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» 2009年06月01日 17時27分 UPDATE

神尾寿のMobile+Views:「後追いauから、先行くauへ」――高橋誠氏に聞く、KDDIの“次の一手”(後編) (1/4)

携帯電話市場は変革期にさしかかり、インフラの高速化やユーザーニーズの多様化、端末の高機能化を考慮した新たなビジネスモデルの構築が急務となっている。夏モデルで“先行くau”を目指すというKDDIは、2009年をどんな戦略的位置づけとし、今後10年をどんなビジョンで戦うのか。取締役執行役員の高橋誠氏に聞いた。

[神尾寿,ITmedia]

 MNP前後の好調から一転して苦境へ――。KDDIの携帯電話ブランド「au」は今まさに正念場にある。

 圧倒的なシェアと資金力を背景に、インフラとサービス、端末の3分野で横綱相撲をしかけてくるNTTドコモ。持ち前のフットワークのよさと強力な販売力で純増数トップを維持するソフトバンクモバイル。そして新興勢力ながらデータ通信分野で高い競争力を持つイー・モバイル。auを取りまく競争環境は、数年前とは比べものにならないほど厳しくなっている。

 2010年以降の新たな10年に向けて、キャリアには迅速かつ正確な舵取りが求められるようになっている。その中で、auはどのような方向性をめざすのか。前編に続き、KDDI 取締役執行役員常務にして、“auのキーパーソン”である高橋誠氏に話を聞いた。

auがつけいる「ドコモの隙」とは

Photo KDDI 取締役執行役員常務の高橋誠氏

ITmedia(聞き手:神尾寿) KDDIの「au向け端末販売市場で、総販売数1000万台規模を維持する」という目標は、キャリア内の新陳代謝を促す上で重要ものですが、その実現には既存ユーザーの買い換えだけでなく、新規契約者の獲得が重要になります。

 auの稼働シェアは業界2位ですから、少なくとも業界1位のNTTドコモよりは有利なポジションにある。しかし、ここ最近のMNP(番号ポータビリティ)の推移を見ていますと、かなり劣勢です。MNP開始直後と異なり、他社に負け越すことも増えています。

高橋誠氏 MNPは確かに単月で負けることもありますが、ここ最近でも(他社に)勝った月だってあります。正直、MNPの数字自体は非常に小さいものだから、その(MNP流出入の)数字自体を気にしているわけじゃありません。

 ただ、MNPがキャリアの競争力を示す傾向ではあるので、もっと勝ち越せるように営業サイドに指示を出しています。iida2009年夏モデルが市場投入されることで競争力が増しますし、MNPでも勝てるようになるのではないかと考えています。

ITmedia MNPで見た場合、「ドコモの解約率の低さ」が重要になります。(ドコモの)解約率0.5%以下という数字は世界中のキャリアを見ても類のない驚異的な数字で、ドコモの強さを物語っています。しかし、これはドコモ以外のキャリアから見れば、ユーザーが“ドコモから出てこない”ことになる。コンシューマー市場が成熟する中で、過半数の稼働シェアを持つキャリアの解約率が史上最低水準であることは、2位以下のキャリアの成長を妨げる要因になります。

高橋氏 ドコモのシェアを切り崩す(必要性)というのは、確かにおっしゃるとおりなのですが、その特効薬はありません。我々としては、地道に(端末やサービス、料金といった)商品力を上げていくしかないでしょう。

ITmedia ドコモのシェアは堅い、と?

高橋氏 ドコモが強い、手堅いというわけではなくて、そこは事実上の2年縛りになる割賦販売の影響だと思いますよ。これ(割賦制による2年縛り)を引っ剥がす特効薬があるかというと、ちょっと難しい。もちろんauとして取り組んでいくんだけど、やはり地道に商品力を上げていくしかないんじゃないかと思います。

ITmedia 割賦制の影響ということなら、ひとつのターニングポイントが今年の冬商戦から来年の春商戦になります。今年の11月からは、ドコモが新販売モデルを導入し、905iシリーズが大ヒットしてから2年目に入る。そこで割賦制の支払期間が一巡するので、ドコモに“つけいる隙”ができます。

高橋氏 その通りです。当然auとしては、そこを狙っていかないといけない。2年前、905iのどの機種が売れて、ドコモユーザーがどのようなポイントを重視したかは我々にも見えているので、(今年の冬商戦から来年の春商戦に向けては)そこを狙って商品力を高めていきます。

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