏)という理由から、「R」シリーズに含めたそうだ。

OPPO OPPOスマホの販売数拡大が期待されるR15 Neo

MVNOとの提携は間もなく?

 OPPOは最終的には日本のキャリアとの提携を目指しているが、SIMロックフリー端末についてはMVNOと提携しないと、販売数を伸ばすのは難しい。トウ氏は今回の新機種で「販売パートナーを増やした」と話していたが、販路は「R11s」と同じく量販店やECサイトに限られる。

OPPO R15 ProとR15 Neoの販路

 トウ氏は「MVNOと協力していないわけではない」と話す。調整の問題でタイミングが合わず、22日の時点では発表できなかったが、交渉はしており、その結果次第ではR15 ProとR15 NeoがMVNOから販売される可能性はあるとのこと。

 端末のアフターサービスについては、「流れを簡素化し、時間を短縮、サービス提供の窓口となる拠点を増やすことでより快適なサービスを目指す」とトウ氏は言うが、具体的な施策はこれから。OPPOは2018年内に、もう2機種を日本で発売予定だが、そのタイミングに合わせて、アフターサービスの施策を発表するとしている。なお、電話やメールによるサポートは現在も実施している。

 新製品の価格はR15 Proが6万9880円(税別、以下同)、R15 Neoが2万9880円(メモリ4GB)または2万5880円(メモリ3GB)。この価格にはどんな意図があるのか。

OPPO R15 ProとR15 Neoの価格

 R15 Proは、防水とFeliCaを追加したことで、他の地域よりも高額になったという。R15 Neoは、R11sの販売状況を鑑み、日本でコストパフォーマンスを求める人にとって最適な価格を出したとトウ氏は話す。同氏はR15 Proの「FeliCa」、R15 Neoの「価格」によって、より広範なユーザーを対象にできたと自信を見せる。

OPPO インタビューに答えるトウ氏(左は李氏)

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