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» 2009年04月17日 00時10分 UPDATE

ファインテック・ジャパン:“UIの進化”でソフトバンクケータイはどう変わるのか

iPhoneの登場以来、ケータイUIのあり方を模索する動きが活発化している。国内でiPhone 3Gを販売し、タッチUI端末の開発にも積極的なソフトバンクモバイルは、どのようなビジョンに基づいてUIを開発しているのか。

[後藤祥子,ITmedia]

 携帯電話が高機能化し、操作が複雑化する中、携帯電話メーカーや通信キャリアが注力しているのがユーザーインタフェース(UI)開発だ。

 これまでの携帯電話とは一線を画すUIを備えたiPhoneの登場以来、その傾向は顕著で、各社が使いやすさに配慮したUIの開発にしのぎを削っている。

 こうした中、ソフトバンクモバイルは携帯電話のUIをどのようにとらえ、どう進化させようとしているのか――。ファインテック・ジャパンでケータイUIをテーマとする講演を行ったソフトバンクモバイル プロダクト・サービス本部 プロダクト統括部長の丹波廣寅氏が、同社の方針を説明した。

さまざまな機能を、統一した世界観で提供する

 「ソフトバンクモバイルが提供しようとする機能やサービスを、どのように1つの世界観に載せてユーザーに提供するか。これがUIの重要なテーマ」――。丹波氏はソフトバンクモバイルのUI開発のあり方を、こう説明する。

 携帯電話には、カメラやGPSのようにハードウェアを使って実現する機能からネットワークを使ったサービス、インターネット上のコンテンツサービスまで、実にさまざまなサービスが用意されている。こうした多彩な機能やサービスを、いかに統一された世界観で見せられるかが、UI開発の重要なポイントになるという。

 UIを開発する上で重要な役割を担うのが、描画系と操作系だ。ユーザーに対して“どんな見え方をするか”を表現する描画系と、人間からのフィードバックを得るためのダイヤルキーやタッチパネル、センサーなどの操作系に、端末の機能が有機的に結合すれば、「ユーザーにとって違和感のないUIを提供できる」と丹波氏は指摘した。

sa_sbm02.jpgPhoto UIを開発する上で重要なポイントとなる描画系と操作系と機能系(左)。描画系と操作系の選択は、端末が持つ機能や世界観によって異なる(右)

目指すのは“ユーザーの思考を中断させないUI”

 UIの世界では、“使いやすさ”につながるアプローチが重要なポイントになる。ソフトバンクモバイルでは、“ユーザーの思考を中断させないUI”の実現を目指し、段階的にユーザーインタフェースを進化させているという。

 「“ケータイで何ができるか”という機能リストの一覧を出発点に、その後、どのように統一感のある操作性をユーザーに提供するかに取り組んできた。現在は、ビジネスやサービスの導線を、UIを通じてユーザーに提供しようとしている」(丹波氏)

 今後は、取扱説明書を見ることなく、徐々に操作を学べるという発想を取り入れたUI開発を目指す。「最初にとっつきやすく、知らない間に操作を学んでしまうようなUIを作っていく必要がある」(同)。そして、その先にあるのは「ユーザーの思考を中断させないUI」だ。

 例えば天気を調べたいと思ったときに、メニューからアプリを起動し、場所や時間を入力して……といった煩雑な操作を強いられると、ユーザーの思考は分断され、そこから先の行動にスムーズに移れなくなってしまう。「ユーザーが“やりたい”と思った瞬間、思考を中断させずに操作できるUIを提供したい」(同)

 待受画面上に表示でき、任意の機能や情報にすばやくアクセスできる「モバイルウィジェット」は、その解の1つといえそうだ。

sa_sbm03.jpgPhoto ソフトバンクモバイルがUIを通じて訴求するポイント(左)。市場の変化に合わせたUI開発も重要だと丹波氏。端末の買い替え期間が長期化する中、UIには飽きずに長く慣れ親しんで使える要素も求められるという(右)。番号ポータビリティの開始時には、他キャリアケータイのUIをソフトバンクケータイに適用できるサービスを提供した

Photo 待受画面から任意の機能やサイトに素早くアクセスできる「モバイルウィジェット」

ソフトバンクケータイはどこに向かうのか

 ビジネスモデルや市場環境が大きく変化する中、ソフトバンクモバイルの携帯電話は、どのような進化を遂げるのか。丹波氏は、いくつかの方向性を示した。

 1つはネットワーク側のサービスをシームレスに取り込んだ“あたかも、なんでも入りケータイ”。2つ目は、買ったときにはシンプルな端末だが、ユーザーがUIやアプリ、サービスを自由に拡張できる環境を用意したカスタマイズケータイだ。

 3つ目として挙げたのは、携帯電話の形にとらわれない“機能特化型”デバイス。「携帯電話だけで何でもやるのは限界に来ている。例えばケータイをフォトフレームにしようとすると、ディスプレイのサイズがネックになる。フォトフレームには最適なサイズや形があり、そこに通信機能を付けるようなアプローチが増える」(丹波氏)

 同氏は“携帯電話に見えない専用端末”を開発し、リビングなどの生活環境に、ネットワークを組み込んでいくようなビジネスを想定しているといい、そこでもUIの進化は重要なテーマになるとした。

市場環境の変化がUIのあり方を変える

 携帯電話を取り巻く環境の変化も、これからのUIのあり方に影響を与えると丹波氏は指摘する。

 例えば、端末の販売方式や割引サービスの変化に伴う、携帯電話の利用期間の長期化も影響を与える要素の1つだ。

 携帯電話市場の成長期には、通信キャリアが新機能やサービスに対応する携帯電話をユーザーに安く提供していたため、端末の買い替えサイクルは短かった。しかし通信キャリアが相次いで端末と通信料の分離プランを導入し始めたことから、端末価格が上がると同時に買い替えサイクルが長期化。「通信キャリアは、1〜2年前の端末で“どうやって最新機能を提供するか”を考える必要が出てきた。これは技術の発展がないと実現できない」(丹波氏)

 もう1つ、過去の例として丹波氏が挙げたのが、VodafoneのJ-フォン買収に伴うUIの変更。ボーダフォンが導入した世界共通仕様のUIでは、メールの導線が変更され、従来はメニューの一番上に位置していた「メールボックス」が「(メールの)新規作成」の下に移動した。これが日本のユーザーの操作感覚になじまず、多くの不満の声が寄せられたという。

Photo 日本仕様のUI(左)と、世界共通仕様のUI(右)。メールの導線の変更には、多くの不満の声が寄せられたという

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