クレジットカード決済も、POSデータの入力/確認も手のひらで――。iPhoneを活用したクレジットカード決済ソリューションを提供するフライトシステムコンサルティングが、今度はPOSシステムをiPhoneに対応させた。
同社は2010年秋に、iPhoneを活用したクレジットカード決済システム「ペイメント・マイスター」を開発し、有線インターネット環境のない屋内外でもクレジットカードの決済処理を行える手段を提供してきた。7月には中国の銀聯カード決済に対応させるとともに、紙のレシートを発行するためのモバイルプリンタを提供するなど、サービスの拡充を図っている。
8月から、新たにiPhoneをPOS端末として利用可能にするソリューション「POSマイスター」を提供することで、クレジットカード決済に加え、販売履歴や在庫状況、顧客情報といったPOSデータの管理もiPhoneを通じて行えるようにする。
専用のPOS端末やPC、有線のインターネット環境といった大がかりな設備を必要とせずに導入できる点、売り場で接客しながらその場で購入履歴や在庫を確認したり、カード決済ができる“ロケーションフリーな販売活動”を可能にする点が特徴で、同社代表取締役社長の片山圭一郎氏は「最小限の設備で最先端のPOSを導入できる」と自信を見せた。
サービスを利用するには、iPhone(iPod touchにも対応)と上面にレーザーを使った高精度なバーコードリーダー、側面に暗号化機能付きの磁気カードリーダーを備えたI Love Velvet製の専用ジャケット「D-Holster」、フライトコンサルティングのアプリ「POSマイスター」と「ペイメント・マイスター」が必要。専用ジャケットはアダプタ方式になっており、iPhoneやiPod touchの新モデルが出た場合でも、アダプタを変更することで継続して利用できるという。
POSデータの管理は、同社が用意するクラウド型ASPサービスのPOSサーバを利用できるほか、既存システムとの連携も対応。利用シーンに合わせて選べる「コンパクトASPモデル」「既存POS共存モデル」「決済だけモデル」の3種のサービスをラインアップしている。
POSマイスターを導入することで、小売店舗にはどんなメリットが生まれるのか。1つは“待たせない接客”が可能になる点だ。店員は接客中に来店者が「買いたい」といったらその場で商品のバーコードを読み取って決済処理を行える。レジに誘導したり、カードを預かってフロアの集中レジに決済しにいったり――という手間を省けるようになるわけだ。
もう1つは、接客スキルをITで補完できる点。POSシステムには商品の在庫データや顧客の購入履歴など、さまざまなデータがアーカイブされている。これらの情報をiPhoneを通じてリアルタイムに引き出すことができ、データに基づいたレコメンドが可能になる。
さらに個々の店員にPOSマイスターを配布することで、大規模な集中レジが必要なくなり、不要になったエリアを商品用の棚に充てられるようにもなるという。
ほかにも片山氏は、催事や出張販売、野外フェスティバルなど、屋外イベント時に導入しやすい点をアピール。「iPhoneがある、その場所がレジになる。日本のPOSを新時代に導きたい」と意気込んだ。
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