コラム
» 2017年11月05日 06時00分 公開

ITはみ出しコラム:「iPhone X」の好評をアピールするApple 品薄解消は期待できる?

いくらレビュアーからの評判が高くても、いつまでも品薄で入手できないようでは困ってしまいます。

[佐藤由紀子,ITmedia]

 11月3日は午前8時から、Twitterに喜びを伝える投稿がちらほら始まりました。そう、「iPhone X」が発売されたのです。

 米Appleは発売に先立つ11月1日に「iPhone Xについてのレビュアーの評判」というブログを公開しました。発売前の製品についてこんなことをするのは、これまでになかったことです。9月に発売したばかりの「iPhone 8」でもしていません。

 iPhone Xが10周年記念という特別なモデルだからなのか、ホームボタンの廃止など大きく仕様が変わったことで戸惑っているユーザーの不安を拭い去るためか、その真意は分かりません。

reviewer 1 米Appleが公開した「iPhone Xについてのレビュアーの評判」ページ

異例のレビューまとめ公開 非常に短い試用時間

 もっとも、Appleはこれまでも「ここはOK」と“認定”している主要メディアやジャーナリストに、発売前の製品を貸し出してきました。そしてAppleが指定した解禁日に新製品のファーストインプレッション記事が一斉に出るという流れは、恒例行事になっています。

 本拠地の米国で言えば、先日引退したウォルト・モスバーグ氏スティーブン・レヴィ氏が、Apple製品を発売前にレビューするジャーナリストの常連です。

 しかし、Appleの意に染まないリーク記事を書いたりしていると、MacRumorsのように老舗メディアでもこの特権を失います。

 Appleは今回、こうしたiPhone Xの先行レビューからピックアップした褒め言葉をまとめて紹介していて、それが異例ということです。

reviewer 2 先行レビューからピックアップしたiPhone Xについてのコメント

 異例なのは紹介の仕方だけではありません。レビューのための試用時間が非常に短かったと報じられています。

 Wall Street Journalによると、今回は1週間前から貸してもらえたのはレヴィ御大を含むごく少数で、ほとんどのメディアとジャーナリストはレビュー公開前の24時間しかiPhone Xの実機に触れなかったそうです。

 そのWall Street Journalも24時間しか使わせてもらわなかったということで、Appleは「熱狂的なレビューがほしいから、マスコミ戦略を変えたんだろう」と書いています。

選ばれたYouTuberもiPhone Xを先行レビュー

 さらに前例がないのは、常連ではない、普段はApple以外の製品レビューもしているYouTuberにも発売前に貸し出したことです。Recodeによると、Appleは数人のYouTuberをニューヨークのペントハウスに招待して、iPhone Xを24時間限定で貸し出したそうです。

 このYouTuberの選び方が不思議で、中にはチャンネル登録数が18万人弱しかいないところもあります。過去の動画のラインアップを見ると、Apple製品に特化せずに、多様な新製品を好意的にレビューしているものが多い感じです。例えば、17.7万人が登録するチャンネル「Highsnobiety」は、普段はナイキのスニーカーとかおしゃれスポットを紹介しています。

reviewer 3 YouTubeでiPhone Xのファーストインプレッションを公開したHighsnobietyのチャンネル

 新しい層を開拓したかったんでしょうか。こういうYouTuberさんたちなら批判的なレビューはしないことも分かっているし。でも今のところ、少なくとも4つの動画を見たんですが、再生回数は多くて85万回(Booredatwork.comの動画)と、Appleの新製品にしてはあまり効果的でもなかったような気がします。

 ちなみに、Appleの公式YouTubeチャンネルでは9月12日の発表に合わせてiPhone Xの動画を3本公開しましたが、最も少ないものでも700万回、多いもので2800万回再生されています。

製品アピールに努めても、品薄で買えないんじゃ……

 そもそも、そんなに宣伝しても手に入らないようでは困るので、しっかり増産してほしいものです。

 11月3日にはAppleの決算発表もあったのですが、発表後の電話会見で「iPhone Xが入手困難なのは需要が高すぎるからなのか、供給が不足しているのか」と質問されたティム・クックCEOは「正直言って分からん」と答えました。

 その後、CNBCのインタビューでは生産が難しいことを認めたうえで、「ホリデーシーズン(米国では11月第4木曜の感謝祭から始まる年末商戦)に欲しい人が多いことは分かっているので、期待に応えるよう努力している」と答えています。

 また、「iPhone Xがチャレンジングな製品になることは分かっていた。あまりにも先進的だし、向こう10年のAppleのロードマップを設定する製品だからだ」と前置きしつつ、けれども「これまでの経験から、順調に行っていると思っている」とクックさんは語りました。

 何しろずっとAppleのサプライチェーンを管理してきた人の言うことですから、発売日にゲットできなかった人も、期待していいでしょう。

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