日本で本日(2015年11月12日)発売された「Surface Pro 4」。先代モデルの「Surface Pro 3」と単純にスペックだけを比較すると、「薄型軽量化して、新プロセッサ搭載でパフォーマンスが若干上昇したよね」といった感想を抱くかもしれない。
しかし今回は、そうしたスペック表に現れにくいSurface Pro 4の“Windows 10世代”ならではの魅力を中心に、筆者が注目しているポイントを見ていこう。
過去のSurfaceシリーズは全てWindows 8/8.1をターゲットに開発された製品だったが、既に筆者を含むユーザーでWindows 10をインストールして利用している方も少なくないだろう。もちろん、これで何の問題もないのだが、Windows 10をプリインストールして登場したSurface Pro 4は、ネイティブなWindows 10マシンならではの特徴も備えている。
Surface Pro 4には、Core m3、Core i5、Core i7の3種類のプロセッサを採用したモデルが存在する。これらは全てSkylakeこと第6世代Coreプロセッサに属するモデルだ。サードパーティー製のWindows 10搭載PCにおいて、いまだ全ラインアップにSkylakeが浸透していない中、これは大きなアドバンテージの1つとなる。
そしてこのSkylakeによる最大の恩恵と言えるのが「Speed Shift Technology」だ。同技術については2015年8月に開催されたIDF 2015のリポートでも触れているが、比較的地味なアップデートとなったSkylakeにおいて数少ないキートピックとして挙げられる。
これは、以前までIntel製プロセッサに採用されていたSpeedStepの電圧・クロック変化に加えて、Turbo Boostで提供されるパフォーマンスの一時的な向上分も含め、全ての動作状況(P-State)をソフトウェアでスムーズに切り替えられる機能だ。
これにより、従来はハードウェアで適時調整を行っていたクロック制御が、ソフトウェア側で必要に応じて簡単に制御可能となるため、使い方次第で高パフォーマンスと低消費電力の両面でメリットが得られる。
ただし、この“ソフトウェアで”という部分がミソであり、Speed Shift Technologyの利用にはOS側の対応が必須となる。IDF 2015の開催された8月時点ではWindows 10がこの機能を利用できず、将来バージョンでの対応が表明されていた。
しかし、Windows Centralのリポートによれば、米国で発売済みのSurface Pro 4にWindows 10 Insider Previewの新ビルド「Build 10586」を導入したところ、このSpeed Shift Technologyの利用が可能になったと説明している。
Build 10586は11月5日(米国時間)に配信が行われたばかりのWindows 10プレビュー版最新ビルドだが、これが実質的な「TH2(Threshold 2)」と呼ばれる次期大型アップデートのRTM(Relase To Manufacturing)版であり、間もなく一般ユーザー(Current Branch)への配信が開始されるとみられる。
このSpeed Shift Technologyがどの程度有効かは、AnandTechのベンチマークテストリポートが詳しい。比較的ヘビーウェイトのテストでそれほど効果の見られないケースがある一方で、JavaScript系テストのWebXPRTでは如実に効果が現れていたりと、興味深い結果となっている。
実際にTH2が導入されたSurface Pro 4に触れてみてからのお楽しみとなるが、恐らくは一般的なWebアプリの動作が非常に機敏になるのではないか、という期待がある。
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