さて、Echo Spotからカメラの映像を見られたとして、どのくらいの実用性があるのかは気になるところ。使い方および挙動も踏まえつつチェックしていこう。
Echo Spotから初めて接続したときには、カメラの映像全体が画面に収まるように表示される。つまり円形ディスプレイの中央に画面が、上下に黒帯が入った状態になるわけだ。しかしこれだと、監視カメラの挙動としては正しくても、画面自体それほど大きくないため見づらい。見た目もイマイチだ。
もし画面全体に拡大表示したければ、画面をタップするとよい。拡大表示ができることを示すアイコンが表示されるので、このアイコンを二度、三度とタップすれば、映像が二段階にわたって拡大され、円形ディスプレイいっぱいに表示される。いちど拡大しておけば、次回以降の接続時もそのサイズで表示される。
ただし、任意の部分を指定してズームすることはできず、常に中央部分が拡大表示される。ドラッグして動かすこともできないので、あらかじめカメラの側で、見たい被写体が映像の常に中心に来るよう、向きを調整しておく必要がある。この辺りは少々不自由さを感じる。
映像の解像度およびフレームレートはカメラ側の設定に依存する。筆者は当初1080p・30fpsに設定していたため、クオリティーは文句なしだったが、そのままではデータ転送が追い付かないようで、「バッファ中」の表示が頻繁に表示された。結果的に強制終了することもあり、このままでは使いものにならない。
そこでArloアプリ側で映像の解像度を720pに落としてやったところ、途切れることなくスムーズに再生できるようになった。本製品の画面サイズの小ささを考えると、最高画質である1080pに設定しておく意味はあまりないので、このくらいが妥当だろう。環境によってはさらに下げてもよいかもしれない。
映像の遅延は数秒程度と、スマホアプリでカメラの映像を参照するよりは高速だ。また動作も滑らかで、15fps以下しか出ない低価格なネットワークカメラとは雲泥の差だ。ディスプレイの形状もあいまって、まるでのぞき穴から隣の部屋を直接見ているかのように錯覚してしまう。
なお、いったん接続した後は、自動的に切断されることはないようで、放置しておいたところ、1時間たってもそのままの状態だった。もしバッファの関係で頻繁に強制終了するようならば、フレームレートを下げてやれば改善する。
ちなみにEcho SpotもArlo Qも、Wi-Fiは2.4GHz帯に加えて5GHz帯に対応している。ここまで見てきた画質設定やパフォーマンスを維持するためにも、Wi-Fiは5GHz帯に設定しておいた方がよいだろう。
以上ざっとチェックしたが、機能としてはカメラの映像を素早く見られるというだけで、動体検知などイベント発生時の通知や音声による呼び掛け、録画した過去映像の表示といったArlo固有の機能が、Echo Spotから利用できるわけではない。可能なのはあくまでも「見ること」だけだ。
とはいえ、スマホアプリを経由するより素早く映像を見られる上、アプリを立ち上げてログインする手間もいらず、声を掛けるだけで表示されるのは大変便利だ。さすがにテレビドアフォンのように即表示するのは無理とはいえ、ネットワークカメラ付属のアプリではここまでスピーディーにはいかない。
そのため、使い方としては、何か気になることがあればまずEcho Spotでチェックし、もし異常が見られればスマホアプリを開いて過去映像にさかのぼってチェックするという、二段構えのスタイルが望ましいだろう。
また、Arloアプリを入れたスマホの電源がオフになっていても、問題なく閲覧できるので、家族との共有にも向いている。もちろんセキュリティ面は留意する必要はあるが、これらをメリットと感じる人も多いのではないだろうか。
今後、本製品の競合となるEcho Spot対応のネットワークカメラが発売される可能性はもちろんあるが、本製品は単体でのデキも優れているので、そうした意味ではつぶしが利く製品ではある。実用性の高いネットワークカメラと、家族で使えて導入の難度が低いモニターの組み合わせを探しているのであれば、よい選択肢といえそうだ。
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