これは“始まりの終わり”だ――マイクロソフトがVistaの最新動向を説明WinHEC 2007 Tokyo(2/2 ページ)

» 2007年06月19日 02時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]
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次に目指すのは「超並列処理と複雑さへの挑戦」

マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者 加治佐俊一氏

 記者説明会の前には、WinHEC 2007 Tokyoの基調講演が開催された。最初に挨拶した同社 業務執行役員 最高技術責任者 加治佐俊一氏は、「WinHECは今年で15年を迎えるが、15年前は日本でさまざまなPCのアーキテクチャがあり、当時はそれをマイクロソフトのプラットフォームに共通化していこうと注力していた。そのころからパートナー企業と連携を深めており、日本でのハードウェアの強いエコシステムが作れた。今後も発展させたい」と述べた。

 また、日本のハードウェアパートナー企業は、最先端の光ディスク技術をはじめ、カラーイメージング分野では先進的なプリンタ/複合機、デジタルカメラ、映像処理技術を備えており、ブロードバンドやモバイルネットワークも普及しているなど、世界のPCエクスペリエンスで非常に重要な位置にあるとした。ちなみに、Vistaに搭載されたプリンタドライバのうち、8割は日本メーカー製となっている。

 続いて登壇した米マイクロソフト PC|3コーポレート バイスプレジデント ビル・ミッチェル氏は、「現在と将来におけるプラットフォームの革新」と題してプレゼンテーションを行った。同氏は、PC業界の成長が今度鈍化するのではないかという一部の予測に対して、ビル・ゲイツ氏がウィンストン・チャーチルの言葉から引用して述べた意見を例に挙げ、「PCの終わりが始まったのではなく、これは始まりの終わりである」とし、VistaやOffice 2007のローンチは順調であり、今後も成長していくと力説した。

米マイクロソフト PC|3コーポレート バイスプレジデント ビル・ミッチェル氏(写真=左)。ビル・ゲイツ氏の言葉(写真=中央)。今後のPC業界の成長材料をまとめて示した(写真=右)

 壇上には小型のモバイルPCが多数展示され、同氏はそれらを紹介したうえで「12年前に秋葉原に来たときに非常に小さいPCを見かけて、いつか世界で小型PCが普及すると思った。それが実現してうれしい」と感想を述べた。

SideShow対応のBluetoothリモコンやE-bookリーダー、SideShow対応のノートPC「LG Z1」など(写真=左)。サムスン電子のUMPC「Q1 Ultra」(写真=中央)。HTCの「HTC Shift」(写真=右)

 また、同氏はネットワーク機器を手軽に接続できるようにする技術のWindows Rallyを「USBのように業界を変革する技術」とアピール。無線LANルータをPINコードでセットアップし、外付けHDD、無線LAN内蔵デジタルカメラ、SideShow対応のフォトフレームデバイスを数分間ですべて接続するデモを行った。デジタルカメラで撮影した画像は無線LANで自動的にPCへ転送され、Bluetooth接続されたフォトフレームデバイスで表示できる仕組みだ。また、PCとXbox 360をIEEE802.11nの無線LANで接続し、Media Center Extender機能により1080pのWMV HD映像を遅延なくストリーミング再生した。

Media Center Extender機能によるWMV HD映像の再生デモ(写真=左、中央)。日本のWindows Rallyパートナー企業(写真=右)

家庭から大企業までカバーするWindows Server製品(写真=左)。個人ユーザーがセキュアなネットワークを構築できる家庭用サーバOSのWindows Home Serverも紹介された(写真=中央)。Windows Home Server搭載製品は、今年後半に市場投入される見込みだ。Windows Server 2008は、管理性、セキュリティ、パフォーマンスなどが強化された(写真=右)。

 最後には、再び加治佐氏が登場。「さらなるCPUパフォーマンスの要求はあるが、これまで通りスケールアップはできないため、サーバだけでなく、デスクトップやモバイルもメニーコアCPUに向かっている」とし、次のソフトウェア開発のチャレンジはメニーコアCPUの性能を最大限に生かす「超並列処理と複雑さへの挑戦」だと述べた。

サーバ、デスクトップ、ウルトラモバイルなどフォームファクタを問わず、異種混合マルチコアCPUの時代へ向かうと予想(写真=左)。複雑なプログラムを分散し、非同期に並列処理することが、メニーコア環境でのソフトウェア開発ポイントになるという。(写真=中央)。2006年12月にリリースされたロボティックス(ロボット工学)コミュニティ向け開発プラットフォームのRobotics Studio(英語版)も紹介された(写真=右)。Robotics Studioは、複雑な動作を非同期に並列処理する実行環境のConcurrency and Coordination Runtime(CCR)を採用する。

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