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» 2012年05月15日 13時01分 UPDATE

Trinity=Bulldozer+Northern Islands:大解説! Triniryに搭載した“Piledriver”と新技術 (1/3)

AMDが第2世代Fusion APU Aシリーズ“Trinity”を発表した。ノートPC向けモデルが先行となるが、そこに導入した新技術と“デスクトップPC向け”の動向を探る。

[本間文,ITmedia]

“Bulldozer”と“Northern Islands”の融合

 AMDは、米国時間の5月15日、開発コード名“Trinity”で知られる第2世代のAPU(Accelerated Processing Unit)として、「AMD A10-4600M」などノートPC向け5製品を発表した。Trinityは、CPUアーキテクチャをBulldozerベースの“Piledriver”(パイルドライバー)へ変更し、グラフィックスコアについても“Northern Islands”(ノーザン・アイランド)世代の上位製品が採用していた「VLIW4」(Very Long Instruction Words 4)へ切り替えることで、パフォーマンスアップと、すぐれた省電力性の実現を目指している。13億300万トランジスタをGLOBAL FOUNDRIESの32ナノメートルSOIプロセスルールで集積し、ダイサイズは246平方ミリと、同じプロセスルールを採用するLlano(ラノ)ベースの従来AMD Aシリーズと同等(11億7800万トランジスタ、228平方ミリ)に抑えている。

 なお、AMDが今回発表したラインアップは下記の通りだ。Trinityでは、新たにTDP 17ワットとTDP 25ワット版が追加されたが、これらの“低電力版”でも従来のAMD AシリーズでノートPC向けAPUと同等のパフォーマンスを発揮し、消費電力あたりのパフォーマンスは2倍に高めたとAMDは説明している。

ノートPC向けTrinityの製品ラインアップ AMD A10-4600M AMD A8-4500M AMD A6-4400M AMD A10-4665M AMD A6-4455M
Radeonブランド Radeon HD 7660G Radeon HD 7640G Radeon HD 7520G Radeon HD 7620G Radeon HD 7500G
TDP 35W 35W 35W 25W 17W
x86 CPUコア 4コア 4コア 2コア 4コア 2コア
L2キャッシュ 4MB 4MB 1MB 4MB 2MB
CPUベースクロック 2.3GHz 1.9GHz 2.7GHz 2GHz 2.1GHz
CPU TurboCOREクロック(最大) 3.2GHz 2.8GHz 3.2GHz 2.8GHz 2.6GHz
Radeonコア 384コア 256コア 192コア 384コア 256コア
グラフィックスコアベースクロック 497MHz 497MHz 497MHz 360MHz 327MHz
グラフィックスTurboCOREクロック(最大) 686MHz 655MHz 686MHz 497MHz 424MHz
DDR3(1.5V) DDR3-1600 DDR3-1600 DDR3-1600 DDR3-1333 DDR3-1333
DDR3L(1.35V) DDR3L-1600 DDR3L-1600 DDR3L-1600 DDR3L-1333 DDR3L-1333
DDR3U(1.25V) DDR3U-1333 DDR3U-1333 DDR3U-1333 DDR3U-1066 DDR3U-1066

kn_trinitydai_01.jpgkn_trinitydai_02.jpg Trinityプラットフォームのブロックダイヤグラム。モバイル向けAPUでは現行チップセットがそのまま利用される(写真=左)。Trinityのブロックダイヤグラム。CPUコアアーキテクチャやグラフィックスアーキテクチャの変更だけでなく、細かなところにも改良が加えられている

 AMDは、Trinityの開発で消費電力あたりのパフォーマンスと、優れたエンターティメント体験やゲーム体験の実現を掲げ、そのために、CPUコアアーキテクチャとグラフィックスアーキテクチャを刷新した。このAPUに採用した“Piledriver”モジュールは、AMD FXシリーズで採用された“Bulldozer”世代アーキテクチャの改良版にあたり、分岐予測の精度やスケジューリングの効率を向上させ、IPC(Instruction Per Cycle:1クロックサイクルで実行できる命令数)を高めるとともに、より高速な動作クロックを実現しやすくしている。

 また、2基のx86整数演算ユニットと1基の浮動小数点演算ユニットを統合しているPiledriverモジュールでは、各演算ユニットで効率的なデータリソースの共有ができるように、1次 TLB(Translation Lookaside Buffer)の大容量化やハードウェアプリフェッチ機能の強化を図っているほか、拡張命令セットに3オペランドで単精度浮動小数点積和演算をこなすFMA3(Fused Multiply Add 3)と、単精度(32ビット)浮動小数点を半精度(16ビット)の浮動小数点に変換するF16Cを追加した。

kn_trinitydai_03.jpgkn_trinitydai_04.jpgkn_trinitydai_05.jpg Trinityは、優れたエンターテイメント体験と、ゲーム体験、そして消費電力あたりのパフォーマンスの向上を目標に開発を進めた(写真=左)。第2世代Bulldozerモジュールとなる“Piledriver”の強化ポイントでは、Bulldozerアーキテクチャの弱点とされたIPCの向上と、リーク電流の低減による省電力性の実現を目標としている(写真=中央、右)

Torinityは、Ultrabook対抗のフォームファクタを可能にする

 AMDは、Trinityの投入によって消費電力あたりのパフォーマンスでは、インテルのノートPC向けCPUを超えたと語っている。AMD 副社長でクライアント向けAPU/CPUビジネスを統括するクリス・クローラン氏は、Trinityに搭載したPiledriverコアは、リーク電流を低減するとともに、よりきめ細やかな電力と温度の管理を可能にすることで、アプリケーション性能とグラフィックス性能の両面で、ほぼ同等の性能を発揮すると説明する。

 その実例として、TDP 17ワット版のデュアルコアAPU「AMD A6-4455M」と、LlanoコアベースのTDP 35ワット版クアッドコアAPUの「AMD A6-3400M」を比較し、以下のようなデータを示している。

モデルナンバー コア数 動作クロック PCMark Vantage 3DMark Vantage
AMD A6-4455M 2コア 2.1GHz、最大2.6GHz 4300 P2355
AMD A6-3400M 4コア 1.4GHz、最大2.3GHz 4545 P2292

 これにより、AMDはインテルが提唱する“Ultrabook”に対抗する「Ultrathinプラットフォーム」を立ち上げ、薄型で軽量のノートPC市場においてもAPUを普及する構えだ。

kn_trinitydai_06.jpgkn_trinitydai_07.jpg Trinityのポジショニングや特徴を説明するAMD副社長のクリス・クローラン氏(写真=左)。TDP 17ワット版Trinityを搭載したSamsungのUltrathinノートPC(写真=右)

kn_trinitydai_08.jpgkn_trinitydai_09.jpgkn_trinitydai_10.jpg リーク電流の低減などでTrinityではTDP 17ワット版APUも用意する。消費電力あたりのパフォーマンスでは、現行のTDP 35ワット版AMD Aシリーズに比べて倍の性能を実現するという(写真=左)。通常電圧版Trinityのグラフィックスパフォーマンス(写真=中央)。AMD A10-4600MとIntel Core i5-2520Mのベンチマークテスト測定結果(写真=右)

kn_trinitydai_11.jpgkn_trinitydai_12.jpgkn_trinitydai_13.jpg AMD A10-4600MとIntel Core i5-2520Mのゲームタイトルを用いたベンチマークテスト測定結果

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