記者説明会の前には、WinHEC 2007 Tokyoの基調講演が開催された。最初に挨拶した同社 業務執行役員 最高技術責任者 加治佐俊一氏は、「WinHECは今年で15年を迎えるが、15年前は日本でさまざまなPCのアーキテクチャがあり、当時はそれをマイクロソフトのプラットフォームに共通化していこうと注力していた。そのころからパートナー企業と連携を深めており、日本でのハードウェアの強いエコシステムが作れた。今後も発展させたい」と述べた。
また、日本のハードウェアパートナー企業は、最先端の光ディスク技術をはじめ、カラーイメージング分野では先進的なプリンタ/複合機、デジタルカメラ、映像処理技術を備えており、ブロードバンドやモバイルネットワークも普及しているなど、世界のPCエクスペリエンスで非常に重要な位置にあるとした。ちなみに、Vistaに搭載されたプリンタドライバのうち、8割は日本メーカー製となっている。
続いて登壇した米マイクロソフト PC|3コーポレート バイスプレジデント ビル・ミッチェル氏は、「現在と将来におけるプラットフォームの革新」と題してプレゼンテーションを行った。同氏は、PC業界の成長が今度鈍化するのではないかという一部の予測に対して、ビル・ゲイツ氏がウィンストン・チャーチルの言葉から引用して述べた意見を例に挙げ、「PCの終わりが始まったのではなく、これは始まりの終わりである」とし、VistaやOffice 2007のローンチは順調であり、今後も成長していくと力説した。
壇上には小型のモバイルPCが多数展示され、同氏はそれらを紹介したうえで「12年前に秋葉原に来たときに非常に小さいPCを見かけて、いつか世界で小型PCが普及すると思った。それが実現してうれしい」と感想を述べた。
また、同氏はネットワーク機器を手軽に接続できるようにする技術のWindows Rallyを「USBのように業界を変革する技術」とアピール。無線LANルータをPINコードでセットアップし、外付けHDD、無線LAN内蔵デジタルカメラ、SideShow対応のフォトフレームデバイスを数分間ですべて接続するデモを行った。デジタルカメラで撮影した画像は無線LANで自動的にPCへ転送され、Bluetooth接続されたフォトフレームデバイスで表示できる仕組みだ。また、PCとXbox 360をIEEE802.11nの無線LANで接続し、Media Center Extender機能により1080pのWMV HD映像を遅延なくストリーミング再生した。
最後には、再び加治佐氏が登場。「さらなるCPUパフォーマンスの要求はあるが、これまで通りスケールアップはできないため、サーバだけでなく、デスクトップやモバイルもメニーコアCPUに向かっている」とし、次のソフトウェア開発のチャレンジはメニーコアCPUの性能を最大限に生かす「超並列処理と複雑さへの挑戦」だと述べた。
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