“激戦区”に投入された7型タブレット「iriver ITQ701」を選ぶ理由は?1万9800円(2/2 ページ)

» 2013年05月14日 16時00分 公開
[後藤治(撮影:矢野渉),ITmedia]
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Tegra 3搭載でパフォーマンスは十分

 それではベンチマークテストの結果を見ていこう。ITQ701の基本スペックをおさらいすると、クアッドコアのTegra 3(T30L Cortex-A9 1.2GHz※スペック表では1.2GHzとなっているが、ベンチマークテストでは1.3GHzと表示されていた)に1GバイトのDDR3Lメモリと、16Gバイトの内蔵フラッシュメモリを内蔵し、5点マルチタッチ対応の静電容量式7型ワイドIPS液晶ディスプレイ(1280×800ドット)を搭載。ネットワーク機能として、IEEE802.11b/g/n対応無線LANとBluetooth 4.0を備えるほか、加速度センサーやGPS、デジタルコンパスといった各種センサーも一通りそろえている。OSのバージョンはAndroid 4.1.1(Jelly Bean)で、Googleアプリをプリインストールしたシンプルな構成だ。もちろんGoogle Playにも対応する。

 ベンチマークテストでは、比較対象として、競合するNexus 7 (16Gバイトモデル)と、10型サイズのNexus 10 (16Gバイトモデル)を並べている(なお、Android OSのバージョンが異なる点に留意してほしい)。比較機種のスペックは以下の表にまとめた。

製品名 ITQ701 Nexus 7(16GBモデル) Nexus 10 (16GBモデル)
メーカー iriver Google (ASUSTeK Computer製) Google (Samsung Electronics製)
液晶ディスプレイ 7型IPS 7型IPS 10.055型IPS
画面解像度(画素密度) 1280×800ドット(約216ppi) 1280×800ドット(約216ppi) 2560×1600ドット(約300ppi)
SoC NVIDIA Tegra 3 NVIDIA Tegra 3 Samsung Electronics Exynos 5
メモリ 1GB 1GB 1GB
ストレージ 16GB 16GB 16GB
通信機能 IEEE802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0 IEEE802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0、NFC IEEE802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0、NFC
搭載センサー GPS、デジタルコンパス、加速度 GPS、デジタルコンパス、照度、加速度、ジャイロ GPS、デジタルコンパス、照度、加速度、ジャイロ、気圧計
カメラ 約200万画素(イン) 約120万画素(イン) 約190万画素(イン)、約500万画素(アウト)
インタフェース microSDカード(SDHC対応)
バッテリー駆動時間 ビデオ再生時:最大7時間 ビデオ再生時:最大9.5時間 ビデオ再生時:最大9時間

 まずは「Quadrant Professional Edition 2.1.1」(Aurora Softworks)と「AnTuTu 安兎兎ベンチマーク 3.3」(AnTuTu)を見ていこう。

Quadrant Professional Edition 2.1.1の結果。左が総合スコア、右が個別スコア

AnTuTu 安兎兎ベンチマーク 3.3の結果。左が総合スコア、右が個別スコア

 Quadrant Professional Edition 2.1.1の結果は、総合スコアでITQ701がライバルのNexus 7を上回った。個別に見ると、CPUで劣る半面、IOや2Dの結果で大きく差をつけている。Memoryと3Dの結果はほぼ横並びだ。ちなみにNexus 10はデュアルコアのためCPUでは低い数字が出ているが、総合スコアではトップに立っている。

 AnTuTu 安兎兎ベンチマーク 3.3も同様に、総合スコアではITQ701がNexus 7を制した。個別スコアを見るとそれほど差はないが、ほぼすべての項目でITQ701がわずかに良好な成績を出しており、全体的に勝っている。あくまでベンチマークテストの結果であり、実際の使用感を反映したものではないが、少なくとも処理性能でNexus 7に劣るということはなさそうだ。

 続いて、3Dグラフィックス性能を見るために「3DMark Android Edition」を、Webブラウズの性能を見るために「Octane v1」をそれぞれ試した。3DMark Android Editionは、プリセットとして用意された2種類(レンダリング解像度が1280×720ドットのIce Stormと、より負荷の高い1920×1080ドットのIce Storm Extreme)を実行している。

3DMark Android Editionの結果。左がIce Storm、右がIce Storm Extreme

Octane v1の結果。左が総合スコア、右が個別スコア

 結果を見るとNexus 10が大差をつけてトップに立っている。デュアルコア(Cortex-A15/1.7GHz)のExynos 5を搭載するため、QuadrantなどのCPUスコアでは振るわなかったが、グラフィックスでは高い性能を見せつけた形だ。ITQ701とNexus 7では、Ice StormでITQ701が大きく上回る一方、負荷の高いIce Storm Extremeではそれほど差はついていない。個別に見ると、Nexus 7はIce StormのGraphicsで大きくスコアを落としており、全体的にCPU演算性能を測るPhysicsでもやや低い傾向が見てとれる。同じハードウェアスペックとはいえ、排熱処理や測定環境によってもスコアが左右されるが、いずれにせよここではITQ701のほうがより高いスコアを示した。

 一方、OctaneでもNexus 10が圧倒的な強さを見せつけているが、ITQ701とNexus 7の比較ではこれまでの傾向とは異なり、Nexus 7が逆転している。これはAndroid OSのバージョンが違う影響もあるだろう(Nexus 7はAndroid 4.2.1、ITQ701がAndroid 4.1.1)。

 なお、負荷の高いベンチマークテスト中は、横位置で正面から向かって右半分の背面側(端子があるほう)がやや熱を帯び、本体を持つ右手に暖かさを感じたが、不快なほどではない。バッテリー容量は3.7ボルト/4000ミリアンペアアワーで、公称最大7時間動作(ビデオ再生時)をうたう。Nexus 7の約9.5時間に比べてやや短いが、画面輝度を最大に設定して、1分間に1回WebブラウザでPC USERのトップページをリロードし続けたところ、3時間経過後のバッテリー残量は59%とかなり長持ちする印象だ。通勤・通学の行き帰りや出先でプレゼンするといった程度の用途なら、毎日就寝時に充電しておくだけで十分だろう。


 以上、7型タブレットの新鋭機「iriver ITQ701」を見てきた。このクラスのタブレットもいずれ“Retina化”していくと思われるが、現時点でのスペックや機能、コストパフォーマンスは、後発だけあってさすがに隙がない。また、直接のライバルであるNexus 7と比較しても、microSDHCカードスロットというアドバンテージがある。常時接続できる手段を持っていないのなら、大量のデータをローカルに保持できる安心感は大きい。

 「Nexus 7にmicroSDがあればなー」と思っていた人はもちろん、通勤・通学や出張などのスキマを埋めるために大量の動画や書籍を常に持ち歩きたいという人は、真っ先に検討したい1台だ。

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