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» 2016年02月10日 10時00分 UPDATE

モビリティとイノベーションで働き方を変革――究極のビジネスツール「Think X1」ファミリー発表会(前編)

ThinkPadは、Lenovoを象徴する製品だ。そのプレミアムモデルである「ThinkPad X1」シリーズの2016年モデルは、私たちに「新しい働き方」を提案すべく生まれてきた。その背景を、レノボ・ジャパンの留目社長のプレゼンテーションから探っていこう。

[井上翔,ITmedia]

 レノボ・ジャパンは2月9日、「Think X1」ファミリーの発表会を開催した。従来、ThinkPad(ノートPC)にのみ存在した「X1」ブランドを、ThinkCentre(デスクトップPC)やThinkVision(外付けディスプレイ)にも拡大し、ビジネス向けPC・周辺機器のプレミアムラインとして展開する。

 レノボ・ジャパンの留目真伸社長は、この新しいThink X1ファミリー、とりわけ「ThinkPad X1」ファミリーが「新しい時代の究極のビジネスツール」になるのだという。留目社長は、同社の近況とThinkPadを歩みを振り返りつつ、その理由を語った。

ThinkPad X1ファミリー ThinkPad X1ファミリー。左から「ThinkPad X1 Carbon(第4世代)」「ThinkPad X1 Tablet」「ThinkPad X1 Yoga」
ThinkCentre X1 ThinkCentreで初めて「X1」を名乗る「ThinkCentre X1」

コンピューティングパワーを持つデバイスを全てとりそろえる

レノボ・ジャパンの留目社長 レノボ・ジャパンの留目社長

 Lenovoは、PCの市場シェア世界第1位を11四半期連続でキープしている。2015年度第3四半期決算も、過去最高の利益を計上した(参考リンク)。日本でも「NECレノボ・ジャパングループ」としてPCの市場シェアは好調に推移しており、2015年度第2四半期には過去最高の29.4%を獲得した。

世界シェア 2015年度第3四半期も、世界市場においてPCのトップシェア企業に
日本シェア 日本でも、NECレノボ・ジャパングループとしてシェア第1位を維持

 ただし、PC業界を見渡すと、事業からの撤退や規模の縮小など、明るい話題に乏しいことも事実だ。そこで、Lenovoは「ハードウェアのビジネスの基盤をしかっかり確立して、一層拡充する」(留目社長)ため、IBMからPCサーバ事業を、Motorolaからスマートフォン事業を買収した。その結果、「コンピューティングパワーを搭載するデバイスをコンシューマー(個人)向け、法人向けにとりそろえる」(同)、総合的な提案ができるメーカーとなった。

事業買収で個人・法人ともにワンストップにハードウェア製品を提案 事業買収で個人・法人ともにワンストップにハードウェア製品を提案できるようになった

「ビジネスツール」として進化してきたThinkPad

 さまざまなコンピューティングデバイスを扱うようになったLenovoだが、イメージリーダーとしてのThinkPadの存在は揺るがない。

 1992年に日本IBMの大和事業所が主導して初代ThinkPadである「ThinkPad 700C」(※1)が生まれた。それ以来、ThinkPadは基本的に日本で設計されている(※2)。「人々の生産性を究極的に高めるツール」(留目社長)として進化してきたThinkPadは、2014年には累計出荷台数が1億台を突破した。

 留目社長は、「日本のものづくりが、(Lenovoの)グローバルオペレーションの中で融和し、強化され、輝きを増した」結果が、ThinkPadの販売台数に表れていると分析する。

※1 日本では「ThinkPad」という名称は表に出さず、「PS/55note C52 486SLC」として販売された。ちなみに、「PS/55(パーソナルシステム/55)」は、「PS/2(Personal System/2)」シリーズのPCに、日本語表示機能を追加したもの
※2 バタフライキーボードで有名な「ThinkPad 701C」は、米国ワトソン研究所が主導して開発されたもの。当時は、現在以上に「大和“ではない”ThinkPad」もそれなりにあった。これ以上語るのは、筆者の趣味の世界となるのでやめておく

ThinkPadは販売台数を伸ばし続けている ThinkPadはIBMからLenovoに移管した後も進化を続け、販売台数も伸び続けている
初代ThinkPad「ThinkPad 700C」 1992年に誕生した「ThinkPad 700C」。日本では、ThinkPadブランドを表に出さず「PS/55note C52 486SLC」として販売された

多様な働き方をサポートするため、デジタルワークを変革

 ThinkPadは、IBM時代以上に普及した。しかし、留目社長は「我々は現状に満足していない」という。PCはそれなりに普及したものの、日常生活やビジネスにおいて人々をサポートする時間が非常に限定的で、「コンピュータが本当の意味で『パーソナル』になっていない」と考えているからだ。

 しかし、IoT(モノのインターネット)が、その状況を変えようとしている。NECレノボ・ジャパングループは「Digital Dramatic Days(D3)」というブランドスローガンを掲げている。多種多様なパートナーと「共創」(協業・提携)し、PCを軸としてより豊かなデジタルライフを実現しようという構想だ(参考記事)。

 IoTの普及の機運が高まっている今は、NECレノボ・ジャパングループにとっての「パーソナルコンピューティングの第2章」(留目社長)の始まりなのだ。

NECレノボ・ジャパングループの「Digital Dramatic Days」構想 NECレノボ・ジャパングループの「Digital Dramatic Days」を掲げ、さまざまなパートナーとの「共創」で新しいライフスタイルを提案

 これからのThinkPadは、D3構想における「デジタルワークの変革」を担う存在となる。その上で欠かせない要素が「モビリティ」と「イノベーション」だ。

 モビリティは、カフェ、電車、自宅など「どこの場所においてもビジネスができる環境」を実現する可搬性を意味する。日本ではノートPCを全従業員に貸与している企業は少数派で、貸与していても会社外への持ち出しを厳しく制限している企業は少なくない。これらの課題を解決し、モビリティの高い製品を送り出すことで柔軟な働き方を可能にするタイミングが今、というわけだ。留目社長は、働き盛りの「団塊ジュニア」世代における介護ニーズの高まる近い将来の事例を挙げて、その重要性を語った。

 イノベーションは、ひとつの企業(自分の会社)の中にとどまらないことを意味する。IoTの時代は、同業他社だけではなく他業種やスタートアップ企業にも「ビジネスの種」がたくさん転がっている。「進化のスピードが加速度的に増している」現代において、「大企業の社員であっても、自分自身をアップデートして、革新的な存在にならないと価値を生み出していけない」。モビリティを確保して、「スタートアップ(企業)と同じような発想と働き方」をすることで、従業員自身にとどまらず会社もより成長できるというわけだ。

 ThinkPad X1ファミリーは、「新しい時代のデジタルワークを実現」すべく、ThinkPadがこれまで蓄積してきた歴史や文化を集約した「新しい時代の究極のビジネスツール」として位置付けられた。クラムシェルの「X1 Carbon」に加えて、タブレットの「X1 Tablet」と、X1 Carbonのタッチモデルを分離した上でYogaスタイルを導入した「X1 Yoga」が登場したのは、より柔軟な働き方を提案するためだ。

これからのデジタルワーク ThinkPadが培ってきたものを集約し、新たな価値提案をするのが「ThinkPad X1」

 ThinkPadといえば、「Japanese Bento Box(松花堂弁当)」から着想を得たデザインが特徴だ。次回は、Lenovoのチーフデザインオフィサーで、IBM時代からThinkPadのデザインに携わっているデイビッド・ヒル氏のプレゼンテーションをお伝えする。

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