スマートスピーカーは「テレビの手元スピーカー」として使える? 音は出せるが問題も山口真弘のスマートスピーカー暮らし(2/2 ページ)

» 2018年06月27日 15時00分 公開
[山口真弘ITmedia]
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手元スピーカーとしての利用を妨げる2つの問題点

 もっとも、「オッ、これはいけるかも」と思ってEcho Dotをしばらく使い続けたところ、今度は通常のスマートスピーカーとしての利用に支障が出ることが分かった。

 問題点は大きく分けて2つ。1つは音楽の再生など、スマートスピーカーで別の機能を使っている最中に、テレビの音声が割り込んでくることだ。たとえ手動でBluetoothを切断していても、1分もたたないうちにBluetoothが自動再接続され、スマートスピーカー上での音声再生にいきなり割り込んでくるため、他の機能が使えなくなってしまう。

 もっとも、これだけならばトランスミッター固有の問題である可能性もあるため、別のトランスミッター「Anker Soundsync」に交換したところ、その症状はおさまった。どうやら相性といってよい問題だったようだ。ちなみにこのAnker Soundsyncも、音の遅延は許容できるレベルで、テレビの手元スピーカーとしての実用性は問題ない。こちらも実売価格は4000円前後(税込)だ。

Soundsync AnkerのBluetoothトランスミッター「Soundsync」。この6月に発売されたばかりの製品だ
Soundsync 使い方は基本的に同様で、テレビとの間をAUXケーブルで接続する。こちらも光デジタルケーブルでの接続に対応する
Soundsync Echo Dotの設定画面で「Bluetooth」を開いてペアリングを実行。完了すればテレビの音声がEcho Dotから聞こえるようになる

 これで万事解決……といきたかったのだが、実はこのAnker Soundsync、バッテリー駆動専用であるため、テレビとつないだまま使い続けるという用途にはいまいち不向きだ。前述の、テレビの音声がBluetooth経由で割り込んでくる症状がトランスミッターに依存するのが分かったのは収穫だが、つなぎっぱなしのまま使えなくては意味がない。

 また、これはどちらのトランスミッターとの組み合わせでもそうなのだが、スマートスピーカー側での音量調整は、実質的に難しい。というのも、Bluetoothスピーカーとしての音声を調整しようとすると、スマートスピーカー本体の音量まで上がってしまい、スマートスピーカー本来の機能を使おうとすると、爆音で再生されることになるからだ。

Echo Dot Echo Dotのサウンド設定の画面。このスライダーはあくまでもアラームやタイマーの音量調整で、Bluetooth経由での音声は調整できない

 もちろん、テレビの本体側で音量を調整するのであれば問題ないのだが、そうなると通常のBluetoothスピーカーよりも機能面で劣ることになり、わざわざスマートスピーカーを使う必然性がなくなってしまう。かといって、Bluetoothオーディオだけ独立して調整できる機能を実装するというのは、さすがに難しいように感じる。

スマートスピーカーとしての機能を使わなければアリか

 以上のように、今回は目的に合致したトランスミッターは残念ながら見つからなかったが、さまざまな製品を取っ替え引っ替え試していけば、USB給電で使え、音の遅延も少なく、かつ他の機能を利用中にテレビの音声が割り込んでこない製品は、見つかる可能性はある。そうなれば、確かにテレビの手元スピーカーとしては、最低限のレベルでは使えそうだ。

 ただしその場合も、音量調整はテレビ側で行わなくてはならず、またテレビに接続するにあたって毎回「アレクサ、接続して」と音声コマンドで指示が必要なのは、かなり面倒だ。普通に考えれば、スマートスピーカーにこうした役割をもたせるのではなく、一般的なBluetoothスピーカーを使った方がよいだろう。

 例外としてあり得るのは、スマートスピーカーとしての機能は一切使わず、Bluetoothスピーカーとしてのみ使用する場合だ。普通のBluetoothスピーカーを買った方が分かりやすいのは言うまでもないが、将来的にスマートスピーカーが新製品にモデルチェンジするなどして不要になった場合、製品を使い倒す方法の1つとして、試してみる価値はあるかもしれない。

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