auのスマホ契約者の月間データ通信量を分析すると、契約者の約45%が「1GB以上7GB未満」のゾーンに収まるという。発表会資料を見る限り、約4分の1が「7GB以上」、残りが「1GB未満」のゾーンに収まるようだ。
今回の新料金プランは、各ゾーンへの配慮が伺えるものになっている。順番は前後するが、新プランの特徴を改めてチェックしていこう。
(新プランの月額料金は「2年契約」適用時のもの。同契約がない場合は一律1500円増しとなる)
新auピタットプランは、auピタットプラン(旧プラン)と比較して月額料金が変わる「容量のしきい」を変えたこと特徴だ。
旧プランのうち、新プランと設定の近い「auピタットプラン(シンプル)」では、料金ステップは以下のようになっている。
これに対し、新ピタットプランでは以下のような設定となっている。
ご覧の通り、ステップは5つから3つに削減され、月間データ容量の上限は20GBから7GBに引き下げられている。
ステップ1の設定は新旧で共通だが、新プランでは家族割プラスを適用すると月額500〜1000円の割り引きを受けられる。そのため、「1GB未満」のゾーンにいる家族ユーザーは「値下げ」の恩恵にあずかれる。
しきいの変更に伴い、新プランでは「1GB以上2GB未満」と「7GB超」で値上げが発生する。ただし、1GB超2GB未満のユーザーについては、auスマートバリューまたは家族割プラス(あるいは両方)を適用すると割り引き前の旧プランと「同等」か、それ以上に「安価」となる。
auフラットプラン7プラスは、月間7GBのデータ容量を備える中容量ユーザー向けのプラン。このプランは、今までのauスマホ向けデータプランにはない特徴を2つ備える。
1つが一部のSNSやコミュニケーションサービスにおけるデータ通信の無料化。「システム対応の都合」(東海林崇専務)から、2019年秋以降に対応する予定となっている。
5月13日現在、対象となるSNSは「+メッセージ」「Facebook」「Instagram」「Twitter」の4つ(それぞれ一部通信を除く)だが、SNS提供事業者との話し合い次第でさらに拡大する可能性がある。
ただし、特定のWebサービスやアプリに関するデータ通信量をカウントしない行為(いわゆる「ゼロレーティング」)は、日本国憲法が保障する「通信の秘密」を侵害し、特定のサービスやアプリを有利(不利)に扱うことで「ネットワーク中立性」を損なうのではないかという意見もあり、通信事業者でもその是非について意見が分かれている。
この点について、KDDIは「オープンなスタンスで(SNS)事業者から要望があれば相談に応じる」(東海林専務)ため問題はないという見解を示す一方、総務省での議論の行方次第で、それに従った対応を講じることも示唆している。
もう1つが容量超過時の通信速度が上下最大300kbpsに設定されていること。プランの特性を鑑み、「SNSのテキストデータ程度であれば、ストレスなく通信できる」(東海林専務)ことから、このプランだけの“特典”として設定された。
ただし、昨今のSNSやコミュニケーションサービスは、意外と通信速度を要求する場面が多い。「本当に上下最大300kbpsで十分なのか?」という議論も巻き起こりそうだ。
auデータMAXプランは、大手キャリア(MNO)のスマホ向けプランとしては初めて国内の月間データ通信容量を無制限としたことが大きな特徴。他の2プランとは異なり、提供予定時期が「2019年夏」と少し曖昧になっている。
割り引き前の月額料金は8980円と、ソフトバンクの「ウルトラギガモンスター+」(月額7480円)と比べて高額だが、キャンペーンなしでデータ容量無制限を実現している点が大きく異なる。
ただし、このプランでは以下の条件に当てはまると通信速度が制限されることがある。
問題は制限がかかる条件が“具体的に”明示されていないことにある。サービス開始前でトラフィック(データの送受信状況)にどのような影響が出るか分からないゆえのことだと思われるが、少なくとも、ユーザーのことを考えるなら規制対象のサービスや「一定期間」「大量」の定義は早い時期に示した方が良いだろう。
また、このプランで無制限なのは、スマホ単体で行う国内でのデータ通信。以下の通信については月間20GBのデータ通信容量が別途設定されている。
「端末単体では国内データ無制限、それ以外は一定の容量(速度)制限」という組み立てのプランは、海外でも一部見受けられる。単位あたりのデータ通信料金がより安くなる「5G(第5世代移動体通信システム)」時代を見据えて、国内他キャリアに同等の組み立てのプランが広がるかどうかは見ものといえる。
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