特集
» 2015年12月31日 15時30分 UPDATE

2015年PC USER「ベストチョイス」:2015年に編集部が最も注目したノートPC

今年発売された製品の中からジャンル別に注目モデルを選出するアワード企画。ノートPC部門のベストチョイスは?

[PC USER編集部,ITmedia]

 2015年に発売された製品の中から、PC USER編集部が最も注目した一品を取り上げるアワード企画。ノートPC部門はクラムシェルノートと、タブレットへの変形機構がある2in1ノートが対象だ。

 ただし、Surfaceシリーズのようなカバーキーボードやキックスタンドを採用し、クラムシェルノートのスタイルにならない機種は省き、タブレット部門に入れている。また、キーボードからポインティングデバイスを省いているような2in1デバイスもノートPCとして不十分な構成なので対象外とした。

SIMフリーLTEの魅力をモバイルPCにつなぐ「VAIO S11」

 数あるノートPCの中から“ベストチョイス”に選出したのは「VAIO S11」だ。

VAIO S11 VAIOの11.6型モバイルノートPC「VAIO S11」

 理由は大きく2つある。

  1. SIMロックフリーLTEモデムの搭載、PC向け独自SIMプランの提供
  2. 小型軽量かつ堅牢ボディ、ビジネス向け仕様の追求、高すぎない価格

 まず、VAIO S11で特筆したいのが、「LTE搭載モバイルノートPCの普及を本気で仕掛けたい」というVAIOの志だ。SIMロックフリーLTEモデムを搭載し、ノートPC本体は高すぎない価格レンジに収めるよう工夫、そしてNTTコミュニケーションズと共同でPCモバイルデータ通信に最適化した格安SIMプラン「VAIOオリジナル LTEデータ通信SIM&特別料金プラン」(以下、VAIO SIM)まで用意している。

 従来のLTE搭載モバイルノートPCはハイスペックモデルに限られ、これに通信キャリアのLTEデータ通信契約を加えると、2年間で30万円以上のコストがかかるのも普通だった。昨今は2in1やWindowsタブレットでもSIMロックフリー対応製品が増えつつあるが、プロセッサがAtomやCore mの製品が多く、価格は抑えめでも性能もそれなりと言える。

 その点、VAIO S11は第6世代Core i搭載で高性能な堅牢モバイルノートPC本体にVAIO SIM(2年)を加えても、2年間で約15万円までコストを抑えることが可能だ。しかもVAIO SIMには、200kbpsの常時接続モードが期間内使い放題、最大150Mbpsの高速通信モードは月々のデータ容量上限も期限切れもなく規定容量(1年で32GB、2年で64GB、3年で128GB)までまとめて利用可能、買い切りのプリペイド式で更新・解約は不要という特徴があり、既存のスマートフォン向けプランに比べてモバイルノートPCで使いやすい。

VAIO SIM VAIO SIMはVAIO直販サイト「VAIO STORE」から購入できる。VAIO S11とのセット販売も行われている

 また、SIMロックフリー仕様なので、VIAO SIMに限らず、他のMVNOが販売する格安SIMと組み合わせられるのも見逃せない。VAIO SIMは国内専用設計によって多くの格安SIMが使用するNTTドコモのバンドを幅広くカバーし、4G LTEはBand 1、3、19、21のクアッドバンドに対応(下り最大150Mbps/上り最大50Mbps)、3GはBand 1、19に対応するのだ。

 ここで「PCにLTEモデムがなくても、スマホのテザリングやモバイルルータでいいのでは?」と思うかもしれないが、LTE搭載ノートPCを使ったことがあればその価値は実感していることだろう。外出先でノートPCの天板を開くと、すぐにネットが利用可能になる快適さは、接続に一手間がかかるテザリングやモバイルルーターと大きく異なる。スマホのデータ通信容量やバッテリーを圧迫することなく利用でき、モバイルルーターを一緒に携帯するよりスマートに使えるのだ。コスト的にもVAIO S11は割高感がない。

Micro SIMスロット VAIO S11は背面にMicro SIMスロットがあり、そこにVAIO SIMを差して使う

 VAIO S11はノートPC本体もしっかり作り込まれている。13.3型タフモバイルノートPC「VAIO Pro 13 | mk2」譲りの堅牢設計、13.3型ハイエンドモバイルノートPC「VAIO Z」譲りの放熱設計や静音キーボードなど、VAIOが長年培ってきた技術が盛り込まれているのだ。

タフボディ 150kgf(重量キログラム)の天面加圧振動試験をクリア。その耐久性については、成人男性が完全に乗っても平気なほど

 性能面も文句がない。VAIOとしては初めてCPUに最新の第6世代Core i3/i5/i7(開発コード名:Skylake)を採用し、ストレージはPCI Express 3.0 x4対応のM.2型SSDを選択可能で、Thunderbolt 3(最大40Gbps)兼用のUSB 3.1 Type-C(最大10Gbps)といった先進的なインタフェースも搭載する。11.6型フルHD液晶ディスプレイは高輝度で色鮮やか(sRGB相当の色域)、低反射コートにより画面の映り込みが抑えられていて見やすい。

 その一方で、日本のビジネスシーンで使いやすいよう、1000BASE-Tの有線LANやアナログRGB(D-Sub)といったモバイルPCで省かれがちなポートを搭載し、2基のUSB 3.0(1基は電源オフ給電機能付き)や、フルサイズのSDメモリーカード(SDXC/UHS-II対応)も装備しているのは好印象だ。

右側面のインタフェース 先進的なThunderbolt 3兼USB 3.1 Type-Cポートに加えて、1000BASE-Tの有線LAN、アナログRGB(D-Sub)といったレガシーポートもそろえている

 VAIO S11はスタンダードノートという位置付けの製品で、薄型軽量やデザインを最優先していたり、2in1の変形機構を備えたりはしていない。そのため、VAIO Zに比べて地味な印象を受けるが、堅牢性や使いやすさにはこだわりが感じられる。ボディを金属ではなくあえて強化樹脂にして、電波の感度向上とコストダウンに配慮している点は、製品コンセプトに合致した選択であり、実用重視の提案として理解できるところだ。

 もちろん、VAIO S11があらゆる面でパーフェクトとは言わない。コンパクトな11型クラスのモデルということで、キーボードのキーピッチがやや狭い点(キー配列は自然)、タッチパッドのボタンが独立していない点(高精度タッチパッドの使い勝手は悪くない)など、細部に気になるところはある。アルミニウムやカーボンといった素材を用いた、よりスタイリッシュな外観の製品もある。

 とはいえ、モバイルノートPCに求められる先進性なスペックと運用時の使いやすさ、それらを具現化するためのハードウェアとサービスをうまく融合した点、作り込んだボディとスペックの割に高すぎない点(税別11万4800円から)、そして今後の国内PC市場に向けた新たな提案までなされている点を高く評価し、今回はVAIO S11を選んだ。

tm_1512_best-note_06.jpg VAIO S11は、VAIOが得意とするプレミアムモデルではないものの、SIMロックフリー時代におけるモバイルノートPCの新しい利用スタイルを積極的に提案しており、2015年のタイミングをうまく捉えた製品だ

ノートPCの価値はもう一度見直されるべき

 最後に余談だが、スマートフォンやタブレットが一般に普及し、ビジネスシーン以外では、ノートPCが不要なシーンは着実に増えている。そうした中でノートPCに求められる要件は、タブレット+カバーキーボードを確実に上回るキーボードとポインティングデバイス、生産性をより高められるパフォーマンス、屋内外のモバイルシーンでタフに使えるボディの信頼性といった、基本の部分ではないだろうか。

 2015年はWindows 10がリリースされ、Windows 8/8.1でタッチ操作に偏っていたユーザーインタフェースを、デスクトップモードではWindows 7に近い使い勝手に戻してきた。つまり、それに伴い伝統的なクラムシェルノートPCの価値も再び発揮しやすくなった状況と言える(Macはそうした点でブレておらず、着実に進化している)。

 タブレットとしてもノートPCとしても使える2in1がトレンドであることは間違いないが、文字入力を中心に生産性を高めるためのツールとして、2016年はより優れたクラムシェルノートが登場し、SIMロックフリー対応モデルが増えることを期待したい。

2015年PC USER 「ベストチョイス」ノートPC部門ノミネート製品
製品名 メーカー 選考理由
新しいMacBook アップルジャパン 洗練された新設計の薄型軽量ボディ、USB Type-Cに端子を集約
EeeBook X205TA ASUS JAPAN コストパフォーマンス抜群の小型軽量2in1ノート
LAVIE Hybrid ZERO NECパーソナルコンピュータ 約779グラムと13型クラスで圧倒的な軽量ボディ
ALIENWARE 17 デル 4K+第6世代Coreなど最新仕様、重厚ボディ、外付けGPUユニット
XPS 13 デル 狭額縁のカーボン+アルミボディ、第6世代Coreなど最新仕様
XPS 15 デル 15型最小の狭額縁ボディ、広色域の4K液晶、第6世代Coreなど最新仕様
dynabook RX82 東芝 作り込まれた着脱機構、優れた筆圧ペン、第6世代Coreなど最新仕様
HP EliteBook Folio 1020 G1 Special Edition 日本HP 約1キロのマグネシウムリチウム合金+カーボン堅牢ボディ
HP Spectre 13-4100 x360 Limited Edition 日本HP 洗練された堅牢な2in1ボディ、第6世代Coreなど最新仕様
Star Wars Special Edition Notebook 日本HP スター・ウォーズとコラボしたボディデザインと付録データ
VAIO Pro 13 | mk2 VAIO ビジネス仕様の端子+堅牢ボディの13.3型ノート
VAIO S11 VAIO SIMフリーLTE+独自SIM、第6世代Coreなど最新仕様で堅牢な小型軽量ボディ
VAIO Z VAIO TDP 28ワットのCore i7などハイエンド仕様、独自の変形機構、優れた筆圧ペン
Let'snote SZ5 パナソニック 光学ドライブで1キロ切りの堅牢ボディ、ビジネスに最適化した仕様
NEXTGEAR-NOTE i5710 マウスコンピューター ハイブリッドGPU/外部GPU固定の切り替えが可能なゲーミングノート
ThinkPad X1 Carbon Japan Limited Edition レノボ・ジャパン 限定500台のカーボン柄+シリアルナンバー入りモデル、米沢生産
ThinkPad X250 レノボ・ジャパン 優れたキーボードとTrackPoint、伝統のメンテナンスしやすい構造
※Surface Bookは国内未発売のため除外

関連キーワード

VAIO | ノートPC | モバイルPC


Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.