インタビュー
» 2010年11月12日 11時23分 UPDATE

iTunes Store担当者に聞く:「すばらしい邦画作品を“発掘”して、映画産業に貢献したい」 (1/2)

日本国内におけるiTunes Storeでの映画販売開始や新型Apple TVについて、米Appleのピーター・ロウ氏に話を聞いた。

[林信行,ITmedia]

 既報の通り、日本のiTunes Storeでもついに映画販売が開始された。1000本以上のタイトルをそろえ、“レンタル”にも対応する。iTunesカナダおよびアジア太平洋地域を担当する米Appleのシニア・ディレクター、ピーター・ロウ(Peter Lowe)氏に話を聞いた。

日本でも1000本以上のタイトルを提供

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ロウ アップルは11月11日、日本のiTunes Storeで映画が提供されるようになったことを発表しました。とその話題の前に、最近のiTunesの近況を紹介できればと思います。まずは「iTunes U」について。世界で累計3億本以上のコンテンツがダウンロードされ、教育市場でも非常に注目を集めているiTunes Uでは、最近になって東京大学、早稲田大学、慶応義塾大学、明治大学の講義がダウンロードできるようになりました。今やiTunes Uは教育系コンテンツ流通の分野で、ちょっとした社会現象ほど大きなインパクトを持ち始めています。

 さて、それでは本題のiTunesでの映画コンテンツの提供ですが、我々は映画業界のパートナーらと手を組み、1000本以上の映画の提供を開始しました。20世紀フォックス、パラマウント・ピクチャーズ、ウォルト・ディズニー・スタジオ、ワーナー・ブラザース、ユニバーサル・ピクチャーズの5社に加えて、日本国内のアスミック・エース・エンターテインメント、フジテレビ、角川映画、日活、松竹、東映の6社もパートナーとして名乗りをあげてくださいました。今回、この発表を行ったことで、新しい映画パートナーとの交渉も、さらに加速することでしょう。

 iTunesでの映画販売は、レンタルと買い切りの2通りの方法で提供をしています。パートナーの数や提供する映画の本数は、今後も急速な勢いで増えると思います。米国では2006年秋に、75タイトルからの提供開始となりましたが、今では1万タイトル以上を提供しています。その内容は、SD画質のコンテンツがある一方で、HDコンテンツ(720p画質)もたくさんあります。そして、提供タイトルのうちの3分の1ほどが、日本の映画となっています。

og_itunes_002.jpgog_itunes_003.jpg 日本でもiTunes Storeで映画の販売/レンタルが始まった

 すでに楽曲販売でも親しまれているiTunes Storeでは、特定の映画をプロモートするためのスペースもありますし、映画をレンタルする前に予告編をみることも可能です。我々はパートナー企業と組んで、DVDの販売開始と同時に、iTunes Storeからでも映画が見られるようにする方針です。

 iTunes Storeでは、最新映画だけでなく、あまり知られていない名作や過去の名作といったものも含めて幅広い映画を提供していく予定です。また、映画の販売とレンタルのそれぞれで人気タイトルをランキング表示しています。もっとも、まだオープンしたばかりなので、ものすごい勢いでチャートが入れ替わっているようですね(笑)。

 入手した映画は全画面でみることもできれば、iTunesのチャプター機能を使ってみたいチャプターから見ることもできます。

―― 映画の字幕や音声は切り替えられるのですか?

ロウ 今のところは、吹き替え版、字幕版を用意して別売しています。

―― DVDには字幕や音声の切り替えメニューがあるのに、それは利用できないんですね。

ロウ そうですね。それぞれの版に対して、複雑な権利問題などがあるので、このような形での提供となっています(なお、米国を初めとするほかの国でも、字幕版/吹き替え版を選択して購入・レンタルを行う)。

 さて、映画のレンタルの価格ですが、SD品質の新作が400円、旧作は200円または300円。HD品質の新作が500円で、旧作が300円または400円です。一方、発売価格はSD品質の新作が2000円で、旧作が1000または1500円、HD品質だと新作2500円で旧作が2000円となっています。このレンタルというのは、ダウンロード後、30日間、いつでも好きなタイミングで見始めることが可能で、一度、再生を開始すると、48時間後にコンテンツが自動的に削除される、という仕組みです。

―― 確か米国では24時間以内でしたよね?

ロウ そうです。日本では映画会社さんらとも話し合って、映画を見終えるまでに、もう少し猶予をもたせることができました。

―― 日本人は残業が多くて、なかなか見る時間がないから、という配慮なんでしょうか?(笑)

ロウ そうかもしれません(笑)

―― ところで映画の販売価格ですが、HD版の価格を市販DVDと比較して高いとする声もあるようです。とりあえずはBlu-rayと同じくらいの価格帯をターゲットにしているのでしょうか?

ロウ iTunesで入手する映画と、DVDやBlu-rayのタイトルでは、後者のほうが紙のパッケージや解説の紙といった、手で触れる付加価値がついているものも多いです。そのため米国では、iTunes版の映画は、DVDやBlu-rayよりも、ある程度安価に提供することを目標にしており、実際にそうしています。

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