新入社員の最初の仕事と言えば、やっぱり電話の応対です。最近ではパーソナルな応対で済む携帯電話に慣れたせいか、会社の電話を取るのに気が引けるという人も多そう。そこで、新入社員に電話をとってもらうコツをまとめました。
厳しい就職環境の中、先日約53万人(3月22日発表の厚生労働省資料)が社会人の仲間入りをしました。
夢や希望にあふれて入社した新人、これから先本当にやっていけるのか不安に思っている新人――。感じ方に違いはあるかもしれませんが、仲間として受け入れるわたしたちは彼らに大いに期待し、成長できるよう支援していきたいものです。
ということで、今回から数回に分けて、新入社員に仕事を教えるOJT上のヒントをご紹介しましょう。
自宅の固定電話をほとんど活用せず、パーソナルな携帯電話で用件が済む時代。アルバイト経験などがある人を除いて、新入社員の多くは電話機そのものに慣れていません。そのため、現場が一番やってほしい仕事である電話に出ることは、新入社員にとっては避けたい仕事のようです。
と言っても、わたしも最初は会社の電話に恐怖心がありました。何せ機械の仕組みがよく分からない。いろいろなボタンがあり、上司に転送したいのにどこを押せばよいのか分からないのです。そうこうしているうちに切れてしまい、しかられる。こんなことの繰り返しでした。
いずれ慣れる……と、思ってはいても、厳しいビジネス環境です。1本の電話もおろそかにはできません。さて、そのような時代に、いかにして電話の取り方を教えたらいいでしょうか。
電話機器のあつかいは、練習をすればすぐに上達します。しかし、電話応対で最も重要なのは、信頼感ある対応ができるかどうかです。信頼感ある対応が出来るようになるためには、上司や先輩の最初の教え方が肝心です。
まず電話応対がいかに大事であるかが伝わるエピソード(経験談)を準備してください。エピソードの種類は2つです。1つは、お客様が喜んだ、感謝した、仕事につながったなど、よかった出来事。もう1つは、お客様に叱られた、クレームにつながったなど、悪かった出来事です。
よいエピソードは、教える前の動機付けに使うと効果的。悪いエピソードは、教えながら、特に重要なことを伝える際に使うと効果的です。
教える手順は、まず教える項目全体を伝えましょう。それを踏まえ、各項目で、どのように対応するかなどを机上で練習します。そして、実際の機器を使ってかけ方、受け方、取り次ぎ方などを実践しながら学びます。機器を使った練習は、おおよそ1時間ほどを目安にするとよいでしょう。上司や先輩が、携帯から会社に電話をかけて、その電話を取る練習をするのも上達の近道です。
教える項目 | ポイント | |
---|---|---|
1 | 機器の取り扱い | 「保留」「転送」「外線と内線」の違い、そのほか会社独自のシステムなど、機器の説明を行う(簡単でもよいので、取り扱い説明書が用意できるとスムーズに指導できます) |
2 | 主要なお客様の情報 | よく電話をもらうお客様や取引先の企業名、担当者名また、社内の担当者名などの一覧などを用い、どのような用件でのお問い合わせが多いかなどを伝えておきます |
3 | 電話のかけ方 | 「わたし、○○の××と申します。いつもお世話になりありがとうございます。本日、□□課長様はいらっしゃいますでしょうか?」など、基本的なフレーズをまとめて伝えます |
4 | 電話の受け方 | コールはn回以内など、社内ルールを明示 (1)基本対応として「お電話ありがとうございます。○○の××でございます」など、第一声と社名+名前、社名+部署名など、社内ルールを明確に (2)名指し人在席時に「○○でございますね。少々お待ち下さい」(保留ボタン)など、保留ボタンをしっかり押した上で、名指し人に、「△△の□□様からお電話です」と伝えられるようにします (3)名指し人不在時は(保留ボタン解除後)「申し訳ございません。あいにく○○は不在にしておりましてn時に戻る予定となっておりますが、いかがいたしましょうか?」など相手の意向を聞くようにします (4)復唱も大事です。連絡のあった社名、担当者名、伝言内容や連絡先は、メモを取った後必ず復唱して確認することも伝えます (5)取り次いでほしくない電話もあります。個人的な売り込みを目的とした営業電話や、個人情報を聞き出すための電話などのケースです。そのような電話がかかってきた時、会社の品位を損ねないような対応が出来るように、対応を決めておくと有効。例えば、「本人に確認し、本人から折り返させていただきますので、ご連絡先をお教え願えますでしょうか?」など (6)伝えてはいけない情報もあります。個人や組織の機密に関わる情報など、外部に漏らしてはいけない情報があることを伝えておきましょう。携帯電話の番号などにも注意です。どうしてもという場合は、こちらから連絡しますとお伝えするのもいいでしょう |
5 | 伝言メモの取り方と扱い方 | 伝言メモの取り方のポイント(図参照)や、メモを取った後、どのように処理するか(机に置く、メモボックスに入れる、メールするなど)を伝えます |
6 | 伝言メモが伝わったか確認の取り方 | メモを読んでもらえたかを、必ず確認するように伝える。タイミング(夕方など)も決めておくと効果的 |
伝言を受ける時には、漏らしてはいけない項目があります。メモする項目をしっかり押さえていれば、伝言をそのままメールする、メモとして残す、どちらでも問題はありません。ここでは、メモをする項目をまとめましたので、教える時にアレンジして活用ください。
ポイント | 内容 |
---|---|
書き方 | ・個条書きにする ・文字は丁寧に ・名前や数字などは見間違わないように |
メモする内容 | ・日付 ・時間 ・宛先名 ・依頼者(企業名/依頼者名)※カタカナでもOK ・用件 ・対応(折り返しの連絡先など) ・依頼者の都合 ・受付者名 |
メモの置き方 | ・目につきやすいところに ・机に置く場合は、風で飛ばないようにテープなどで貼る ・本人が戻ってきたら、メモを置いたことを伝える ・メールで送る場合は、件名を分かりやすく「○月△日□時、(会社名)の(担当者名)様からご連絡がありました」など |
電話に臆することなく出られる新人もいれば、びくびくしてなかなか出てくれない人もいます。しかしそんな時は、彼らに「大丈夫、すぐにできるよ。期待しているよ」と伝えてみてください。そうすれば環境に慣れたころ、自然と取れるようになっていくはずです。彼らができる仕事を1つ1つ増やして、自信をつけてあげてください。
大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。
社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=クライアントの期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。
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