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» 2013年05月07日 10時00分 UPDATE

PayPal Here導入記:「現金ないから頼めない」をなくしたい――宅配とんかつ店の課題、“スマホでクレジットカード決済”が解決

宅配のお弁当を頼もうと思ったら財布に現金がなく、頼むのを諦める――。こんなオーダー機会のロスをなくそうというのが、宅配とんかつ店の「必勝」だ。宅配の現場では、スマホを活用したクレジットカード決済サービスの「PayPal Here」が活躍している。

[まつもとあつし,ITmedia]
Photo スマートフォンでクレジットカード決済が可能なPayPal Here

 「宅配のお弁当を頼もうと思ったら財布に現金がなく、外におろしに行く。これって本末転倒ですよね」――こう話すのは、新宿オフィス街にほど近い、中野新橋に店を構える宅配とんかつ店「必勝(かなかつ)」を運営するハートコムの貝瀬久幸氏だ。

 せっかくオーダーしたいと思ったお客さんを救う手だてはないか――。こう考えた貝瀬氏が導入に踏み切ったのが、スマートフォンを利用したクレジットカード決済システム「PayPal Here」だ。

 小型で持ち歩きやすく、通信環境があるところならどこでもクレジットカード決済ができるPayPal Hereは、宅配業にはうってつけだと貝瀬氏。お客さんのためになって、オーダー機会のロスも防げるとあって、導入効果に期待を寄せる。

 PayPal Hereは、宅配とんかつ店のビジネスをどう変えたのか。貝瀬氏と必勝店長の河南真也氏に聞いた。

宅配弁当を頼むのに「現金がなくておろしに行く」なんて……

Photo ハートコムの貝瀬氏

――(聞き手 : まつもとあつし) PayPal Hereを導入されたきっかけは?

貝瀬久幸氏(以下、貝瀬氏) このお店をオープンする際に、カード決済を導入したいと思ったのがきっかけです。お客様の立場で考えると「出掛けるのが面倒だから届けてほしい」のに、現金が無くてコンビニまで引き出しに行く――というのは本末転倒ですからね(笑)。

 でも、通常のCAT(信用照会端末)は設備投資の面で負担が大きいですし、そもそも据え置き型の端末では宅配先で利用することができません。オンライン決済も考えたのですが、お客様がインターネットを使っているとは限らない。そこでいろいろとネットで調べていた時にPayPal Hereを見つけました。

Photo iPhoneはクレジットカート決済だけでなく、日替わりランチの写真撮影とTwitterへの投稿にも使っている

 PayPal Hereなら、iPhoneとカードリーダーを持っていけば、玄関口で実際のクレジットカードで決済ができます。クレジットカード決済システムの月額利用料も掛からないし、カードリーダーの値段も1200円とリーズナブルです。もともと自分で使っていたiPhoneをそのまま使えるので、追加投資の必要もありません。しかも、iPhoneと組み合わせて使えるということは、宅配する際に地図を見たり、電話を掛けたりするデリバリーに不可欠な機能に、カード決済機能が加わるということですから、これはベストな選択だと思ったのです。

 食品のデリバリーで一番トラブルが多いのは、届け先での支払い時なんですね。やはり、お客様もお腹を空かせて待っておられますので、支払いはさっさとすませたいわけです。そこでのやり取りをスムーズに済ませられるのも大きな利点だと思います。

―― PayPalはまだ、日本での知名度がそれほど高くありませんが、導入にあたって不安はありませんでしたか。

貝瀬氏 PayPal自体はネットをよく使う方であれば知っているけれど、一般の方にはどうかな……とも思いました。しかし、(通信キャリアの)ソフトバンクがパートナーということで、安心かなと。

Photo チラシにクレジットカード決済に対応していることを明記しており、それを見て注文する人もいるという

―― PayPal Hereは、日々の宅配の中でどの位利用されていますか。

河南真也氏(以下、河南氏) トータルで1日平均30件くらいの注文がありますが、そのうち1〜2件はPayPal Hereによる決済ですね。

貝瀬氏 商圏にオフィスが2〜3割含まれているので、企業が大量に注文する際に、法人カードで払いたいというニーズが出てくるかと思っていたのですが、個人宅でも予想以上にニーズがありましたね。「カードで払えるなら」というお客さんが獲得できているのではないかという手応えがあります。現状、PayPal HereはJCBに対応していないのですが、対応してもらえるとさらにその比率は高まるんじゃないかと思いますね。

 5%という手数料は、私の感覚では「安くはないな」というところですが、顧客の獲得という面で売上に貢献していると割り切っています。PayPal Hereを使っていると、「もう少し読み取り端末がしっかりiPhoneに固定できるようなケースがあったら」というような課題も見えてくるのですが、冒頭に挙げた利点がそれを上回っていますね。

Photo

―― まだあまり馴染みのないサービスですが、お客さんに戸惑いはありませんか。

河南氏 みなさん、面白がっていますね。指でサインするのも新鮮なようです。最初は「これで本当に決済できてるの?」と聞いてくる方もおられますが、2回目以降には違和感もなくなっていますね。

貝瀬氏 法人顧客にはIT系の会社も多く、そこではPayPal自体の認知度も高いので、特に問題はありませんね。領収書も決済後に送付されるメールの印刷で構わないというところが多いです。

 弊社(ハートコム)はもともと、宅配業者への宅配スタッフの派遣を主な業務としており、とんかつ宅配チェーンの運営を始めたのも、実地でトレーニングを行う場が必要だったからなのです。宅配スタッフにスマートデバイスやPayPal Hereの使い方を身につけてもらうことで、それがサービスの向上につながることを期待しています。

Photo ハートコム 代表取締役の貝瀬久幸氏(画面=左)と必勝 中野新橋本店の店長を務める河南真也氏(画面=右)

 客先でのクレジットカード決済を、高価な専用端末ではなく、汎用的なスマートフォンと小さな読み取り機だけで実現できるPayPal Here。お店の中に留まらない決済サービスとしての利用シーンも広がり始めているようだ。

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