NVIDIA、“Kepler”コアを実装する「Tegra K1」の実力を誇示2014 International CES

» 2014年01月07日 00時25分 公開
[長浜和也,ITmedia]

A15の4+1コアバージョンとデュアル“Denver”バージョンが登場する

 NVIDIAは、1月5日(現地時間)に行った説明会で、同社 CEOのジェンスン・ファン氏が「Tegra K1」の概要を紹介した。Tegra K1は、NVIDIAが開発するモバイルプロセッサ「Tegra」シリーズの最新モデルで、2013 CESで発表したTegra 4の後継だ。実装するグラフィックスコアは、ディスクリートGPUで最新の“Kepler”世代と同等で、192コアを組み込む。

 CPUは、従来と同じARMのCortex-A15のクアッドコア+1コア構成を採用する32ビット命令対応バージョンと、現在NVIDIAが開発を進めている“Denver”コアをデュアルで実装する64ビット命令対応バージョンを用意する。どちらのバージョンもピンコンパチブルで、Cortex-A15バージョンは、3-way Superscalar実装で1次キャッシュメモリを32Kバイト+32Kバイト内蔵する。動作クロックは2.3GHz以上を予定している。Denverバージョンは、7-way Superscalar実装で、1次キャッシュメモリは128Kバイト+64Kバイト内蔵する。動作クロックは2.5GHz以上を予定している。

“Kepler”世代のGPUに相当するグラフィックスコアを192基実装する「Tegra K1」は組み合わせるCPUの構成によって、従来と同じ「Cortex A15」を4+1コアで実装するバージョン(写真=左)と、NVIDIAが開発中のCortex A8ベース「Denver」をデュアルコアで実装するバージョン(写真=中央)を用意する。それぞれのバージョンで仕様が異なる(写真=右)

その性能はXbox 360やPlayStation 3を超える

 ファン氏は、これまでのモバイルプロセッサ「Tegra」シリーズでは、実装するグラフィックスコアの性能が同世代のディスクリートタイプGPUと比べて、明らかに異なっていたのに対して、Tegra K1では、一気にディスクリートタイプGPUで同世代の“Kepler”シリーズと同等の能力を発揮すると訴求する。

ファン氏は、Tegra K1の概要をXbox 360とPlayStation 3と同等と説明する。Tegra K1はDirectX 11に対応し、グラフィックス処理能力はPlayStation 3の2倍、CPU処理能力は4倍に相当する。そして、消費電力は5ワットに抑えている

 ファン氏は、Epicが開発しているゲームエンジン「Unreal Engine 4」をTegra K1に対応させる予定であることを明らかにした。ファン氏は、DirectX 9対応のUnreal Engine 3 が、2002年に登場してから、2010年にiOS対応となるまで8年間の時間をかけてきたのに対して、DirectX 11対応のUnreal Engine 4では、2012年に登場してからわずか2年でモバイルプロセッサのTegra K1が対応しただけでなく、処理性能もXbox 360やPlayStation 3といったコンシューマーゲーム機に匹敵することをアピールしている。

説明会では、Tegra K1の性能をXbox 360とPlayStation 3(写真=左)、そして、iPadやiPhone向け最新モバイルプロセッサ「A7」と相対的に比較したグラフも紹介している(写真=右)

リアルレンダリングデモで示した“K1”の実力

 ファン氏は、次世代のゲームでは、フォトリアルのグラフィックスが実現し、そこでは、ジオメトリシェーダやHDR、物理演算、MRTを多用することになるが、Tegra K1はそれを実用的な速度で処理できる性能を持つ。ファン氏は、そのことを示すデモンストレーションをいくつか実演して、Tegra K1の性能を訴えた。

Tegra K1でリアルタイムレンダリングを行ったFaceWorks “Ira” demoは滑らかな表情の変化や表面の質感が実写と見間違えるほどだった

Tegra K1でHDR処理や物理演算を行うデモも実演した

説明会会場には、Tegra K1を実装したリファレンスボードやタブレットが多数動作していた。タブレットはTegra Note 7のボディがベースになっているが、ディスプレイ解像度は1920×1080ドットに変更したと説明している

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