ベンチマークテストを使って転送速度を検証してみるが、今回のテスト環境はこれまで行っていたSSDの検証作業と大きく異なっている。これまでのベンチマークテストに加えてPCMark 8のStorageテストも計測している。
なお、検証作業で使用したのはPCI-Express接続の容量1.2Gバイトモデル「SSDPEDMW012T4」だ。テスト環境は、CPUにCore i7-4770K(3.5GHz/最大3.9GHz、4コア8スレッド、3次キャッシュメモリ8Mバイト)、マザーボードにASRock Z87 Extreme6(チップセットはIntel Z87 Express)、システムSSDにIntel SSD 330(容量240Gバイト)、OSは64ビット版 Windows 8.1 Pro Update1という組み合わせだ。
「CrystalDiskMark 3.0.3」では、テストファイルのサイズは1000Mバイトと4000Mバイト、テスト項目はデフォルトの「ランダムデータ」と「0」連続して書き込む「0Fill」の両方を計測した。シーケンシャルで1000Mバイト・リード時で1435Mバイト/秒、ライト時には1277Mバイト/秒という1000Mバイト/秒を超えた非常に高いスコアとなっている。これはIntel SSD 730の2倍以だ。ただし、公称値の2200Mバイト/秒に及んでいない。
NCQ使用時のランダム4Kバイトの性能を調べる4K QD32の結果も、リード時で854.4Mバイト/秒、ライト時で764.0Mバイト秒と非常に高速だ。0Fill時のテスト結果も大きく変わらない。このテスト結果を見る限りでは、データ圧縮効果などの差はないようだ。
ATTO Disk Benchmark 2.47で、最も成績良好だったのはデータサイズを2Gバイトにした場合、最高転送速度は、リード時で2526.451Mバイト/秒、ライト時で1339.386Mバイト/秒と公称値を上回る結果が出ている。ただ、複数回計測するとスコアが大幅に落ち込む傾向が確認できた。
AS SSD Benchmark 1.7.4739.38088のテスト結果も公称値には届かないが、シーケンシャルリードで1778.22Mバイト/秒、シーケンシャルライトで1234.69Mバイト/秒となっている。Intel SSD 730と比較した場合、約3.6倍近い性能差がある。
1秒間に可能なリード・ライト回数を表すIOPSテストでは、公称値には及ばないものの、4K-64Thrdリードは374117 IOPS、4K-64Thrdライトは491942 IOPSという非常に高い結果だった。Intel SSD 730では、4K-64Thrdリードは89012 IOPS、4K-64Thrdライトは71165 IOPSで、その差は歴然としている。ISOファイルのコピーやプログラムやゲームなどのファイルコピーを行う「Copy-Benchmark」でもシーケンシャルリードに準じた成績だ。データの圧縮効率を見るための転送速度の変化グラフを表示する「Compression Benchmark」では、公称値にかなり近い結果といえる。ただ、ライト時にグラフがふらつく傾向が確認できた。
実際のアプリケーションを利用してストレージ性能を計測するPCMark 8のStorageテストを行った。SSDであればこのベンチマークテストでは結果が変わらない傾向にある。本製品では性能差が非常に大きいので何らかの差が出るかと思ったが、残念ながら大幅な性能の差は発生しなかった。
ベンチマークテストで測定したPCI Express 3.0 x4ネイティブ接続のSSDのスコアは、既存SSDのいずれも追随できないものとなっている。また、PCI-Express接続のIntel SSD 910(容量745Gバイト)の検証作業では計測したことがあるが、Intel SSD 750は、シーケンシャル性能だけでなく、4KQDの性能についても大きく向上している。これは、MVMeへの対応が大きく貢献していると思われる。
一方で、新しい規格であるMVMeを採用しているためか、もしくは、今回のテスト環境が影響しているのか不明だが、測定結果がベンチマークテストによって異なるのが気になった。ただ、その点を考慮しても従来のSerial ATA接続SSDと比べて4倍の性能を持つという説明は十分納得できる。今後の課題として、MVMeに対応したユーティリティなどの登場にも期待したいところだ。
肝心の価格は現時点で不明だが、同じPCI-Express/MVMe仕様のデータセンター向けハイエンドSSDであるDC P3600の容量800Gバイトモデルの実売価格が35万円前後であることを考えると、それを上回る価格になるのではないだろうか。とはいえ、コンシューマユーザーもターゲットに入れているようなので、購入しやすい価格に期待したい。動画の編集などのシーケンシャル性能が大きく影響するような用途であれば、本製品は十分に導入する価値があるだろう。
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