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» 2009年01月08日 14時00分 UPDATE

ソニー初のAtomマシンが登場:これは理想の低価格ミニノートPCなのか!?――「VAIO type P」徹底検証(前編) (4/4)

[前橋豪, 撮影:矢野渉,ITmedia]
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128GバイトSSD、ワイヤレスWAN/GPS、ワンセグを搭載可能

 CPUとチップセット以外の基本スペックを見ても、Netbookとは一味違う。メインメモリはIntel SCH US15Wチップセットの最大容量となる2GバイトのDDR2-533 SDRAMをオンボードで実装するため、メモリスロットはない。データストレージは、店頭販売モデルこそ1.8インチ/5ミリ厚の60GバイトParallel ATA接続HDD(ZIFコネクタ仕様)にとどまるが、直販モデルでは64Gバイトもしくは128GバイトのSerial ATA接続SSD(いずれもMLCタイプ)が選択できる。

 Netbookでは現状で32GバイトSSDが上限なので、大容量のSSDを選べるのはありがたい。VAIO type Pは光学ドライブも冷却ファンも搭載していないため、SSDを選択することで、内部に回転体が1つもない「真のゼロスピンドル構成」となるのも物欲をそそられる。

 ただし、チップセットがSerial ATAをサポートしない関係から、HDDの接続インタフェースはParallel ATAなので、SSDはSerial ATA/Parallel ATA変換アダプタを介してマザーボード上の専用端子に接続される。したがって、HDDと比較して高速ではあるが、変換アダプタ経由でのParallel ATA接続が多少はボトルネックになっていると予想される(パフォーマンスの検証は後編)。VAIO type Pの内部構造に関しては、こちらの分解記事を参照してほしい。

※記事初出時、ソニーへの取材で得た情報として、マザーボード側のデータストレージ接続用インタフェースをUltra ATA/66と記載していましたが、検証結果をもとに同社に再確認したところ、正しくはUltra ATA/100であると判明しました。おわびして訂正いたします(2009年1月21日)。

HDDはZIFコネクタを備えた1.8インチ/5ミリ厚の60Gバイトドライブを採用(写真=左)。HDDは東芝のMK6028GALだった。SSDは64Gバイトもしくは128Gバイトから選択でき、Serial ATAからParallel ATAへ変換するアダプタを経由して接続される(写真=中央)。SSDからアダプタを取り外したところ(写真=右)。写真のSSDは64Gバイトで、メモリチップは片面実装だ。型番はSamsungのMMCRE64GFMPPで、MLCタイプのSSDだ。128Gバイトではメモリチップが両面実装になる

 インタフェースは2基のUSB 2.0、ヘッドフォン、専用I/Oポート、SDHC対応SDメモリーカード/MMCスロット、メモリースティックPROスロット、有効画素数31万画素のWebカメラを搭載する。USB 2.0ポートは左右に振り分けられていて使いやすい。オプションとしてVAIO type Tと同様、ノイズキャンセリングヘッドフォンが用意されている点にも注目だ(端子の仕様はVAIO type Tのノイズキャンセリングヘッドフォンとは異なる)。

 ただし、本体サイズが小さいこともあって、USB 2.0ポートの数は2基にとどまり、有線LANとアナログRGB出力の端子は、専用I/Oポートに接続するオプションの変換アダプタ経由での利用となる点は注意してほしい。

前面にはワイヤレス通信のスイッチ、電源スイッチ、メモリカードスロットを配置(写真=左)。メモリカードスロットはダミーカードが装着されている。背面は薄型のリチウムイオンポリマーバッテリーで占有されている(写真=右)

左側面にはACアダプタ接続用のDC入力、USB 2.0、ヘッドフォンが並ぶ(写真=左)。手前には放熱用の通風口があるが、冷却ファンは内蔵していない。右側面に専用I/OポートとUSB 2.0を備えている(写真=右)

 もっとも、ネットワーク機能はIEEE802.11b/g/nの無線LAN(11nはドラフト準拠)とBluetooth 2.1+EDRを備えており、不満はない。さらに本体に内蔵するデバイスとして、ワイヤレスWAN機能もしくはワンセグチューナーが選択できる。ワイヤレスWAN機能はNTTドコモのFOMA HIGH-SPEED(下り最大7.2Mbps)に対応し、GPS機能も利用可能になるのがポイントだ。GPS機能があれば、後編で取り上げる専用ソフトをより便利に使える。

専用I/Oポートに接続するオプションのアナログRGB出力/有線LANアダプタ(写真=左)。アナログRGB出力/有線LANアダプタは携帯時にケーブルを収納でき、サイズは36(幅)×84(奥行き)×25.5(高さ)ミリ、実測値での重量は約55グラムだ(写真=中央)。さらに、アナログRGB出力/有線LANアダプタはACアダプタとウォールマウントプラグと連結できる構造になっており、スティック型ACアダプタとして、からばらずに持ち運ぶことが可能だ(写真=右)。この状態でのサイズは36(幅)×193(奥行き)×25.5(高さ)ミリ、実測値での重量は約190グラムだ

液晶ディスプレイ部の右側に有効画素数31万画素のWebカメラを搭載する(写真=左)。オプションで用意されるノイズキャンセリングヘッドフォン(写真=中央)。ノイズキャンセリングヘッドフォンの設定はタスクトレイから呼び出すことができる(写真=右)

OSはWindows Vista Home Basicが基本でインスタントモードも装備

 OSはWindows Aeroに対応せず、Windows Media Centerなどの機能がない32ビット版Windows Vista Home Basic(SP1)がプリインストールされる。直販モデルでは32ビット版Windows Vista Business(SP1)/Home Premium(SP1)も選択可能だが、VAIO type PではWindows Aeroをオンにするとパフォーマンスが低下するため、これが目的でOSをアップグレードするのはおすすめできない(ソニーも公式にWindows Aeroは使用不可としている)。

Linuxベースで動作するインスタントモードはクロスメディアバーを採用

 Atom Z500番台のCPUを採用したVAIO type Pはパフォーマンス面では不利になり、OSの起動に時間がかかるため、電源オフの状態からWindowsよりも高速に起動が可能なLinuxベースのインスタントモードが用意されているのはユニークだ。このインスタントモードは電源オフや休止状態の場合に、クリックボタン右に配置されたプログラマブルボタンを押すことで起動する。ソニーのAV機器に幅広く採用されているクロスメディアバー(XMB)のインタフェースを装備しており、ここでも見た目と操作性にこだわっている。

 Windowsのパブリックフォルダ内にある写真や動画、音楽の再生、Webブラウザ(Firefox)、Skypeなどの機能を利用でき、なかなか便利ではあるが、インスタントモードではWindows Vistaのような高度な省電力機能がないため、バッテリー駆動時間が短くなりがちな点は覚えておきたい。また、未使用時にWindows Vistaをスリープ状態にしておけば数秒で復帰できるため、個人的にインスタントモードを使う機会はほとんどなかった。


 以上、VAIO type Pのハードウェア面の特徴と使い勝手を中心にお届けした。既存のNetbookとは違うコンセプトで作られた新タイプの低価格ミニノートPCとして、多いに注目したい製品だ。後編では、携帯利用時に威力を発揮するVAIO type Pならではのアプリケーションや、Menlowの採用で気になるパフォーマンス、バッテリー駆動時間、ボディの発熱などに迫る(後編はこちら)。

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