Windows 10“次々期”大型アップデート「19H1」のプレビュー始まる鈴木淳也の「Windowsフロントライン」

» 2018年07月27日 06時00分 公開

 難産だった「Redstone 4(RS4)」こと、Windows 10の大型アップデート「April 2018 Update(1803)」が2018年4月末にリリースされてから3カ月が過ぎようとしている。

Windows 10 Windows 10の大型アップデート「April 2018 Update(1803)」

 この間に、どれくらいのユーザーがアップデートを行ったのだろうか。モバイル広告プラットフォームのAdDuplexが公開している最新レポートによれば、6月末時点でのWindows 10におけるApril 2018 Updateのシェアは78.1%で、ほぼ8割に達した。過去の推移を見る限り、8月中には恐らく90%以上の水準に達する見込みだ。

 「Windows as a Service(WaaS)」におけるWindows 10の最新バージョンへの入れ替えペースは日を追うごとに加速している。

Windows 10 2018年6月時点でのWindows 10バージョン別シェア(出典:AdDuplex)

 これは、2018年秋に一般公開予定のWindows 10次期大型アップデート「Redstone 5(RS5)」から、“さらに次”のアップデートが見えつつある中、WaaSのコンセプトがベンダーとユーザーともに広く受け入れられつつあるのだと考えている。

RS5の開発は中間地点、早くも“次々期”アップデート登場

 Windowsの開発プレビュー版「Windows 10 Insider Preview」の新バージョン(ビルドと呼ぶ)を一般公開前に試用できる「Windows Insider Program」では、7月に大きな変化が訪れた。

 米Microsoftが7月11日(米国時間、以下同)にWindows Insider ProgramのFast Ringユーザー向けに配信した「Build 17713」では、デスクトップ画面右下に表示されるウオーターマークが変化しており、このことに気付いた方もいるかもしれない。

 直前の「Build 17711」と比較してみると、Build 17711では「Windows 10 Pro Insider Preview」の「rs_prerelease」となっているのに対し、Build 17713では「Windows 10 Pro」の「rs5_release」と表記されている。これはFast Ringでの表示だが、同ビルドにおいて明確に「開発途上バージョン」が「RS5のリリースに向けたバージョン」に分岐したことが確認できる。

Windows 10 こちらはBuild 17711のウオーターマーク表示。「rs_prerelease」という開発途上バージョンであることが確認できる
Windows 10 こちらはBuild 17713のウオーターマーク表示。「rs5_release」ということで、RS5リリースのためのブランチであることが分かる

 なおBuild 17713では、それまでのビルドで「Skip Ahead」を選択していたユーザーの設定がいったんリセットされ、当該のユーザーは全員Fast Ringに戻されていた。

 Skip Aheadには2つの特徴があり、1つ目は「現行開発バージョンよりも“先”のバージョンを試せる」ことで、もう2つ目は「プリインストールのMicrosoft製アプリ群を個々のアプリ単位で最新のものにアップデートできる」という点にある。

 つまり、Fast Ringでは「Microsoftが規定した“パッケージ状態”でのWindows 10の開発途上バージョン」が試せるのに対し、Skip Aheadでは「より新しいバージョンを自分で選択して試すことができる」という違いがある。

Windows 10 Windows Insider Programで選択できる「Skip Ahead」の仕組み

 このSkip Aheadだが、選択可能になる期間は非常に短く、一度タイミングを逃すとFast Ringなど他のRingからの変更は行えない。ケースバイケースだが、大型アップデートの配信が終わって次のバージョンの開発がスタートしてからしばらくしたタイミングが選ばれることが多い。

 ここでSkip Aheadに切り替えたユーザーは「rs_prerelease」の表記が継続され、Fast Ringに残ったユーザーには「rs△_release(△は数字)」のような形で分岐する。つまり、Build 17713のタイミングでSkip Aheadへの分岐の準備が整ったというわけだ。

 そして、Microsoftは7月25日にRS5としての「Build 17723」をFast Ringで、さらにRS5の次に予定している大型アップデートとなる「Build 18204」をSkip Aheadで公開した。この公開前にSkip Aheadが再び選択できるようになっており、Windows 10 Insider Previewはここで2つに分岐した格好だ。これら2つのビルドは現時点ではほぼ同じ更新内容だが、今後は機能などに違いが出てくることになる。

 うわさ通り、2019年春の一般公開を目指すWindows 10の“次々期”大型アップデートは「19H1」と呼ばれることが、Windows公式ブログの発表から明らかになっており、「Redstone(RS)」の開発コード名はRS5が最後となるようだ。

 いずれにせよ、Skip Aheadの登録は8月中の早いタイミングで締め切られる可能性が高いため、興味ある方は早めにFast Ringから切り替えておくといいだろう。

Windows 10 いったんリセットされていた「Skip Ahead」の選択肢は、7月25日のアップデートを前にして、設定メニューに出現していた

 一方、RS5ではFast Ringのリリースペースが遅いだけでなく、Slow Ringに至ってはまだ1回しかビルド配信が行われていない状況で、「ほぼ機能していないのでは?」という疑問がわいてくる。

 Windows 10も最初期の「Threshold 1」「Threshold 2」から、Redstoneで現状配信が行われる「RS5」まで、既に7つ目の開発バージョンに達している。機能的にも目立った更新が減りつつあり、そろそろWindows Insider Programを含む全体の更新計画の見直し段階に入りつつあるのかもしれない。

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