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» 2009年10月01日 13時50分 UPDATE

携帯サイトのフィルタリング問題、「ゾーニング」で解決目指す――EMA

携帯サイトの内容を審査・認定する「サイト表現運用管理体制認定制度」をEMAが実施する。青少年向けフィルタリングによって、健全なコンテンツまでもが閲覧できなくなっている状況の解決を目指す。

[山田祐介,ITmedia]

 未成年の携帯電話やPHSに対するフィルタリングサービスが原則適用されたことで、健全なコンテンツまでもが青少年に届かなくなってしまう――。デジタルコミックや電子書籍などを扱う携帯サイトの多くが未成年向けのフィルタリングによって閲覧できなくなっている現状を受け、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)は9月30日、携帯サイトの内容を審査・認定する「サイト表現運用管理体制認定制度」の実施を発表した。10月8日から受付を開始する。

 EMAでは、2008年7月からコミュニティ機能を備えた携帯サイトを対象にした「コミュニティサイト運用管理体制認定制度」を開始し、「GREE」や「mixi」など33サイトを「健全サイト」に認定してきた。これらのサイトは認定に伴い携帯キャリア各社が提供する青少年向けフィルタリングサービスのブラックリストから外れている。

photo EMA 事務局の吉岡良平氏

 今回の認定制度は、コミュニティサイト用の認定制度が対象としない、携帯サイト全般を審査するもの。「特にデジタルコミックや電子書籍、グラビア、ゲームを扱うサイトはフィルタリングにより閲覧できなくなっている場合が多く、影響が大きい」と、EMAの吉岡良平氏は指摘する。サイト内の文章表現をはじめ、画像、動画、ゲーム、サイトに表示される広告などが青少年の閲覧に配慮して管理されているかを審査し、認定を受ければフィルタリングのブラックリストから外れることになる。


閲覧領域を分離する「ゾーニング」の徹底を

 認定にあたっては、青少年の閲覧に配慮した領域とそれ以外の領域とを区分してサイトを構成する「ゾーニング」を事業者に求める。「今のところ携帯サイトでは、青少年に適切なものとそうでないものが混在していることが多い。一方、書店やコンビニなどのリアル店舗では、成人向けの商品は棚やコーナーが分けられている。こうした取り組みが携帯サイトにも必要」(吉岡氏)。ゾーニングは具体的に、青少年に適したサイトとそうでないサイトのドメインを分離する構成か、サブドメインによって分離する構成が必要になるという。「ゾーニングの方法はほかにも存在するが、フィルタリングシステムの現状を踏まえると、これら2構成のどちらかで対応する必要がある」(吉岡氏)

 また「ゾーニングによる線引きを行おうとすれば、判断の難しいグレーゾーンも出てくる」(吉岡氏)ため、サイト事業者からは、配慮すべき要件に関する「自社表現基準」を提出してもらい、その内容を審査する。

 EMAは、青少年に対して配慮すべき要件として(1)画像・表現・描写などにより著しく性欲を刺激するもの、(2)暴力的または陰惨な画像・表現・描写などにより興味本位に暴力的行為または残虐性を喚起するもの、(3)自殺を誘発・助長・ほう助するもの、(4)犯罪行為および刑罰法令に抵触する行為または誘引・助長・ほう助するもの、(5)そのほか青少年の健全な育成を著しく阻害おそれがあるもの――の5要件を挙げる。サイト事業者はこれらの要件において“どこまでを許容するか”を「綱領」や「レベル判定表」、「例示集」を作成してEMAに示す必要がある。また、EMAは新制度の実施にあたり、EMAが望ましいと考える「レベル判定表」や「例示集」を参考として公開し、基準の策定をサポートする。

 事業者は青少年に向けて公開するコンテンツの全件を自社表現基準に基づいてチェックし、そのチェックリストをEMAに提出する必要がある。そのほか、綱領をサイトに掲載することや、ユーザーからの問い合わせ窓口の設置なども求められる。

現実とフィルタリングのギャップを埋める「解決策の1つ」

photo EMA 事務局の広報担当を務める岸原孝昌氏

 EMAは今回の制度を約1年をかけて検討し、5月に基準書と概説書の案を公開し意見を募集、7月には意見に対するEMAの回答を公開するなどして、内容を調整してきた。EMAの広報担当を務める岸原孝昌氏は、「子供たちが普段から楽しんでいる漫画や書籍などが、携帯ではフィルタリングで見られないというのは現実の状況とギャップがある。しかし、フィルタリングを外してしまうと青少年の保護の面でマイナスになる。ゾーニングは、この問題の解決策の1つ」と語る。

 コンテンツの全件チェックに加え、認定後も新たに追加したコンテンツのチェックリストや、ユーザー対応などに関する定期リポートを提出する必要があり、認定を受けることが「多くのコンテンツを抱える事業者にとって相当の負担になる」ことを岸原氏は認める。しかし、「事業者も社会的な要請に応えたいと思う一方で、“どこまでやれば評価されるのか”という基準が示されないと、コストをかけるモチベーションが生まれにくい」とも語り、制度の有用性を主張した。

 審査料金は現時点で詳細が決まっていないが、サイトの規模やコンテンツの量に応じて変化するものになるという。50〜300万円程度が主な価格帯になる見込みで、「なるべくエントリーしやすい料金体系を目指したい」(吉岡氏)。また、制度に関する理解を深めるための説明会やセミナーを継続的に開催し、事業者からの疑問に答えるとしている。

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