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» 2010年04月22日 19時00分 UPDATE

iPhoneとの決別:米アドビの経営陣が来日、FlashとCS5をアピール

CS5の国内販売を控え、アドビシステムズの米本社から経営陣が来日した。都内で行われた事業説明会では、今後もFlashを推進していくことが語られた。

[ITmedia]

米本社のトップが初めて日本へ集う

 アドビシステムズの米本社(Adobe Systems)から経営陣が来日し、4月22日に都内で事業説明会を開催した。CEOをはじめ、クリエイティブ、エンタープライズ、経営企画、そして2009年に買収したオムニチュアの各ビジネスユニットを統括するトップが事業戦略の概要を語る内容で、同社の経営トップが日本にそろうのは初めての機会という。

tm_1004adobe_01.jpg 事業説明会で登壇したAdobe Systemsの経営陣。左から、オムニチュアビジネスユニット担当上級副社長兼ゼネラルマネージャーのジャシュ・ジェイムズ氏、ビジネスプロダクティビティ事業部担当上級副社長兼ゼネラルマネージャーのロブ・ターコフ氏、社長兼CEOのシャンタヌ・ナラヤン氏、コーポレートデベロップメント担当上級副社長のポール・ワイスコフ氏、クリエイティブソリューション事業部門担当上級副社長兼ゼネラルマネージャのジョン・ロイアコノ氏、右端は日本法人代表取締役社長のクレイグ・ティーゲル氏

tm_1004adobe_02.jpg 2010年度第1四半期の売り上げは8億5870万ドルと好調

 米本社の社長兼CEOであるシャンタヌ・ナラヤン氏は、27年にわたる同社の歴史において、写真やデザイン、DTP、PDFを中心とした文書の電子化、Webコンテンツ制作など複数の市場を成長させてきた実績を述べ、今後のデジタルコンテンツのトレンドとして「Webコンテンツのアプリケーション化」「デジタルコンテンツを制作するだけでなく、パーソナライズによって収益を上げていくという最適化」「さまざまなデバイスからコンテンツが利用できるようになるマルチスクリーン化」の3つを挙げた。

 そして、2010年5月28日に発売する統合デザインスイートの最新バージョン「Adobe Creative Suite 5」日本語版(以下、CS5)について触れ、「これまでのアドビにおいて最高、最大のフラッグシップ製品で発売が非常に楽しみ」と自信を見せた。

 コーポレートデベロップメント担当上級副社長のポール・ワイスコフ氏はFlashプラットフォームの戦略について説明。「ここ10年間でFlashはWeb革新の最先端であり続け、世界各国のユーザーにとって非常に効果的な結果をもたらしてきた。現在も圧倒的な普及率で支持されている」とFlashの成功を繰り返し強調し、「今後投入するFlash Player 10.1とAIR 2ではスマートフォンへの対応を進め、さまざまなデバイスの種類や場所を問わず、共通の体験ができるようにしていく」と語った。

tm_1004adobe_03.jpg Flashプラットフォームの構成図
tm_1004adobe_04.jpg Flashの高い普及率をアピール
tm_1004adobe_05.jpg Flash Player 10.1とAIR 2の概要

 クリエイティブソリューション事業部門担当上級副社長兼ゼネラルマネージャのジョン・ロイアコノ氏はCS5について簡単なデモを交えつつ解説した。CS4の展開を「ローンチは大変苦労し、結果として現在でもCS2/CS3を使い続けているユーザーが多かった」と振り返った後、CS5に関しては「景気は回復基調にあり、64ビット化を推進するWindows 7が登場した。絶好の機会でリリースする。開発に2年をかけ、ワークフローの問題を解決する劇的なフィーチャーセットとなった」と期待を寄せた。

tm_1004adobe_06.jpg 「After Effects CS5」のデモ。動画内のオブジェクトをざっとなぞるだけで、自動的に輪郭を判別し、切り抜くことができる。次のフレームへ選択範囲が追従されるため、フレームごとに切り抜く必要がない
tm_1004adobe_07.jpg 「Illustrator CS5」のデモでは、立体的なイラストを作成するのに効果的な遠近グリッドツールを紹介
tm_1004adobe_08.jpg 立体的なグリッドを設定し、それに沿うようにオブジェクトを配置することで、立体的なイラストが手軽に作成できる

tm_1004adobe_09.jpg 「Photoshop CS5」では「コンテンツに応じた削除」機能を紹介。これがレタッチ前の元画像
tm_1004adobe_10.jpg 元画像の馬を削除した場合、これまでのバージョンでは削除した部分が切り抜かれる
tm_1004adobe_11.jpg 塗りつぶし機能で「コンテンツに応じる」を選ぶだけで、周囲のデータから削除した領域が自動的に補間される

 また、同氏はデジタルパブリッシングの事例として、米雑誌「Wired」と取り組んでいる電子ブック化について紹介。タッチパネル搭載のタブレットPCに電子ブック化されたWired誌を表示するデモを行い、「既存のWebコンテンツでは雑誌のような凝ったレイアウトが難しく、ほかのメディアと同じような見え方になってしまうが、柔軟なレイアウトを実現でき、動画や3Dモデルなども含めたコンテンツによって他誌と違った見せ方ができる」と語った。アドビではデジタルパブリッシングの専門チームを作り、電子出版分野にも注力していくという。

tm_1004adobe_12.jpg 「Wired」の電子ブック版。デザインは紙の雑誌と同様だ
tm_1004adobe_13.jpg 雑誌らしいビジュアルな表現や動画の埋め込みに対応する
tm_1004adobe_14.jpg 誌面上に置かれた3Dモデルを指でなぞって回転させている様子


 説明会後の質疑応答では、アップルがiPhone OS 4.0 SDKの利用規約を変更したことにより、Flashの開発環境でiPhoneアプリを作成できるCS5の機能(Packager for iPhone)が規約外になる件に関して、質問が相次いだ。

 ロイアコノ氏によると、「iPhone OSでのサポートは不明だが、Packager for iPhoneの機能自体は搭載してCS5を発売する」とのこと。ただし、既報の通り、Packager for iPhoneの開発はこれで終了し、今後の投資は行わないことが明言された。

 ナラヤン氏は「アップルはクローズドな選択をした。アドビはGoogleなどアップル以外のパートナーと協業し、最も魅力的なコンテンツをどんなプラットフォームだろうと楽しめるようにする」と話した。

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