その“いかつくも洗練された”スタイルを持つTwin Frozr IIIの冷却性能と静音性能を検証するため、ベンチマークテストの「3DMark 11」を実行し、GPUの温度とファンから発生音を低負荷時(ベンチマークテスト終了15分後の値)と高負荷時(ベンチマーク中の最高温度)で確認した。温度計測に関しては「CPUID」のHardware Monitorを使用している。3DMark Vantageで測定した結果も参考資料として掲載した。
なお、この検証はグラフィックスカードに搭載するクーラーユニットの性能評価が目的であるため、動作音や冷却性能の比較用にGeForce GTX 580のリファレンスデザインを用意している。
評価用システム構成 | |
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CPU | Core i7-2600K(3.4GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.8GHz) |
マザーボード | ASUS P8P67 DELUX |
メモリ | Corsair Memory TR3X6G1333C9 PC3-10600 2Gバイト×2 |
HDD | RealSSD C300 64Gバイト |
OS | 32ビット版 Windows 7 Ultimate Service Pack 1 |
動作音(dbA) | 低負荷時 | 高負荷時 |
---|---|---|
N580GTX Lightning | 32.2 | 43.6 |
R6970 Lightning | 32.7 | 36.9 |
GeForce GTX 580搭載リファレンスデザイン | 33.6 | 44.5 |
温度(摂氏) | 低負荷時 | 高負荷時 |
---|---|---|
N580GTX Lightning | 37 | 59 |
R6970 Lightning | 41 | 61 |
GeForce GTX 580搭載リファレンスデザイン | 52 | 84 |
N580GTX Lightningとリファレンスデザインの動作音を比較すると、リファレンスデザインでアイドル時も高負荷時も1db(A)前後高めになっている。だが、耳で聞く分には極端な差はない。一方、GPUの温度は低負荷時で15℃、高負荷時で25℃ほどの差でN580GTX Lightningが低くなる。GPUの冷却でこの差は非常に大きく、Twin Frozr IIIの冷却性能の高さを示している。
R6970 LightningとN580GTX Lightningを比べると、同じTwin Frozr IIIながら、R6970 LightningはN580GTX Lightningより高負荷時の動作音が小さく、それでいて、温度はやや高めになっている。
ハイエンド構成のPCにおける動作音のノイズは、CPUクーラーユニット起因よりグラフィックスカード起因の発生音が大きい。グラフィックスカード搭載のクーラーユニットでも静音性能を重視したモデルもあるが、その場合は冷却性能に課題があり、製品の寿命にも大きく影響する。リファレンスデザインとの比較で分かるように、Twin Frozr IIIはピーク時の動作音で大きな差はないものの、大型のヒートシンクと5本のヒートパイプ、搭載する2基のファンによって高い冷却性能を確保している。
2011年の夏は供給できる電力の不足で冷房を使える時間をどれだけ確保できるか分からない。そんな暑くなりそうな夏でも、ハイエンドPCを安定して使いたい自作PCユーザーにとって、高い冷却性能性能を持ったグラフィックスカードを用意できるか否かが“動作の分かれ道”になることは想像に難くない。
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