東日本旅客鉄道(JR東日本)が、おサイフケータイ端末に提供している「モバイルSuica」。そのサービスが完全無料化されることになりました。
現状、モバイルSuicaのフルサービスを使うには1030円(税込)の年会費が必要ですが、同じサービスに対応するApple Pay(iPhone/Apple Watch)の「Suica」なら、フルサービス利用でも年会費“無料”(※1)。モバイルSuicaユーザーでも、ビューカードを持っていれば年会費が無料になりますが(※2)、Apple Payで使っている人ならビューカードを持っていなくても年会費“無料”になります。
※1 フルサービスを利用するには、別途「Suica」アプリをインストールする必要があります
※2 JR東日本の子会社である「ビューカード」が発行するクレジットカードと、JR東日本が他のカード会社と提携して発行する「ビューカード(Type 2)」が対象
これでモバイルSuicaユーザーへの“差別”も解消……と思いきや、年会費の無料化は2020年2月26日と、差別解消は1年以上も先です。
一体、なぜこんなことになってしまったのでしょうか。モバイルSuica一筋12年の筆者が、JR東日本広報部に質問してみました。
―― モバイルSuicaの年会費を無料化する経緯を改めて聞かせてください。
JR東日本広報部 より多くのお客さまにモバイルSuicaを便利にお使いいただくため、年会費を無料化することとしました。
―― Apple PayのSuicaは、サービス開始当初から一般クレジットカードでも年会費無料です。モバイルSuicaでそれができなかったのはなぜでしょうか。
JR東日本広報部 ケータイ・Android向けのモバイルSuicaについてはアプリなどのシステム全般を当社が作成・維持・管理しています。そのことから、従来はご利用のお客さまに「年会費」という形で(システムの作成・維持・管理に対する)ご負担をお願いしてきました。
一方で、iPhone(とApple Watch)向けのSuicaアプリケーションについては、基本的なシステムはApple Payの仕組みを利用しています。このことから、年会費を無料としましてきました。
―― モバイルSuicaの年会費無料化が、Apple PayのSuicaとの「サービス均質化」という観点で行われるものなら、なるべく早期に実現すべきだと考える人もいると思います。
なぜ、ニュースリリースの発行日(1月16日)から1年以上も時間がかかってしまうのでしょうか。
JR東日本広報部 お客さまへの告知期間などを考慮し、2020年2月26日(を無料化の期日)とさせていただきました。
―― 今回の無料化に合わせて、フィーチャーフォンの全機種とAndroidスマホ・タブレットの一部機種でのサービスを終了します。その理由を教えてください。
JR東日本広報部 モバイルSuicaの品質やセキュリティを維持・向上に対応することができないため、サービスを継続することができません。
以上が主なやりとりです。
1年以上先、とはいえモバイルSuicaの年会費無料化は歓迎すべきこと。2020年といえば東京でオリンピックが開催される年でもあります。
インバウンド対応も含めて、Suica全体のサービスアップに期待したいところです。
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